海霧(うみぎり[1]、かいむ[2]、英語: sea fog[3][4])は、海で発生する霧のことである。
発生方法は、暖かく湿った空気が、冷たい海面に接することで生じる移流霧
(英語版)[5]・蒸気霧という広義の移流霧によって発生しやすい[6]。日本の北海道や、千島列島を含む北部北太平洋では、夏になると海霧が発生しやすくなる[7][8]。これは北太平洋高気圧から吹き出す比較的温暖湿潤な空気が、寒冷な親潮の影響を受けて海霧を生じさせるものである[7]。また、人為的物質を含めた陸由来の空中の微粒子の存在も、霧を発生させやすくする要因のひとつである[7]。内陸部の背後に山地がある関係で、釧根地方では流れ込んだ海霧が滞留しやすく、日照期間が少ない冷涼な気候になっている[8]。北海道沿岸、特に釧路などでは、こうした海霧を「じり」と称し[9]、しばしば「霧と霧雨の中間」などとも表現される。
釧路市(1981 - 2010)の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
平均最高気温 °C (°F)?0.6
(30.9)?0.4
(31.3)2.7
(36.9)7.7
(45.9)12.0
(53.6)15.2
(59.4)18.6
(65.5)21.2
(70.2)19.7
(67.5)14.8
(58.6)8.7
(47.7)2.5
(36.5)10.17
(50.33)
平均最低気温 °C (°F)?10.4
(13.3)?9.9
(14.2)?4.9
(23.2)0.3
(32.5)5.0
(41)9.0
(48.2)12.8
(55)15.5
(59.9)12.3
(54.1)5.5
(41.9)?0.8
(30.6)?7.1
(19.2)2.28
(36.09)
平均月間日照時間182.0181.9200.6181.9188.3129.3107.4127.1149.7180.9166.6173.61,969.5
出典:気象庁[10]
オホーツク海沿岸ではオホーツク海高気圧によって海霧が生じると考えられているが、発生の詳しい仕組みは明らかになっていない[11]。
文学における言及
俳句では「じり」と読み、夏の季語である[12]。
釧路市出身の作家である原田康子は、『海霧』(うみぎり:2002年)で第37回吉川英治文学賞を受賞した[13][14][注 1]。
窪田精は、北海道の開拓民の生活を描いた『海霧のある原野』(1978年)で第10回多喜二・百合子賞を受賞した[15]。
脚注
注釈^ このほか、加賀乙彦、赤羽尭に同名の別作品がある。
出典^ 百科事典マイペディア『海霧