渡し守
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代表的な日本の渡し船(三津の渡し)天保山渡船 築港のりば

渡し船(わたしぶね)とは、港湾河川湖沼などで両岸を往復して客や荷物を運ぶ及び航路のことである。渡船(とせん)とも言う。また、渡し船に乗り降りするところを渡し場(わたしば)、渡船場(とせんじょう、とせんば)などという。
概要

広義の「渡し船」には、離島との航路などや、釣り客を沖の独立した防波堤岩礁へ運ぶ渡船業、リゾート企業などが顧客専用として運用するものも含まれる。

本項では狭義の渡し船として、「比較的狭い距離の対岸同士を渡し、庶民の日常の交通手段や観光に利用され、公共性の高いもの」について述べる。大型かつ航路の長いものはフェリーを、単純な対岸往復でなく、河川や運河の流れに沿って複数の船着場を行き来する船は水上バスを参照のこと。なお、フェリーと渡し船を呼び分ける文化は日本以外にはあまり存在しないため、各国語版へのリンクはフェリーのほうを主に参照されたい。
日本東海道五十三次』(見附宿)

中世以前は架橋技術の未発達により、渡船に頼る比重が高かった。江戸時代の幕藩体制においても、架橋が困難な地点や、関所など軍事的理由で架橋が許されなかった地点を中心に渡船が行われた。また、地形が山がちなことや、軍事的理由から車輪の利用が発達しなかった事によって発生する水運の優位性もあり、渡船は全国各地で行われた。

道路が整備され、また車両が普及するなどして陸運が発達すると、水運の至便性よりも洪水忌避が重要となり、堤防の建設などによって生活と水辺は切り離されてゆく傾向にある。また、架橋技術や隧道等土木技術の発達も水運の重要性を低下させる。これらの理由により渡船は徐々に廃止され、21世紀初頭の日本では観光用ないしは、港湾・河川等においての船舶交通量が多いため、架橋により通過する船舶の交通量を確保できない場合や遠方の離島との間など架橋が困難ないしは、架橋するだけ交通量が確保できない、橋があっても歩行者・自転車の通行が困難な事例など特別な事情がある場合に限られている。
中世以前の渡し

万葉集に、渡良瀬川を渡る古河の渡し茨城県古河市・埼玉県向古河)がうたわれている。隅田の渡し東京都台東区橋場荒川区南千住)、多摩川を渡る関戸の渡し(東京都多摩市)、丸子の渡し神奈川県川崎市・東京都大田区)なども古代から知られている。

また、旧渡良瀬川を渡る房川渡し埼玉県久喜市・茨城県古河市・五霞町元栗橋)、旧入間川(現荒川)を渡る川口の渡し(埼玉県川口市)、旧利根川を渡る川口の渡し(埼玉県加須市)も江戸時代以前から知られている。
江戸時代の渡し船

江戸時代東海道馬入川(現在の相模川)の例でいうと、人を20人まで乗せる小船、馬を乗せる馬船、大型で荷物を運べる平田船が常備されていた[1]

東海道多摩川を渡る六郷大橋は度々洪水で流され、1688年(貞享5年)以後は再建を断念し、六郷の渡しが定着した。
現在も運航されている渡船

渡し舟の中には釣り客を岩礁や沖の堤防に運ぶもの、島に立地する旅館に利用客を輸送する私設のものもあるが、性格が異なるため本項では取り上げない。本項では例外を除き陸路でも迂回でき、かつ季節運航等遊覧性の高い渡し船も記載する。
常時運航される渡船

道路または架橋の代替(または補完)として運航されており、無料で利用可能な航路も存在する。
塩竈市営汽船浦戸諸島内航路・塩竈市営船「第一うしお丸」(宮城県塩竈市塩竈市営汽船(浦戸振興課市営汽船係)により、浦戸諸島のうち桂島(石浜桟橋)と野々島(野々島桟橋)の「石浜間渡船」、および野々島学校下桟橋と寒風沢島朴島間の「寒風沢間渡船」が、島内間渡船として計2航路が運航されている。塩竈市の所有の小型旅客船「第一うしお丸」「すずかぜ」が使用される。いずれの航路も無料で利用できる。運航時間は季節性があるものの、凡そ7時30分?16時30分[2]の間であり、利用の際はリンク先ページ内に掲載される携帯番号にあらかじめ連絡することで時間内に限って随時利用できる。普段は野々島側で船頭が待機している。
最上川渡船最上川渡船(山形県戸沢村)船以外で行く方法が無い、最上川中流右岸の外川神社(仙人堂)への参拝便宜をはかる渡船。義経ロマン観光による運航で、高屋乗船場から出航。通常は最上川周遊1時間のコースの中に神社参拝が含まれるが、神社参拝のみの利用も可能。1日3便の運航で要予約。往復500円。
小堀の渡し小堀の渡し詳細は「小堀の渡し」を参照(茨城県取手市)利根川右岸(千葉県我孫子市と地続きの側)にある飛地の小堀(おおほり)地区と左岸(市中心部側)を結ぶ。取手市営。利根川の改修の結果、茨城県の飛地となった地区の利便性のために開設された。かつては地域住民(無料)以外の観光乗船が禁止されていた。現在は小堀地区住民と条例に定める利用者は無料、その他は片道200円となり、観光乗船が可能となった。また、取手駅に近い桟橋との三地点を三角運航するようになった。毎週水曜日は休航となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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