海王星のトロヤ群
[Wikipedia|▼Menu]
冥王星族と海王星のL4ラグランジュ点のトロヤ群

海王星のトロヤ群(Neptune trojan)は、海王星とほぼ同じ軌道を同じ周期で公転する小惑星である。現在、海王星のトロヤ群は17個が知られており、そのうち13個は、海王星を60°先行する太陽-海王星系のL4ラグランジュ点付近[1]、4つは海王星から60°後方に位置するL5ラグランジュ点付近に存在する[1]。海王星のトロヤ群は、木星のトロヤ群に習って「トロヤ群」という用語が用いられている。

大きな軌道傾斜角を持つ2005 TN53の発見は、トロヤ群の「厚い」雲の可能性を示す意味で重要であった[2](木星のトロヤ群の軌道傾斜角は最大40°である[3])。これは、衝突による形成ではなく[2]、凍結による捕獲を示す。半径100km程度の大きな海王星のトロヤ群は、木星のトロヤ群と比べて何桁も多い可能性があると考えられた[4][5]

2010年、初めてのL5ラグランジュ点のトロヤ群である2008 LC18の発見が公表された[6]。海王星のL5領域は、現在、恒星が非常に多く集まる銀河系の中心と視線方向が重なり、非常に観測しにくい位置にある。

ニュー・ホライズンズ冥王星への途上、海王星のL5にある2011 HM102の1.2au以内を通過した。この時にニュー・ホライズンズによる観測が検討されたものの、地球とのデータ通信量の制約により冥王星のフライバイへの準備を優先することとなったため、観測は行なわれなかった[7][8]



発見と探査

2001年、海王星のL4領域にトロヤ群2001 QR322が発見され、太陽系で5番目の小天体が安定に存在する領域となった[注釈 1]。2005年、高い軌道傾斜角を持つトロヤ群2005 TN53が発見され、海王星のトロヤ群は厚い雲を形成していることが示唆された。

2010年8月12日、最初のL5トロヤ群2008 LC18の発見が公表された[6]。これは、銀河中心からの光が塵の雲で隠された時に観測されたものであり[9]、大きなL5トロヤ群は、L4トロヤ群と同じくらい存在していることが示唆された[9]

ニュー・ホライズンズは、冥王星への途上、2014年に海王星のL5を横切る可能性があり、この時に観測ができるかもしれない[5]。銀河中心が塵で隠される場所は、ニュー・ホライズンズの飛行経路と沿っており、探査機が撮影した天体を検出することが可能である[9]。既知の最も軌道傾斜角の大きい2011 HM102は、ニュー・ホライズンズが2013年末に1.2天文単位まで近づいた時に観測できる程の明るさであると考えられている[10]。しかし上述の通り、ニュー・ホライズンズによる観測は見送られた。
ダイナミクスと起源6つのL4トロヤ群の軌道を示すアニメーション

海王星のトロヤ群の軌道は非常に安定である。海王星が現在の位置まで移動した後のトロヤ群のうち、最大で50%のものは太陽系の年齢に渡って保持されていると考えられる[2]。海王星のL5は、L4と同程度に安定にトロヤ群を保持することができる[11]。海王星のトロヤ群は、1万年以内の周期で、ラグランジュ点から最大30°秤動しうる[9]。海王星のトロヤ群から外れた天体は、ケンタウルス族と似た軌道に移る。海王星は現在は、安定なトロヤ群を捕獲することはできないが[2]、34AU以内のケンタウルス族のうち2.8%は海王星と軌道を共有していると予想されている。このうち、54%は馬蹄形軌道、10%は準衛星であり、36%はトロヤ群だと考えられる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef