映画については「渋滞 (映画)」をご覧ください。
基幹道路における交通渋滞の一例
(2010年 ブラジリア)。
渋滞(じゅうたい、英語:traffic jam、traffic congestion)とは、交通施設(道路、鉄道など)の能力を越える動体の流入により移動速度が遅くなった状態をいう。道路交通上の交通渋滞(こうつうじゅうたい)を特に渋滞と呼ぶこともある。
定義を上回る交通流率
一般的には、自動車が停止あるいは、一定速度以下のノロノロ運転で走行する自動車の列が数珠つなぎになった状態を渋滞と呼んでいる[6][7]。渋滞長がいくら長くても、1回の青信号で信号待ち車列が全て捌ける場合は、一般には渋滞とは呼ばない。また、人の長蛇の列に対しても渋滞とは言わない[8][注釈 1]。渋滞の内容は様々で、例えば20 km/h(キロメートル毎時)以下で走行している状態でも、停止して車列が動かない状態であっても渋滞である[6][注釈 2]。車列の長さについても、正確な距離が定められているわけではないが、連なる自動車の列の長さが1キロメートルを越えた状態を渋滞と言っている[6]。
日本の高度経済成長期に起こったモータリゼーションで一般大衆に自動車が普及する以前の自動車があまり走行していなかった時代では、「渋滞」という用語自体が一般に使われていなかった[8]。日本における初めての大規模かつ本格的な渋滞は、1960年(昭和35年)10月6日に大阪市内で発生した10時間にわたる交通マヒによる大渋滞である[注釈 3]。また、日本で初めて渋滞という用語が使われたのは、1961年(昭和36年)に警視庁がラジオの文化放送で、世界初となる交通情報を放送したときだといわれている[8]。
なお、「渋滞」は自動車交通に関していうことが多いが、運河で船舶の通航量が増加するなどの理由で通航が滞っている場合も「渋滞」と表現されている[9][10]。 渋滞は人流・物流の所要時間を増加させるため、到着時間を遅延させ、時間的損失からくる生活や産業活動・経済活動に負の影響をもたらしている[11][12]。 また、渋滞は交通事故増加の原因となっている[13]。例えば、生活道路に抜け道を目的とした車両が流入することでコミュニティ空間の安全性・快適性を損なう事例もみられる[13]。 さらに、渋滞による車両の速度低下による無駄な燃料消費により、二酸化炭素や窒素酸化物などの物質が排気ガスとなって多く排出され、騒音などの環境悪化につながる原因となる[14][12]。そして、渋滞によるストレスから些細なことでトラブルに発展し、犯罪を引き起こしている原因となることも珍しくなくなっている[12]。 都市問題ではモータリゼーションと渋滞の悪化は相互に関連しており、渋滞によりバスやパラトランジット等の所要時間が長くなり公共交通の利便性が悪化すると人々はますます自動車やオートバイを利用するようになり渋滞を悪化させる悪循環を生じる[15]。渋滞の発生は都市などの美観の問題として取り上げられることも多い[16]。郊外部ではスプロール現象(自動車利用を前提とした無秩序で散発的な開発)が発生すると公共交通の導入が難しい都市構造となる[15]。渋滞の深刻化が渋滞対策への費用の増加につながり財政負担の増大につながることもある[16]。 年齢が若く、良心的ではなく、運転にあまり熱心でない人々は、ドライバーの退屈に苦しむ可能性が高いという実験結果が出ている[17]。運転に熱心な人々は、運転することに集中しているため、ドライバーの退屈に苦しむ可能性が低いという実験結果が出ている[17]。ドライバーが運転に集中すれば、他事に気を取られず、退屈に苦しむということがなくなるからである[18]。 古代ローマでは馬車の交通需要が増大し、交通渋滞が日常的に発生していたといわれている[19]。カエサルは渋滞対策として日中に都心部へ馬車の乗り入れを禁止する施策を実施したが、こうした日中で斥けられた馬車は夜間に振り向けられ、キケロが家族に送った手紙には「ローマでの真夜中の馬車の騒音は、ローマに住み利便性を享受する上では我慢しなければならない」旨が記されていた[19]。また、11世紀頃のベネチアでは、ゴンドラの数だけでも1万を超え、運河での事故や渋滞が大きな問題となった[19]。ゴンドラは所有者によって大きさなどの仕様が異なる状態であり、ゴンドラの様式を標準化することで水上交通の渋滞緩和を図ったとされている[20]。2008年9月、台北での交通渋滞。 2010年、米外交専門誌フォーリン・ポリシー 異説もあるが、以下の3都市は世界で最も渋滞の発生する都市と言われている[23][24]。
渋滞の悪影響
各国・各地域における渋滞ルーマニア・ブカレストでの路面電車による渋滞の一例(2009年12月15日)。ブカレストでは、約200万人の人口に対し、150万台の自動車が登録されています。
台北では主にオートバイによって渋滞が引き起こされている。
世界三大渋滞