清見
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この項目では、柑橘類の清見について説明しています。岐阜県にあった村については「清見村」を、埼玉県ふじみ野市の地名については「清見 (ふじみ野市)」をご覧ください。

キヨミ

分類

:植物界 Plantae
:被子植物門 Magnoliophyta
:双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱:バラ亜綱 Rosidae
:ムクロジ目 Sapindales
:ミカン科 Rutaceae
:ミカン属 Citrus
:(交雑種)
品種:キヨミ C. unshiu × sinensis

学名
Citrus unshiu × sinensis
和名
キヨミ(清見)

清見(きよみ)はミカン科ミカン属常緑小高木で、柑橘類の一種である。温州ミカン(宮川早生)と外国産のトロビタオレンジ交配させたもので、日本で育成・公表された最初のタンゴールである。品種名の「清見」は、育成地(静岡県静岡市)の近くにある清見潟(きよみがた)・清見寺(せいけんじ)に由来する[1]
目次

1 特徴

2 来歴

3 収穫量

4 育種親としての利用

5 脚注

特徴

果実の諸特性は概ね温州ミカンとスイートオレンジの中間である。形は扁球形で平均200g程度、果皮は濃橙色で肉質は柔らかく、また果汁は多い。皮を剥くのは温州ミカンよりやや難しい。果汁の糖度は11~12度でそれほど高くないが、成熟期のクエン酸含有量は1%程度でオレンジの香りがして、食味は良好である。主産地は愛媛県和歌山県佐賀県広島県、成熟期は3月である。

樹体の耐寒性は強い方で、かいよう病にはかなり強く、そうか病にも抵抗性を有する[1]

ビタミンCが多く、ビタミンAEも含み、また食物繊維も豊富である。抗酸化作用、発ガン抑制作用などがあるとされる食物機能性成分のβ-クリプトキサンチンを多く含むことも明らかになっている[2][3][4]
来歴

日本における組織的な柑橘育種は、1937年に静岡市清水区興津にある農林水産省 果樹試験場興津支場(現・独立行政法人農研機構果樹研究所カンキツ研究興津拠点)で開始され、第2次大戦後さらに活発に行われた。柑橘育種を進める上での障害として、播種から初めて開花するまでの期間が長いこと(通常8~12年)、多胚性の品種が多く、種子親に使用した場合に雑種獲得率が低いこと、諸形質の遺伝様式の解明が難しいことなどがあり、効率的な育種が困難であった。そこで育種手法としては交雑育種とともに、温州ミカンをはじめとする多胚性柑橘の珠心胚実生に現れる変異の選抜が行われた[5]

交雑育種では、特に温州ミカンの持つ栽培のしやすさ(樹体の耐寒性、豊産性、かいよう病抵抗性)や食べやすさ(剥皮性、無核性、肉質)にスイートオレンジの香りを併せ持つタンゴール、並びにグレープフルーツブンタン類の大果性と肉質を兼ね備えたタンゼロの育成と、夏ミカンハッサクイヨカンヒュウガナツ等の中生晩生柑橘を親に用いた中生・晩生の新品種育成をねらいとした交配が多数行われた。初期の交雑育種からは「清見」、「スイートスプリング」等が育成され、珠心胚実生の選抜からは温州ミカンの「興津早生」、「三保早生」等が育成された[5]

「清見」は1949年にタンゴールの育成を目標として、早生温州の代表的な品種「宮川早生」に、スイートオレンジの中では比較的早熟の「トロビタ」オレンジの花粉を交配し育成した品種であり、「宮川早生」を種子親に用いたのは温州ミカンの改良を目的として珠心胚実生の育成を兼ねたためであった。1974年から12県の公設試験研究機関で系統適応性検定試験及び耐病性についての特性検定試験が実施された結果、優れたタンゴールであると認められ、1979年に「清見」と命名、「タンゴール農林1号」として登録された。日本で育成・公表された最初のタンゴールであり、その交配から命名登録までには実に31年間を要した。これほどの長期間を要したのは、広域の普及性について検討が続けられたためであった[5]

「清見」の品種名は育成地(静岡市清水区)の近くに清見寺(せいけんじ)があり、その前面の海岸は清見潟(きよみがた)と呼ばれる名勝であることに因んだものである[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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