混血
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混血(こんけつ)は、生物を分類するにあたり異なると考えられている枠組みに属するどうしの間にが生まれること。特に人間を指してこのように呼ぶ場合は、人種民族等の区別が前提となる。
概説

明治時代には「雑種」が混血と同じ意味で使われた[1]。『大言海』は「混血児」とともに「血混児」を収録した[1]

人間の場合は人種または民族の異なる父母の間に子が生まれることを指す。人種・民族といった範疇を血液に象徴させ、「血と血が混ざり合う」と表現した語だが、実際に混ざり合うのは遺伝子である。ただし、人種・民族ともに生物学的に定義することは難しい。したがって、混血とは生物学的な概念というより、形質的・文化的な特徴と傾向に基づく主観的な概念である。対照的に、「純血」という語がある。現在残っているヒトはすべて同じ生物種のホモ・サピエンスであり、完全な交配が可能である。このため、ヒトの混血とはあくまでも同じ種の内部における概念と考えられる。人種の違いはわずかな遺伝形質(皮膚の色髪の色・顔つき・体格など)の組み合わせによる差異である。民族は、おおむね一つの共通出自を自認する、文化的徴表で区分される集団のことを意味していることから、身体的特徴の重要性が高くなく、人種とは本質的に区別されている概念である。

ヒトは社会的動物であり、各々の人種・民族の単位で結束が固い社会にあっては、または封建的な社会において所定の氏族が政治的・社会的に優位に立っている場合などには族内婚で生まれた子供に比して、混血の人々が差別の対象とされやすい。また、特に双方の人種・民族の間に深い軋轢のある社会においては、混血の立場にある人の社会的地位が問題になる場合がある。一方で、相互の人種・民族間において友好関係がある場合や、一方の人種・民族にもう片方の人種・民族が憧憬を抱いている場合、混血者は尊重や憧憬の対象とみなされるケースもある。

もっとも、外見上の特徴とは別に、混血の人々のアイデンティティーの根幹をなす文化同一性や、一つの民族・国家への「帰属意識」といったものは遺伝されず、教育の方針・過程やその他環境により各人各様に決定される。例えば、同じ民族的出自を持っている人間どうしであっても、互いにまったく違う文化同一性が形成されることがある。

なお、二通りの人種・民族だけではなく、何種類の人種・民族から生まれる場合も混血という。特に古くから国際的な交易があった地域または他民族の流入が激しかった地域では、人種・民族などの混合や交流がみられる。この場合は、自身の系譜の一部を占める民族である民族的なルーツを模索し、自らの価値観や好みに沿う文化を選択するケースもある。
世界全体における混血.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "混血" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2017年7月)

有史以前、他の人類との混血

近年の研究では、ヒトと旧人類のホモ・ネアンデルターレンシス[2]デニソワ人との間にも混血があったことが明らかになっている。
有史以前の人種間混血

ネグロイド+コーカソイド北アフリカ

ネグロイド+モンゴロイドマダガスカル

コーカソイド+モンゴロイド…中央アジア極北テュルク系民族ウラル系民族

コーカソイド+オーストラロイドパキスタンインド西部

コーカソイド+オーストラロイド+モンゴロイド…インド東部

モンゴロイド+オーストラロイド…ポリネシアオセアニア

有史以降(大航海時代以降)

日本社会では単に「ハーフ」と呼ばれる人々も、世界(ここでは主に欧米圏)では様々な名称で呼ばれ区別される。英語圏ではmultiracial, mixedなどの語が使われる。日本社会で一般的に「ハーフ」と呼ばれる日本(アジア)人と欧米系白人の混血は「ユーラシアン」と呼ばれ、欧米系白人とアフリカ系黒人の混血は「ムラート」と呼ばれている。また、欧米系白人(特にスペイン人)とインディオとの混血は「メスティーソ」と呼ばれ、ラテンアメリカでは人口の多くをメスティーソが占める国も少なくない。同じくラテンアメリカでは黒人とインディオの混血は「サンボ」と呼ばれる。

ユーラシア大陸のコーカソイドの多い西側とモンゴロイドの多い東側のちょうど中間に位置する国々には、両者の混血によって成立した民族が主要な国民である国や地域が存在する。例えば、フィンランドフィン人エストニアエストニア人ハンガリーマジャル人ブルガリアブルガリア人トルコ共和国トルコ人、中国・新疆ウイグル自治区ウイグル族などは、コーカソイドとモンゴロイドの混血によって成立した民族である。彼らは、アメリカ大陸に西から来たモンゴロイドが、東から来たコーカソイドと混血して生まれたメスティーソの諸民族とは逆の事例である。

奴隷制度があった時代のアメリカでは、ワンドロップ・ルールというものが使われていた。これは、僅かでも黒人の血が入っていれば例え白人の血の方が圧倒的に濃くても黒人に分類されるという考えである。その為、白人と黒人の間に生まれた子供も多くが奴隷として売られていった。(例えば、第3代アメリカ合衆国大統領トマス・ジェファーソンが所有する奴隷であったサリー・ヘミングスは、4分の1だけ黒人の血を引いていたが、外観はほとんど白人に近く、真っ直ぐな髪を背中に垂らしていた[3]。)ケニア出身の黒人の父とアメリカ出身の白人の母を持つバラク・オバマが「アメリカ史上初の黒人大統領」と呼ばれている事からも分かるように、奴隷制度が無くなった現代でもこの考えは無くなってはおらず、有色人種と白人の間に生まれた子供は有色人種に分類される事が多い。なお、現在のアフリカ系アメリカ人は他国のアフリカ系に比べると混血化が進んでおり、全体の約58%が8分の1以上、19.6%が4分の1以上、1%が2分の1以上白人の血が、5%が8分の1以上ネイティブ・アメリカンの血がそれぞれ混じっていると言われている。

パラグアイでは、国民の90%以上が、日本人と同じモンゴロイド系であるグアラニー人などのインディヘナの血が強い、スペイン人との間の混血(メスティーソ)である。これは、征服当初この地に住んでいたグアラニー人が、やってきたスペイン人と同盟して他のインディヘナを打ち破る過程で両者が積極的に混血を受け入れたこと、また、初代国家元首フランシア博士が政策的に異人種間の通婚を推奨、強制したためである。そのため現在のパラグアイ人は「グアラニー」の血を引くことを誇りに思っていて、小柄でアジア的な風貌の人も少なくない。

ナチスドイツ時代のドイツではアーリア人とその他の人種との混血が禁じられ(Rassenschande)、避妊手術を条件にドイツ人との結婚が例外的に認められた日本人歌手田中路子の例などがある。


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