深良用水(箱根用水)
延長1.28km
灌漑面積527.153ha
取水元芦ノ湖(神奈川県箱根町)
合流先深良川(静岡県裾野市)
流域静岡県裾野市
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深良用水(ふからようすい)は、箱根山をトンネルで貫き、神奈川県・箱根の芦ノ湖の湖水を静岡県裾野市に引くために造成された灌漑用水路。箱根用水(はこねようすい)とも呼ばれる。
概要深良用水の断面図深良水門深良用水の芦ノ湖側隧道入口
江戸時代前期の1666年に工事開始。1670年に完成し、以降現在に至るまで、裾野市、御殿場市、長泉町および清水町の一部事務組合である芦湖水利組合により、灌漑用水、生活用水、防火用水、東京発電による深良川第一発電所の水力発電用水として利用している。しかし現在は2級河川の芦ノ湖の管理者は河川法により神奈川県となっている。全長は1,280メートル。芦ノ湖の水門から、湖尻峠付近の地下を通り、神奈川・静岡県境を越え、狩野川水系黄瀬川支流の深良川に注いでいる。
2020年(令和2年)、通水350周年の節目を迎えることから用水を運営する県芦湖水利組合、裾野市が記念事業を行う準備を進めている。トンネル内は、毎年春と秋に計2回点検作業を行っているが、一般参加を認めることも検討されている[1]。2023年(令和5年)9月に土木学会選奨土木遺産に認定された[2]。 深良用水のかんがい(水掛)面積は、527.153ヘクタール(内訳:裾野市336.541ヘクタール、御殿場市1.760ヘクタール、長泉町172.658ヘクタール、清水町16.194ヘクタール)[3]。 隧道の長さは、1280.3メートル[4]、幅は1.8メートル[5]、高さは1.8メートル[5]である。 深良用水は、「箱根用水」とも呼ばれるが、その他にも「箱根掘抜水」「箱根湖水」という名称も確認される[6]。2014年(平成26年)世界かんがい施設遺産として登録された際には「深良用水」として登録された[7]。本用水を運用管理する静岡県芦湖水利組合およびその前身となる組織が組合規約や組合決議等で使用する名称も「深良用水」[6]以外に、古くは「箱根湖用水」「箱根用水」[8]、「芦湖用水」[9]が使用されている。 深良用水で灌漑される地域は、上郷、中郷、下郷がある[10]。 主要な堰は上郷に13か所、中郷に17か所、下郷に26か所ある[11]。 伊豆島田と水窪の境の黄瀬川本流にある大型の堰。ここで取水された水は、裾野市、長泉町、清水町の下郷全域に配水されている[11]。 水窪大堰で取水した水を、三方向へ分流する堰。西への流れは水窪、納米里へ、東の流れは伊豆島田の用水になっている。中央の流れは中川(下流部では久保田川)と呼ばれ、上土狩、下土狩、竹原、伏見を灌漑し、伏見で黄瀬川に合流する[11]。
かんがい面積、隧道長さ・深さ・幅
名称
流域の自治体、流路
御殿場市
神山[10]
裾野市
深良、岩波、上ケ田、金沢、葛山、御宿、千福、桃園、富沢、伊豆島田、水窪[10]
長泉町
南一色、納米里、上土狩、中土狩、下土狩、竹原、本宿[10]
清水町
伏見、新宿[10]
堰
上郷
豊後堰[11]
古川堰[11]
太郎右衛門堰[11]
利平埋樋[11]
五反田水門[11]
弥平治埋樋[11]
橋場堰[11]
大洞堰[11]
カロウト堰[11]
古堰[11]
切久保堰[11]
千福堰[11]
富沢堰[11]
中郷
佐野堰[11]
大柄沢堰[11]
宿堰[11]
上野田堰[11]
下野田堰[11]
横堰[11]
大堰[11]
九尺堰[11]
舞台堰[11]
若狭堰[11]
稲荷堰[11]
中曽根堰[11]
中丸辻堰[11]
八幡堰[11]
小柄堰[11]
用水堰[11]
赤石堰[11]
下郷
水窪大堰
三俣堰
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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