添字記法
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数学およびプログラミングにおける添字表記法(そえじひょうきほう、: index notation; 指数記法)あるいは添字記法とは、行列のような配列の特定の要素を示すために用いられる記法である。添字の用い方はそれを与える対象によって異なる。リスト、ベクトル、行列などデータ構造の違いによって、あるいは数学の論文を書くか、計算機のプログラムを書くかによってもその用法は異なる。
数学における添字詳細は「リッチ計算法(英語版)」、「テンソル」、および「族 (数学)」を参照

数学においては、配列の要素を下付きの添字によって示すことがしばしば行われる。添字には整数定数変数が用いられる。この場合、特に添数(てんすう)とも呼ぶ[1]。配列は一般にはテンソルの形をとり、これは多次元の配列として扱うことができる。より親しみ深い例としては、ベクトル(1 次元配列)や行列(2 次元配列)が挙げられる。これらはテンソルの特殊な例である。

以下では、ベクトルや行列、より一般のテンソルに関する記法の基本的な考えを紹介する。
1次元配列詳細は「ベクトル空間」および「数ベクトル空間」を参照

ベクトルは数の並びとして扱うことができ、行ベクトルまたは列ベクトルで表現される(どちらの表現をとるかは簡便さや文脈に依存する)。 a = ( a 1 a 2 ⋮ a n ) , a = ( a 1 a 2 ⋯ a n ) {\displaystyle \mathbf {a} ={\begin{pmatrix}a_{1}\\a_{2}\\\vdots \\a_{n}\end{pmatrix}},\quad \mathbf {a} ={\begin{pmatrix}a_{1}&a_{2}&\cdots &a_{n}\end{pmatrix}}}

この場合、指数記法を用いることで、添字の i が 1 から n までを走ることが既知とする限りにおいて、配列の要素を総称的に ai とだけ書くことができる [2]

たとえば次のようなベクトルが与えられた場合、 a = ( 10 8 9 6 3 5 ) {\displaystyle \mathbf {a} ={\begin{pmatrix}10&8&9&6&3&5\end{pmatrix}}}

それぞれの成分は、次のように表すことができる。 a 1 = 10 , a 2 = 8 , … , a 6 = 5 {\displaystyle a_{1}=10,\,a_{2}=8,\,\dots ,a_{6}=5} .

この記法は数学や物理学におけるベクトルに対して適用できる。ベクトル方程式 a + b = c {\displaystyle \mathbf {a} +\mathbf {b} =\mathbf {c} }

は、添字は予め与えられた範囲の値を取ることを前提にして、これらのベクトルの成分を用いて a i + b i = c i {\displaystyle a_{i}+b_{i}=c_{i}}

と書くことができる。この式は、各添字に対して一つずつ与えられる、成分の間の方程式の集合を表している。各ベクトルが n 個の成分を持つならば、添字の範囲は i = 1, 2, ..., n で、上式の表す方程式の集合は明示的には a 1 + b 1 = c 1 a 2 + b 2 = c 2 ⋮ a n + b n = c n {\displaystyle {\begin{aligned}a_{1}+b_{1}&=c_{1}\\a_{2}+b_{2}&=c_{2}\\&\;\,\vdots \\a_{n}+b_{n}&=c_{n}\end{aligned}}}

を意味する。つまり、添字表記法は
一般的な構造を一つの方程式に表しつつ

その一方で、各成分に対して適用できる

という意味で効率の良い省略記法を提供するのである。
2次元配列詳細は「行列」を参照「二項積」も参照行列 A の成分は二つの添字を用いて表される。

1 つより多くの添字を用いる配列は、行列の成分など多次元の配列要素を表すことに用いられる(図を参照)。 A = ( a 11 a 12 ⋯ a 1 n a 21 a 22 ⋯ a 2 n ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ a m 1 a m 2 ⋯ a m n ) {\displaystyle \mathbf {A} ={\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}&\cdots &a_{1n}\\a_{21}&a_{22}&\cdots &a_{2n}\\\vdots &\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m1}&a_{m2}&\cdots &a_{mn}\end{pmatrix}}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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