減価償却
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減価償却(げんかしょうきゃく、: depreciation)とは、企業会計における購入費用の認識と計算の方法。長期間にわたって使用される固定資産の取得(設備投資)に要した支出を、その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。

英語では、有形固定資産にかかるものを depreciation、無形固定資産にかかるものを amortization という。
概要
減価償却の本質

減価償却とは、一般に有形固定資産(固定資本)の価値の減価を測定し、その減価を帳簿から差し引くことをいう[1]

これらの減価原因には次のようなものがある。

物質的減価(物理的摩滅) - 使用による損耗(wear and tear)や時の経過による自然損耗[2]

機能的減価(経済的減価) - 旧式化や陳腐化による減価(depreciation due to obsolescence)及び不適合[1][2]

災厄的減価 - 事故や災害による減価[1]

一部、特許権、商標権や漁業権ソフトウェアなど各種権利の無形固定資産についても、減価償却を行うことがある。

なお、「償却」には、資産の原価を将来に渡って費用配分する、という意味がある。会計用語では、特に有形固定資産(Tangible assets)を償却することを「減価償却」(Depreciation)と呼び、無形固定資産(Intangible assets)を償却することを単に「償却」(Amortization)と呼んで区別している。
一方、貸倒損失を「貸倒償却」と呼ぶことがあり、減価償却や償却、貸倒償却を含めた広義の「償却」(Amortization)もあるので注意が必要である。
非減価償却資産

固定資産であっても減価償却しないものがある。減価償却しないものは非減価償却資産と呼ばれ、非減価償却資産は以下の様な時間によっても価値が減少するとは限らないものが該当する。

乳牛の子牛など生育中の生き物で成熟前のもの(成牛となった後は減価償却対象となる)

建設仮勘定(建物として引き渡された後は減価償却対象となる)

絵画、骨董、書画、彫刻などの美術品古文書など

土地[3] および土地の上に存する権利(借地権地上権など)

電話加入権[注釈 1]

また、株式などの有価証券も、減価償却資産とされない。
減価償却の計算要素

減価償却の計算の3要素として、取得価額、耐用年数残存価額の3つがある[4]
取得価額
減価償却資産の取得に関連して支出した費用で、資産の購入代価のほか、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などの付随費用を含める[4]。具体的には税法で取得価額に算入する範囲が規定される[4]
耐用年数
建物、車両、運搬具、工具、器具、備品等のように一資産の種類ごとに定められている個別耐用年数と、機械装置のように設備の種類ごとに定められている総合耐用年数がある[4]
残存価額
減価償却資産が耐用年数を経過して本来の用役が困難になった場合に、売却で得られるべき見積価額(処分価額)あるいは転用で得られるべき利用価額をいう[4]。残存価額も税法で資産の種類別に画一的に規定されている[4]
4つの減価償却方法.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "減価償却" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2022年10月)

減価償却は、定額法、定率法、級数法(年数総和法)、生産高比例法の4つの方法がある。

いずれの方法も対象資産の取得価額から残存価額を引いた要償却額に対して、それぞれの方式ごとに異なった割合での比率によって、償却期間に配分される。減価償却は対象資産の取得月に起算され、月割りでの計算が行なわれる。

取得原価(Cost)にはその資産の代金だけでなく、運賃、手数料、保険料、登録料などの付随する全ての費用が含まれる。

多くの資産は耐用年数の期間だけ使用した後でも、まだ便益に供することが可能な状態であるために、そういった資産を耐用年数分の使用後に売却処分した場合に得られると予想される金額を残存価額(Salvage value)として設定している。取得原価から残存価額を差し引いた要償却額に対してだけ償却期間を通じた費用配分が行なわれる。
理論上の減価償却

企業会計原則注解」[注20]では固定資産の減価償却の方法として、


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