海王星
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海王星
Neptune

ボイジャー2号が撮影した海王星の画像。中央に大暗斑とそれに付随した明るい模様が見え、西側の周縁には「スクーター」と呼ばれる、移動速度が速い明るい模様と小さな暗点が見られる。
見かけの等級 (mv)7.67 - 8.00[1]
視直径2.2 - 2.4[2][3]
分類天王星型惑星
発見
発見年1846年9月23日[4]
発見者ユルバン・ルヴェリエ
ジョン・アダムズ
ヨハン・ガレ[4]
発見場所 ドイツベルリン[5]
発見方法望遠鏡による観測
軌道要素と性質
元期:J2000.0[注 1]
平均公転半径4,495,060,000 km[2]
軌道長半径 (a)30.181 au
(4,514,953,000 km[2])
近日点距離 (q)29.887 au[2]
(4,471,050,000 km[2])
遠日点距離 (Q)30.474 au[2]
(4,558,857,000 km[2])
離心率 (e)0.0097[2]
公転周期 (P)164.79 [2]
60,189 地球日
89,666 海王星太陽日[6]
会合周期367.49 日[2]
平均軌道速度5.43 km/s[2]
軌道傾斜角 (i)1.76917°(黄道面に対して)[2]
6.43°(太陽の赤道面に対して)
0.725429°(不変面に対して)[7]
近日点黄経 ( ϖ {\displaystyle \varpi } )44.97135°[2]
昇交点黄経 (Ω)131.72169°[2]
平均黄経 (L)304.88003°[2]
太陽の惑星
衛星の数16[8]
物理的性質
半径24,622 ± 19 km[9][注 2]
赤道半径24,764 ± 15 km[9][注 2]
極半径24,341 ± 30 km[9][注 2]
表面積7.6183×109 km2[10][注 2]
体積6.254×1013 km3[2][注 2]
質量1.02413 ×1026 kg[2]
地球との相対質量17.147
平均密度1.638 g/cm3[2]
表面重力11.15 m/s2[2]
(1.14 g
脱出速度23.5 km/s[2][注 2]
自転周期0.671 [2]
(16時間6分36秒)
アルベド(反射能)0.290(ボンドアルベド[11]
0.442(幾何アルベド[12]
赤道傾斜角28.32°[2]
表面温度46.6 K温室効果なし)[2]
72 K(気圧1 barにおいて)[2]
55 K(気圧0.1 barにおいて)[2]
大気の性質
大気圧深さによって異なる
気体成分[2]
水素80 ± 3.2%
ヘリウム19 ± 3.2%
メタン1.5 ± 0.5%
重水素化水素~0.019%
エタン~0.00015%
氷の成分[2]アンモニア

硫化水素アンモニウム
メタン?
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海王星(かいおうせい、英語: Neptune [?n?ptju?n][13])は、太陽系の第8惑星で、太陽系の惑星の中では一番外側を公転している。直径は4番目、質量は3番目に大きく、地球の17倍の質量を持ち、太陽系のガス惑星としては最も密度が高い。海王星は組成が類似し直径がやや大きい天王星の質量(地球の15倍)よりもわずかに大きい[注 3]。164.8かけて公転しており、太陽からは平均30.1 au(約45億 km)離れている。名称は、ローマ神話における海神ネプトゥーヌスに因んで命名され、惑星記号「?」はネプトゥーヌスが持つ三叉槍を様式化したものである。

肉眼で観望することは出来ず、太陽系において唯一、経験的観測でなく数学的予測によって発見された惑星である。フランスの天文学者アレクシス・ブヴァールは、天王星の軌道の予期せぬ変化から、天王星の軌道が未知の惑星の重力による摂動のために生じているという推論を導いた。その後、ユルバン・ルヴェリエによって予測された範囲内の位置で1846年9月23日ヨハン・ゴットフリート・ガレ望遠鏡を用いて発見した[4]海王星の衛星では最大のトリトンは、その後間もなく発見された。現在では他に13個の衛星が知られているものの、地球から海王星までの距離が大きく地上からの観測が困難なため、それらの存在が明らかとなったのは20世紀以降のことである[14]1989年8月25日宇宙探査機ボイジャー2号が海王星を訪れ、フライバイを行った[15]ハッブル宇宙望遠鏡補償光学機能を備えた大型の地上望遠鏡の登場によって、近年は遠方からの更なる観測が可能になっている。

メタンアンモニアなどの「氷」の割合は大きいものの、木星土星と同様に海王星の大気は主に水素ヘリウム、そして微量の炭化水素窒素で構成されている。しかし、天王星と同様にその内部は氷と岩石で構成されている[16]。そのため通常は、天王星と海王星は木星、土星との違いを強調して天王星型惑星(巨大氷惑星)とみなされる[17]。海王星の青い外観は、最も外側の領域に存在している微量のメタンによって作り出されているとされている[18]

霞んだ、比較的特徴を欠いている天王星の大気とは対照的に、海王星の大気は活発で、明確な変化が見られる気候を持つ。例えば、1989年にボイジャー2号がフライバイを行った時点では、南半球に木星の大赤斑に類似した大暗斑と呼ばれる模様が存在していた。これらの気象パターンは、太陽系のどの惑星よりも強い持続的な風によって引き起こされ、観測された風速は2100 km/h(580 m/s)にもなる[19]。太陽からの距離が遠いため、海王星の外側の大気は太陽系で最も温度の低い場所の1つであり、雲頂での温度は55 K(-218 )に近いのに対して、惑星の中心部の温度は約5400 K(約5100 ℃)になっていると考えられている[20][21]。海王星は微かで断片的なを持っている。この環は1984年に発見され、後にボイジャー2号の観測でも確認された[22]

なお深い青色をしていると思われがちだが、それは補正をかけている画像が広く使用されたためであり、実際には天王星とほぼ変わらない青色をしている。
歴史
発見詳細は「海王星の発見」を参照ガリレオ・ガリレイ

望遠鏡を通じて記録されたこれまでで最も初期の観測記録の一部である、1612年12月28日と1613年1月27日にガリレオ・ガリレイが描いた図面には、海王星が位置していた地点が記されていた。しかし、どちらの場合もガリレオは海王星を、を起こしている木星の近くにある恒星と誤って認識していたとされている[23]。したがって、ガリレオは海王星を発見したとはみなされていない。彼が最初に観測を行った1612年12月ごろは海王星は逆行し始めたばかりで、見かけ上の動きが小さかったため、ガリレオの小型望遠鏡では検出できなかったと考えられている。しかし2009年7月に、メルボルン大学の物理学者David Jamiesonは、少なくともガリレオが観測した「星」が背景の恒星に対して相対的に動いているのを認知していたことを示唆する新たな証拠を発表している[24]

1821年に、アレクシス・ブヴァールは海王星の1つ内側を公転している天王星の天文表を発表した[25]。その後行われた観測で、天王星の位置が表と実質的に異なっていることが明らかになり、ブヴァールは未知の天体の重力作用によって天王星の軌道が乱されているという仮説を導いた[26]。1843年、イギリスの数学者ジョン・クーチ・アダムズは彼が所持していたデータを使って天王星の軌道の研究を始めた。ケンブリッジ天文台の所長ジェームズ・チャリスを介して、彼は1844年2月にそのデータを受け取ったジョージ・ビドル・エアリーからの追加データを要求した。アダムズは1845年から1846年にかけて作業を続け、新しい惑星に関するいくつかの異なる推定を立てた[27][28]ユルバン・ルヴェリエ

1845年から1846年にかけて、アダムズとは無関係に、フランスの数学者ユルバン・ルヴェリエは自身の計算方法を開発したが、彼の同胞にその熱意は伝わらなかった。1846年6月に、ルヴェリエが最初に発表した惑星の経度の推定値とアダムズの推定値との類似性を見て、エアリーはチャリスに惑星を探索するように説得させ、チャリスは8月から9月にかけて捜索を行った[26][29]

その間、ルヴェリエは手紙でベルリン天文台の天文学者ヨハン・ゴットフリート・ガレに天文台の屈折望遠鏡で未知の惑星を捜索するように促した。


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