海藻
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海草」とは異なります。
海中のワカメ

海藻(かいそう、: Seaweed)は、藻類のうち容易に肉眼で判別できる海産種群の総称[1]
概説海上から見たケルプの森

藻類には海産のものと淡水産のものがあり、このうち海藻は海産種群を指す[1]。ただし、いわゆる微細藻類は含めず、肉眼的な大きさのものを指すことが多い[2]

これとは別にアマモのように海産植物ではあるが陸上植物と同様に根・茎・葉を有し、花を咲かせる種子植物もある。これらには「海草」の字が当てられ、海藻とは区別される[1]。海水域に生息する種子植物はアマモ類などの非常に限られた種類だけであり、その生息環境も沿岸部での限定的なものである。多くの海草が砂泥底に生育するのも海藻とは大きく異なる。

海藻は系統学的には異質な複数の分類群から成り立つ。これを反映して形態をはじめ生物学的な性質には大きな多様性が見られる。
分類

代表的なものは以下の三つの群である。紅藻と緑藻はアーケプラスチダ(広義の植物)であるが、褐藻はストラメノパイルである。詳細については、各群の項を参照されたい。ここでは海藻として代表的なものを挙げる。
褐藻類:ウミトラノオ、コンブヒジキヒバマタホンダワラモズク、ラッパモク、ワカメ

紅藻類:アサクサノリテングサ

緑藻類アオサアオノリカサノリ、サボテングサ、フサイワヅタ、ミル

生態様々な形の海藻

潮間帯から深さ数十mの海底にまで生息する。一般に、緑藻が浅いところに、紅藻が最も深いところまで生息すると言われる(補色適応説)。1mを超えるような大型種は褐藻類に見られる。また、熱帯の海では大型の海藻は少なく、寒い地方に大型の海藻が多い。ほとんどの種が海底に根のような構造で固着しているが、ある時期が来ると根元から離れて海面を漂う種も存在する。そのようなものが固まって流れているのを流れ藻と呼んでいる。また、大部分は岩の上に張り付くように根を張っているので、海藻は圧倒的に岩礁海岸に多い。

温帯では一般に海藻の活動が盛んなのは春から初夏で、それ以降は不活発になってしまう。これは肥料分が制限要因となっており、冬季に微生物の活動等で蓄積された肥料分が使い尽くされるまでが活動のピークとなるからと言われる。
役割

重要な生産者であると同時に、小さな動物の住みかとしても重要な存在である。岩礁海底の海藻の群落は藻場と呼ばれて、多くの魚類の稚魚のよりどころとなっている。

平成に入って、日本各地でこのような藻場の衰退が聞かれるようになった。このような現象を磯焼けと呼んでおり、沿岸漁業にとっても重要な問題と考えられ、現在その原因や解消法が研究されている[3]鉄鋼スラグの加工物を沈めて海藻を根付かせるといった対策が実施されている[4]

また海藻は温暖化ガスの一つである二酸化炭素を吸収する。このため藻場づくりやコンブの養殖は、青い(ブルー)海で二酸化炭素(カーボン)を吸収するという意味で、海草や塩性湿地マングローブとともに「ブルーカーボン」と呼ばれる(陸上植物による光合成は「グリーンカーボン」)[5]
利用
食用レイヴァーブレッド(英語版)(パンにディップした西洋ノリPorphyra umbilicalis干したダルス南米のコチャユーヨ(英語版)のサラダ詳細は「食用海藻(英語版)」、「en:Category:Edible algae」、および「de:Kategorie:Lebewesen in menschlicher Nutzung und Haltung」を参照

海藻には水溶性食物繊維が豊富に含まれており[6]、水溶性食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑制する[7]。人間に必要な多種の栄養素を含んでいる。

日本では海藻は食材として重要である。だし取りや煮物の素材としてのコンブ、漉いて紙状に乾燥させたり佃煮や汁物の具材に用いる海苔、汁物や煮物の具材としてのワカメ寒天心太(ところてん)にして供されるテングサ、主に煮付けとして供されるヒジキ、酢の物として供されるモズク、あるいは褐藻・紅藻・緑藻の種を問わず鮮魚の刺身の盛り合わせのツマとして大根の千切りや大葉などとともに彩りとして用いられるなど、日本料理の体系で中心的な位置を占める。

日本以外では、ケルト系のスコットランドアイルランドが突出した海藻食文化を持っている。ダルス、イボノリ、ヒバマタ、ツノマタ、トサカモドキ、アオサなど伝統的に多種の海藻を食していた。また、チリ沿岸に生息するダービリア・アンタルティカ(英語版)(ダービリア、もしくはコチャユーヨ)と呼ばれる海藻は、1万4000年前から汁物の具として食されていた[8][9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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