消防自動車
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消防車 > 日本の消防車

陸上自衛隊の消防車については「消防車 (陸上自衛隊駐屯地用)」をご覧ください。

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1. 塗色がスカーレッドの車両の写真(通常の赤色車両と違いのわかるもので)
2. 速消小型水槽車(正面、バックハッチが開き艤装が見えるもの、以上2つ)の画像提供をお願いします。(2012年10月)
消防車(大阪市鶴見消防署)
左から、はしご車と小型タンク車など

消防車(しょうぼうしゃ)は、火災その他災害に際してその鎮圧や防御を行う際に使用される特殊な装備を持つ自動車である。日本では、朱色に塗られた(道路運送車両法に基づく)特種用途自動車の一つで、用途の関係から、緊急自動車の一つに指定されている。

消防車は主に、各地の消防本部消防団で保有している他、化学工業系の企業、空港、石油化学コンビナートなど危険物保有施設に置かれる自衛消防組織自衛防災組織原子力防災組織が保有している。 また、皇宮警察本部国会議事堂衛視も消防業務を行っているため、消防車を保有している。

また、あらゆる事態に対応するためにエンジンを後方に積んだ車輌、キャビンが大きく前にせり出した特殊なシャーシを持つ車輌、クレーン車をベースとする車輌など、外見上の特徴が強烈な車輌が多い。
目次

1 呼称

2 種類

2.1 可搬消防ポンプ積載車

2.2 消防ポンプ自動車・水槽付消防ポンプ自動車

2.2.1 消防ポンプ自動車の型式区分

2.2.1.1 ボンネット型

2.2.1.2 キャブオーバー型


2.2.2 水槽付消防ポンプ自動車の型式区分

2.2.2.1 速消小型水槽車



2.3 化学消防ポンプ自動車

2.4 はしご自動車各種

2.5 救助工作車

2.6 大型水槽車・動力ポンプ付き水槽車

2.7 指揮車(指令車)

2.8 司令車

2.9 二輪消防車

2.10 特殊災害対策車

2.11 支援車

2.12 工作支援車等


3 現行でない特殊な消防車両

4 消防車共通の装備

4.1 消火器

4.2 サイレン等

4.3 警光灯

4.4 行灯

4.5 車体塗色

4.6 対空標示


5 主な消防車メーカー

6 歴史的消防車

7 関連項目

8 脚注

9 外部リンク

呼称

日本では、消防法第26条に「消防車」と表記されている一方、消防庁告示の「消防力の基準」では「消防ポンプ自動車」となっている。(「消防自動車」という表記はない)。 道路交通法によると緊急自動車の区分として「消防用自動車」という区分がある。 救急車などをふくめての車両全体を「消防車両」という。

一般的な概念では通常火災に対応して出動するポンプ車や、小型動力ポンプ積載車、はしご車などが 「消防車」 と呼ばれる。 なお、サイレンの音は製造メーカー(パトライト大阪サイレン製作所が両雄)や地域によって異なる。
種類
可搬消防ポンプ積載車

可搬消防ポンプ積載車は 通常 「 積載車 」 と呼ばれ、単に自動車 といえば、「消防ポンプ自動車」のほうを指す。
大多数の市町村では、この可搬消防ポンプ積載車と消防ポンプ自動車が
消防団の 主力装備 となっており、消防本部が有する 全ての消防車の数よりも 台数が多い。

一般的には 3トン級の車両が多いが、活動する地域の道路幅などの地理的条件を考慮して、小回りが利く軽自動車を改造したタイプの車両などもある。 後述の 消防ポンプ自動車と装備に ほとんど差はなく ホース、吸管(きゅうかん)、小型の3連はしご、ホースカー(一部のみ)等を装備しており、消火栓防火水槽に吸管を入れ、ポンプで水を吸い上げ、ホースから放水する。
消防ポンプ自動車と異なる点としては、後部の荷台に積載した 可搬消防ポンプ という、車のエンジンとは別の 独立した動力機を持つ可搬式の消防ポンプによって放水する点である。 したがって、積載車の「自動車部分」は ポンプ等の輸送手段という見方もできる。 (「消防ポンプ自動車」は、自動車のエンジンで消防ポンプを動かしているため放水量も多いが、火災現場で消防ポンプの取り外しや移動が出来ない。「可搬消防ポンプ積載車」 は、ポンプの取り外しや移動が可能。)

自治体消防(消防本部)の消防車と異なる外見上の特徴としては、車体の正面に 消防団の紋章 が入っている点である。
さらに車体の正面や側面に、金色や白色の線で 装飾 が施されている。(車両によっては、装飾のない車両もある)
また、車両の屋根(上部)には 防災ヘリなどへの対空表示として、校区名や分団名などが表示されている。
同じ消防団の中でも 乗員が4人乗りから9人乗りのもの、赤色回転灯やサイレン の数や形が異なるもの、後部に幌(ほろ)が付いているものなど、いろいろなバリエーションがある。
一部の大学自衛消防隊が独自に所有し、学生団員が運用している消防車も、この可搬消防ポンプ積載車である[1]


可搬消防ポンプ積載車
(館林消防団)

可搬消防ポンプ積載車
(宇城市消防団)

可搬消防ポンプ積載車
(熊本市消防団)

3列目の座席があるタイプのポンプ積載車
(宇城市消防団)

後部に幌がついているタイプのポンプ積載車
(熊本市消防団)

同じ消防団でも分団によって赤色灯の形が異なる例
(嘉島町消防団)

ミニ消防車
(城東消防団)

ポンプ積載車の屋根に 校区名が対空表示されている例
(熊本市消防団)

可搬消防ポンプ積載車 (廃車)
(四街道市消防団)

消防ポンプ自動車・水槽付消防ポンプ自動車

略称P・T。通常は消防車と言えば揚水・放水機能を持つポンプ車を指す。 ホース、吸管、小型の3連はしご、ホースカー(一部のみ)等を装備する。可搬消防ポンプ積載車と装備に大きな差はないが、自動車のエンジンでポンプを動かしているため、放水量は多い。 消火活動は、消火栓防火水槽に吸管を入れ、ポンプで水を吸い上げ、ホースから放水することが基本となる。
地域によってはウインチ・救急キット(応急処置対応の医療器具や・除細動器)が装着されている車両もあり、火災以外の救助・救急事案等で、救急車救助工作車が到着するまでに処置をとることが可能である。救急車より先にポンプ車が現場に到着するケースを想定している自治体も多い。(詳細は日本の救急車参照)

一部のポンプ車は総重量が3500kg以上になり準中型自動車に分類されるため、2017年3月以降に普通自動車免許を取得した場合、そのような車両を運転できない。

放水の仕方には用途によって次の三種類を使い分けている。

ストレート注水 - 消火の基本。文字通り水をノズルで加速した上で放水する方式。

噴霧注水 - ノズルで水を霧状にして噴射する方式。主として消防士を煙や熱から守るために使われる。

俯瞰注水 - はしご車で火災の上方から注水する方式。

なお、同じ方式でも船上火災では呼称が異なり、例えば海上保安庁ではストレート注水を"直接放水"、噴霧注水は霧の形状により、さらに「高速水霧」(主として消火用)と「低速水霧」(隊員防護用)と使い分けられている。「ポンプ隊」も参照
消防ポンプ自動車の型式区分

車体形状

ボンネット = B

キャブオーバー = C


座席配置

シングルキャブ = S

ダブルキャブ = D


ホイールベース

2 m 以上 = I

3 m 以上 = II


ボンネット型
BS-I型
トヨタ・BH / FH型
トヨタ・ランドクルーザーBJ型、20、40、55・56、60、70系、日産・ファイアーパトロール / パトロール4W60、60、160型等をベースとしたポンプ車。これらの車種はもとよりの悪路走破性の高さはもちろん、小回りの利くサイズ、重量物の架装に都合のよい頑丈なはしごフレームを持ち、ポンプの長時間連続運転を支える大排気量エンジンを搭載した点が評価されていた。60型パトロールには2輪駆動車も多い。かつては消防団で主力車種として配備されており、地方を中心に常備消防でも数多く配備された。2002年にランドクルーザー70の消防用シャーシが廃止されたこと、近年の道路舗装率の向上や消防装備の増加などにより、現在ではよりスペース効率の良いキャブオーバー型の配備が進んでおり、ボンネット型は配備数の急速な減少が予想される。
BS-II型
4tクラスの車両がベース。
BD-I型
BS-I型のダブルキャブ版。

消防ポンプ自動車(BD-I)
トヨタ・ランドクルーザー60
岩手県盛岡地区広域行政事務組合

BD-II型
4tクラスの車両がベース。
キャブオーバー型
CD-I型
いすゞ・エルフトヨタ・ダイナ日野・デュトロ日産・アトラス三菱ふそう・キャンター等、3tトラックシャーシをベースとしたポンプ車。小型の車体ではあるがA-2級のポンプ、はしご、ホースカーなど一通りの装備を備えており、側面をアルミシャッター付き積載庫とすることで、各種資機材を搭載した車両も多い。全国の消防団でボンネット型に代わる車両として 数多く活躍しており、常備消防でも大都市や地方の出張所等に配備されている。

消防ポンプ自動車(CD-I)
トヨタ・ダイナ
(いなべ市消防団)

ハイルーフキャブの例
埼玉県南西部消防本部

シャッター式の例(開放時)
消防ポンプ自動車(CD-I)
いすゞ・エルフ
横浜市消防局

シャッター式の例
消防ポンプ自動車(CD-I)
日野・デュトロ
熊本市消防局

CD-II型
いすゞ・フォワード日野・レンジャー三菱ふそう・ファイターなど4t以上の中型トラックに艤装したポンプ車。A-2級のポンプ、はしご、ホースカーなどに加え、積載庫に引き出し式のラックを備えて救助資機材を積載し、救助工作車の代わりとしている車両も多い。このクラスは消防団では少数派であるが、常備消防では主力して数多く配備されており、分署や出張所クラスでは本タイプと救急車が各1台配備されている事例が多い。

消防ポンプ自動車
(CD-II)
UD・コンドル
東京消防庁・更新済廃車)

消防ポンプ自動車
(高崎市等広域消防局)

消防ポンプ自動車
(加須地区消防組合)

水槽付消防ポンプ自動車の型式区分

水槽付き消防ポンプ車は消防ポンプ車に消火用の水タンクを搭載した車両で、消火栓や防火水槽などの水利を利用しなくても消火する事ができる。現着後、素早く消火活動に入れるため、消防ポンプ車についで多く配備されている。地域や署によっては「タンク車」や「即消車」とも呼ばれている。水I型は4 - 5tクラスのシャーシに艤装したもので、水I-A型は1,500Lの水槽を装備し、ホイールベースを短くすることで機動性を向上させたタイプ。水I-B型は1,500Lの水槽を装備する一般的なタイプである。A-2級のポンプ、はしご、ホースカーなどCD型ポンプ車と同等の装備を有している。
I-A型


はしご・水槽付ポンプ車(I-A型)
日野・スペースレンジャー
(札幌市消防局・更新済廃車)

I-B型


水槽付ポンプ車(I-B型)
日野・レンジャー
(豊田市消防本部)

水槽付ポンプ車(I-B型)


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