消費電力
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消費電力(しょうひでんりょく)とは、電気回路において消費される電力のこと。基本的には、ワット時W⋅h)で表される。
消費電力 E = 電圧 V × 電流 I × 力率 cosθ × 時間 t という公式で表される。
概要

機器に投入された電力は光・熱・動力などの有効外部出力とそれ以外の利用されない出力に変換される。光源の場合、理論値である683 lm/Wを1とすると、白熱電球は消費電力の1.6?2.6 %、蛍光灯は5.9?16.1 %、LED照明は2.9?14.6 %が有効な光を出力している。詳しくは発光効率を参照。一方、電熱機器やモーターではかなりの高効率で有効な出力が得られる。電力効率を参照。

電力を生産(発電)する段階では、化石燃料を消費する火力発電の場合は熱変換効率が33?48 %、原子力発電の場合は約30 %であり大半が排熱として排出されている。OECD/IEAの報告によると、2008年度の全世界での正味発電量は発電のために投入した全エネルギーの33 %であった。

消費電力を削減することは、資源枯渇を防ぐためにも、発電の環境負荷を減らすためにも、つまり地球温暖化によって起こる諸問題(氷河消失、海面上昇による島々の消失、ベネチアなどの洪水、世界での異常気象の常態化など)改善するためにも必要なことであり、最近では世界中で取り組まれていることである。
各国の電力消費概観電力のデータはOECD/IEAの2008年より[1]、人口のデータはCIAザ・ワールド・ファクトブック 2009より[2]。(注)表の中に年度の違うデータの計算結果の表示がある。以下の表にリストした30か国は人口がトップ20位か、GDPが20位以内の国と、参考にサウジアラビアを含めた。これら30か国の合計は対全世界比、人口で77 %、GDPで84 %、消費電力で83 %であり、各数値の30か国の平均値は全世界の平均値と近似している。消費電力は最終消費のみではなく中間消費および損失も含む。

電力消費とGDP (PPP)国名人口
(100万人)順位*GDP (PPP)
(10億ドル)順位*GDP (PPP)
1人当たり順位*電力消費
(GW⋅h/年)順位**1日1人
(kW⋅h)順位**GDP (PPP)
(ドル)
/kW⋅h*
全世界6,7840$70,0480$10,325020,279,64008.1803.5
 中国1,3391$7,9922$5,9691333,444,10827.04172.3
 インド1,1662$3,3044$2,834166860,72352.02233.8
 アメリカ合衆国3073$14,4401$47,036114,401,698139.2523.3
 欧州連合*5410$16,2210$29,98303,635,604018.4004.5
 インドネシア2404$91715$3,821158149,437201.70246.1
 ブラジル1995$1,9989$10,040102505,08396.95184.0
 パキスタン1766$43127$2,44917291,626241.43264.7
 バングラデシュ1567$22649$1,44919635,893270.63276.3
 ナイジェリア1498$33635$2,25517621,110280.392815.9
 ロシア1409$2,2716$16,221721,022,726420.00102.2
 日本12710$4,3403$34,173361,083,142323.3564.0
 メキシコ11111$1,56711$14,11777257,812146.36196.1
 フィリピン9812$31837$3,42516260,819261.70255.2
 ベトナム8713$24245$2,78216776,269252.40223.2
 エチオピア8514$7078$8242163,777300.123018.5
 エジプト8315$44526$5,361135130,144224.29213.4
 ドイツ8216$2,9255$35,67133617,132720.6184.7
 トルコ7717$90416$11,74092198,085197.04164.6
 コンゴ民主共和国6918$21120$3042266,939290.28293.0
 イラン6619$84417$12,78886211,972178.79154.0
 タイ6620$54924$8,318115149,034216.18203.7
 フランス6421$2,1338$33,32838526,862822.5474.0
 イギリス6122$2,2367$36,65630400,3901117.97135.6
 イタリア5823$1,82710$31,50041359,1611216.95145.1
 韓国4925$1,33813$27,30649443,8881024.8053.0
 スペイン4132$1,40212$34,19535303,1791320.2594.6
 カナダ3337$1,30314$39,48522620,684651.5012.1
 サウジアラビア2941$57822$19,93159204,2001819.28122.8
 台湾2349$71419$31,04342238,4581628.3943.0
 オーストラリア2154$80318$38,23825257,2471533.5433.1
 オランダ1759$67420$39,64720123,4962319.89115.5

人口とGDP は CIA ザ・ワールド・ファクトブック 2009 より

消費電力 は 国際エネルギー機関/OECD 2008 より

順位* 人口とGDPのランクは全世界で

順位** 消費電力のランクはこの表の中での

EU* はIEA/OECDのメンバーの国オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス

GDP (PPP)(ドル)/kW⋅h*は1 kW⋅hあたり生産されるGDP (PPP)の額。 Energy Intensityと同様の概念であるが、ここでは消費電力のみ考慮している。
日本の電力消費

上の表を詳細に読めば世界の電力消費の状況は理解できるわけであるが、それをあえて日本に焦点をあてて説明すると以下のようになる。

2008年には日本では1083142 GW?hの電力が消費された。これは世界で3番目の消費量であり、全世界消費量の5.3 %であった。最大の電力消費国は米国で4401698 GW?hで全世界の22 %、次が中国の3444108 GW?h(全世界の17 %)。

1人あたりの消費量では日本は1日23.35 kW⋅hで世界平均(8.18 kW⋅h)のほぼ3倍、ドイツの20.61 kW⋅hの113 %、イギリスの17.97 kW⋅hの130 %であった。

エネルギーの経済効率として消費電力あたりのGDP (PPP)金額をみると、日本は1 kW⋅hあたり4.0ドル生産した。この数値は寒冷地では暖房、熱帯では冷房など直接生産金額に反映されない消費があり、また電力にあまり依存しない生産活動(例えば農業)の比率が大きくなるとエネルギー効率の数値は高くなる。単純に他の国との比較は出来ないが、ドイツは4.7ドル/kW⋅h、フランス4.0ドル、イギリス5.6ドル、イタリア5.1ドル、韓国3.0ドルであった。


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