混和性
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ディーゼル燃料と混和しない。 薄膜干渉によって明るい虹のパターンを生ずる。

混和性(: miscibility)は、2つの物質があらゆる比率で混ぜ合わされる性質(すなわち、お互い任意の濃度で完全に溶解する状態)を言い、その結果、均一な溶液となる。その用語は液体に対し使われることが多いが、固体や気体でも使われる。例えば、エタノールは、あらゆる比率で混合するので、混和性があるという[1]

逆に、混合物が溶液を形成しない比率があるときには、非混和(: immiscible)であるという。例えば、油は水に溶けず、これら二つの溶媒は非混和である、一方、ブタノン(メチルエチルケトン)は水にかなり溶けるが、すべての比率では溶解しないので、これらの溶媒も非混和である[2]
有機化合物

有機化合物では、炭化水素鎖の重量%が、水との混和性を左右することが多い。

例えば、 アルコールを例に説明すると、エタノールには2つの炭素原子があり水と混和するが、炭素原子を4つ持つ1-ブタノールは水と混和しない[3]。8つの炭素原子を持つオクタノールはほとんど水に溶解せず、その非混和性を利用して分配平衡の基準として使用される[4]脂質の場合も非常に長い炭素鎖を持つので、水とはほぼ常に非混和である。その他の官能基を持つ化合物も同様である。直鎖状のカルボン酸では、酪酸(4つの炭素原子を持つ)までは水と混和するが、吉草酸(5つの炭素原子)では部分的にしか水に溶解せず、カプロン酸(6つの炭素原子)でほぼ非混和である[5]。他の化合物でも同様の傾向であり、例えばアルデヒドケトン類が挙げられる。

エタノール

ブタノール

オクタノール

酪酸

吉草酸

カプロン酸

金属

非混和の金属はお互いに合金を形成できない。この場合、通常、溶融状態では混合可能であるが、冷えると、層になって分離する。この性質を利用し、非混和の金属を溶融状態から急速に冷却することで、固体を沈殿させることができる。非混和の金属の一例がコバルトである、それらを溶融し急速に冷却すると固体が沈殿するが、それは粒状のGMR素材(HDDのヘッドに使用)となる[6]

一方で、溶融状態でも非混和の金属も存在する。工業的に重要なものとしては、溶融亜鉛と溶融は溶融に非混和である、ただし銀は亜鉛と混和する。この性質が、パークス法に利用されている、これは溶融金属の液-液抽出の例である。この性質により、銀をいくらか含んだ鉛は亜鉛と溶融し、銀は亜鉛に移動し、亜鉛は二相溶融液の上部からすくい取られ、次いで亜鉛が蒸発され、ほぼ純粋な銀が得られる[7]
エントロピー効果

高分子の混合物がその各成分よりも低い配置エントロピーを示す場合、それらは液体状態であっても互いに混和しない可能性が高い[8][9]
混和性の決定

2つの物質の混和性は光学的に決定されることが多い。2つの液体が混和性であるときは、得られる混合液体は透明である。混合液体が曇っている場合は、2つの物質は非混和である。ただし、この決定方法は十分注意を払う必要がある。もし、2つの物質の屈折率が同じ場合は、それらの混合液は非混和でも透明であり、混和性を誤って決定する可能性がある[10]
ゲームにおける「混和性」

多くのゲームは、魔法薬としてのポーションの設定があり、いくつかのゲーム(例えばダンジョンズ&ドラゴンズ)ではキャラクターがそれらを混ぜた場合に何が起こるかといった「混和性」のルールを持っており、試験管内(in vitro)または体内(in vivo)といった混ぜる条件でも変化する[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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