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渋谷ヒカリエ
渋谷ヒカリエ(しぶやヒカリエ)は、東京都渋谷区の渋谷駅東口に位置する東急文化会館跡地に建設された東急グループの複合商業施設。東急百貨店や飲食店、事務所のほか、ミュージカル劇場「東急シアターオーブ」などが入居している。2012年のグッドデザイン賞を受賞[2]。 2005年に渋谷駅周辺(139ha)が都市再生特別措置法に基づく特定都市再生緊急整備地域に指定されて以降[注釈 1]、同地域では東急東横線地下化に伴う複数の大型開発プロジェクト(渋谷再開発)や区画整理事業(渋谷駅街区土地区画整理事業)が進められている[3][4]。そのトップバッターとして開業したのが、渋谷駅東口に竣工した高層複合施設・渋谷ヒカリエである。 東急東横線/東京メトロ副都心線(・東急田園都市線/東京メトロ半蔵門線)の渋谷駅と地下で直結し、低層部には東急百貨店が運営する「ShinQs(シンクス)」やカフェ・レストランフロア「dining6」等の商業施設、中層部には「東急シアターオーブ」「ヒカリエホール」等の文化施設、高層部にはディー・エヌ・エー等が入居する業務施設(オフィス)がゾーニングされ、それらを立体的に集積している。また明治通りの向かい側にある渋谷スクランブルスクエア(東棟)とは連絡橋を介して行き来する方が可能である。渋谷における情報・文化の発信拠点として、渋谷の新たなランドマークとなることが期待される[4]。 また、渋谷特有の谷状の地形に合わせて立体的に街をつなぐ役割も有し、「アーバン・コア」と呼ばれる巨大な吹き抜けを通して縦方向の動きを確保している[4]。渋谷という交通の結節点において公的動線の一翼を担い、人々を有機的に結び付ける役目も果たしている[4][注釈 2]。 当初は仮称として「渋谷新文化街区プロジェクト」あるいは「(仮称)渋谷二丁目21地区開発計画」と呼ばれていたが、正式名称を「渋谷ヒカリエ」とすることが2010年4月14日に発表された。2009年6月30日に着工となり、2012年3月に竣工した。 地下3階から8階までの商業スペースが2012年4月26日、11階から16階までの「東急シアターオーブ」が同年7月18日に開業している[5]。2020年5月25日、東横のれん街が渋谷マークシティから渋谷ヒカリエの地下2階、地下3階に移転開業した。 渋谷ヒカリエの建設工事「渋谷新文化街区プロジェクト新築工事」は、東急建設と大成建設とのJVにより、2009年6月から2012年3月までの33か月の期間で進められた。 敷地内の高低差は12m[6]。元々この敷地は区道によって隔てられていた街区を結合させたものであり、この区道は渋谷駅と青山方面を結び、1日に5万人の通行人が行き交う主要通路であった。このため工事中でも通路を閉鎖することはできず、期間中に10回以上の切り替えを行って歩行者の通路を確保しながら上空で高層ビルを築造するという、非常に繊細な安全管理が要求されるものだった[6]。また、開業から70年が経過した東京メトロ銀座線や、ボックスカルバート躯体の東急東横線・東京メトロ副都心線渋谷駅と隣接しており、とりわけ後者に関してはボックスの変形防止のため、土圧と同程度の圧力を掛け続けなければならないという特異な事情もあったほか、渋谷ヒカリエの地下3 - 4階が駅の吹き抜け部分とつながって駅構内への換気塔の役割を担っており、その機能を妨げないよう配慮しながらの施工となった[6]。 工期の制約もあったため、地下部と地上部、中層部と高層部とを同時に施工する多段施工方式となった。敷地を「開口」「文化」「三社」という3つの区割りを設け、それぞれ街区の事情に合わせながら順打ち工法・逆打ち工法を使い分けた[6]。中層部と高層部では、中層部に位置する劇場空間の天井部分躯体となる4台の大型トラス梁(長さ25.7m、重量260t)をベアロックジャッキやエレクションガーダーを用いて配置し、これにより中高層で工事を同時進行することを可能にした[6]。このリフトアップ方法は一般に橋梁等の土木現場でしか採用されない方法である[6]。 オフィスビルから商業施設、劇場、更には駅への連絡口という多彩な顔を持つ高層ビルであり、また都心という地理的な要因も加わった難工事を経て、渋谷ヒカリエは2012年の春に竣工した。
概要
沿革
建築物の概略
所在 東京都渋谷区渋谷2 - 21ほか
用途 商業、オフィス、文化施設、駐車場ほか
敷地面積 約9,640平方メートル
延床面積 約144,000平方メートル
用途別面積
商業 約32,000平方メートル
オフィス 約50,000平方メートル
文化施設 約24,000平方メートル
その他 約38,000平方メートル
階数 地上34階、地下4階
高さ 約182.5メートル
施工技術工事中の様子(2007年9月)渋谷駅東口を望む渋谷ヒカリエ(2020年1月)