海難事故
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「海難」はこの項目へ転送されています。2015年公開の映画作品については「海難1890」をご覧ください。
2009年に起きた海難事故2006年10月に鹿島灘で発生した香港船籍の貨物船「オーシャン・ヴィクトリー」の座礁事故 [注 1]積丹半島 西の河原に残骸となって今なお残る難破船。積丹半島は、船の難所であった。

海難事故(かいなんじこ)は、上および隣接水域における船舶に関して生じた事故であり、人や船舶やその積荷に損傷を生じるもののことである[1][2]

本記事では海難事故に加えて、それと関連のある「海難」という概念についても解説する。
概説

海難事故とは、一般的に、海上および隣接水域における船舶に関して生じた事故で、(かつ)人や船舶や積荷に損傷を生じるもののことである[1]。海難事故は事故の一種である。

「海難事故」を略して「海難」と呼ぶこともがあるが、両者の指す範囲は異なっており、海難のほうはより広義の海上危険(maritime perils)の一種で、イギリスの海上保険法では海上危険を、海難、火災戦時危険海賊、窃盗、拿捕捕獲、押止押差、投荷、船員の悪行、その他類似の危険及び保険証券記載の危険に分けている[3]。歴史的には海難(perils of the sea)は、狭義に風浪の異常など絶対的自然力により発生する海に固有の危険のみが海難とされたこともあった[3]。しかし、現代では平穏な海上で船舶が暗礁に乗り上げて沈没した場合や、他船の過失によって衝突し浸水沈没した場合も海難として扱われている[3]。海難を海の作用に限らない考え方は少なくとも19世紀後半には一般的になっていた[3]

日本の海難審判法2条に定義される「海難」も以下のようなものとなっている。
船舶の運用に関連した船舶又は船舶以外の施設の損傷(海難審判法2条1号)

船舶の構造、設備又は運用に関連した人の死傷(海難審判法2条2号)

船舶の安全又は運航の阻害(海難審判法2条3号)

冒頭の定義文に「平時に」と書かれているように、一般的に戦時のもの、つまり戦争に起因する被害は「海難事故」に含まれない、とすることが多い。海難には船舶の衝突、乗り上げ、火災、沈没、エンジン事故、操舵装置の事故なども含まれる[1]。船舶の大型化・巨大化と海上物流のグローバル化の傾向にあるため、大きな海難が発生すると、海難防止制度や海上保険制度にも大きな影響を与えるようになった[1]

なお、日常用語では「難破(なんぱ)」ということもあるが、専門用語では、難破(シップレック、shipwreck)は、風浪の作用によって船舶が打ち砕かれ、船体の一部あるいは積荷が海岸に打ち揚げられたり海上を漂ったりすることをいう[3]
事故の態様

海難事故の態様としては、以下のようなものがある[4]民間のコンテナ船ACX クリスタルと衝突し破損したアメリカ海軍のフィッツジェラルド

衝突広義には船体が海水以外の外部の物体(他の船舶、防波堤桟橋、突堤、浮標、灯台等)と接触することをいい、狭義には船舶が他の船舶と衝突することをいう[3]。法令上、契約上の「衝突」の範囲はそれぞれ異なる。

座礁(坐礁)座礁は一般的には船舶が偶発的原因により所定の航路を離れて岩礁、海岸、浅瀬に乗揚げ航行を阻害されることをいう[3]

沈没沈没がいかなる状態か学説は分かれるが、一般的には船体の水面下への没入が全部か一部かを問わず、船舶が浸水によって航行性を奪われることをいう[3]。木材等の浮力のある積荷の影響や浅瀬での事故などでは船体の一部が海上に現れたままのこともあるが船舶の航行性が奪われていれば沈没と呼ぶべきとされている[3]

転覆転覆(洞爺丸 1954年)船体がなんらかの理由(復原性の不足、気象・海象など)で上下逆になるもの。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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