海洋国
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海洋国家(かいようこっか、: Maritime nation)とは、大陸国家に対置される地政学的概念である。『海との関わり合いの大きい国家のことをいう[1]。』と辞書で説明されるが、海岸線長、領海面積、軍事費、貿易収支その他どの数字をもって「海との関わり合いの大きい」と判定するのか明確な定義は無い。必ずしも島国半島といった地理的な条件を要するわけではない。
概要

海洋国家という概念は、地政学において重要視され、特に軍人であり戦略研究者であったアルフレッド・セイヤー・マハン1890年に発表した『海上権力史論』の「海洋国家論」及び海上権力理論(シーパワー)が有名である[2]。マハンは海洋戦略の観点から、「世界大国となるための絶対的な前提条件は海洋を掌握すること」、「大陸国家であることと海洋国家であることは両立し得ない」とする命題を提出した。

フェニキアカルタゴアテナイヴェネツィア共和国ジェノヴァ共和国ポルトガルスペインオランダフランスイギリスアメリカ合衆国日本が海洋国家の例である[3]

現代においては、海上交通路 (Sea Lines of Communication, SLOCs) の国際共同管理が行われるようになっている。
歴史

古くはフェニキアが海洋国家として成立して交易などで栄えた。古代ローマ帝国もまた共和政ローマ時代のポエニ戦争によるカルタゴ征服以降は海洋国家的な側面を持ち、今日に伝える栄華を築いている。

歴史家の岡田英弘は、モンゴル帝国の弱点をそれが大陸帝国であったところにみ、とりわけ陸上輸送のコストは、水上輸送に比べてはるかに大きいことがあるとした[4]。モンゴル帝国がユーラシア大陸を制圧したあと、欧州日本などの海洋国家が興隆し、大航海時代が始まる原因ともした[5]。東アジアにおいては倭寇も活躍していく。

大航海時代以降、飛躍的成長を遂げたポルトガル海上帝国オランダ海上帝国などが栄えた。近代以降においては無敵艦隊を率いるスペイン帝国バルチック艦隊を率いるロシア帝国などの多くの強力な海軍国があった中、七つの海を制する国として成長した大英帝国勢力均衡植民地拡大による世界戦略を展開し、19世紀に世界屈指の海洋帝国へと成長した。

この帝国主義の時代における海洋国家の安全保障としては、まさに制海権を手中にすることであった。とりわけイギリスは世界に植民地を開き、インド東インド会社を設立、アジア進出の拠点とすることによって軍事通商輸送ネットワークの拡大に努めていった[6]

第一次世界大戦においては、海洋帝国に位置づけられる国家群(イギリス帝国フランス植民地帝国大日本帝国・など)は戦勝国となり、逆に大陸帝国(オーストリア=ハンガリー帝国ドイツ帝国オスマン帝国ロシア帝国)は軒並み敗戦国となるか崩壊していき、国民国家モデルが一部取り入れられながらも海洋帝国の優位は揺らがなかった[7]
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