海水魚
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タマカイ Epinephelus lanceolatus とコガネシマアジ?? Gnathanodon speciosus の群れ

海水魚(かいすいぎょ、: Saltwater fish)は、海水中で生活する魚類の総称。海産魚とも呼ばれる。海水魚は2006年の時点でおよそ1万5800種が知られ、現生の魚類2万8000種のうち約56%を占めている[1]
概要

海水魚とはで生活する魚類の総称で、現生魚類のおよそ56%、約1万5800種が含まれる。最初期の魚類(無顎類の仲間[注釈 1])は海で進化を遂げ、その後の進化の歴史において海水から淡水へ、淡水から海水への進出と適応が何度も繰り返されてきた。現代では海水魚は寒帯から熱帯、沿岸から外洋、表層から深海に至るまで、ほとんどのすべての海域に分布を広げるとともに、漁業資源として世界中で利用される重要な存在となっている[2]

海水は体内よりも浸透圧が高いため、海水魚は水分が体外に流出する脱水の危機に常にさらされている。最も原始的な脊椎動物であるヌタウナギ類は、体液の一価イオンを海水と同レベルに順応させ、サメエイに代表される軟骨魚類尿素などの窒素代謝物を体内に蓄積し、浸透圧を上昇させることで海水への適応を果たした。そして遅れて出現した条鰭綱のグループは、多量の海水を飲むことで、失われる水分を補い、過剰な塩分は塩類細胞と呼ばれる特殊なイオン輸送細胞を通じて排出する機構を発達させ、現代の海洋で最も繁栄する魚類となっている。
分布


有機物供給の多い沿岸域には、サンゴ礁藻場を中心に豊かな魚類相が形成され、多種多様な海水魚が育まれる環境の変化に乏しく貧栄養の外洋における海水魚は限られ、単一種による大集団が構成されることも多い

海水魚は陸に近い沿岸・河口域から遠く離れた外洋、生物量の豊富な藻場サンゴ礁から岩礁・砂泥地帯にかけて、赤道直下の熱帯域から氷点下の南極海、さらには太陽光に恵まれた表層から暗黒の深海に至るまで、あらゆる海水環境にその分布を広げている[2]。成長段階に応じて、または環境や餌生物の季節変動に伴って、それらの間を行き来するものも数多い。

海水魚はその分布範囲に基づいて、外洋表層性(Epipelagic)、深海漂泳性(Deep pelagic)、深海底生性(Deep benthic)、および沿岸性(Littoral)、の4種類に大きく分けられる[3]

外洋表層性の海水魚は水深200mまでの外洋域で生活するものを指し、その多くが広範で世界的な分布域をもつが、比較的沿岸寄りに暮らす種類は限局的な分布を示す場合もある[3]。他のグループに比べ種類は少なく、ニシン目ダツ目およびスズキ目のアジ科サバ科など360種程度が知られているに過ぎない[3][4]

深海漂泳魚および底生魚はいわゆる深海魚と総称されるグループで、いずれも水深200m以深の深海に分布する。海底から離れた中層を主な生息域とするものを漂泳魚と呼び、海底付近で生活するものが底生魚として扱われる。合わせて約3,200種が知られており、漂泳魚は広範な分布を示す一方、底生魚の分布範囲は海底地形によってしばしば隔絶されている[3]

沿岸性海水魚は大陸島嶼の沿岸と、水深200mまでの大陸棚に暮らす魚類が含まれる[3]。サンゴ礁や藻場を中心に著しい多様性を示すグループであり、海水魚全体の7割以上にあたる約12,600種がこの区分に該当する[3]。沿岸域にはスズキ目カサゴ目の仲間が特に多く、大陸棚にかけての海底にはカレイ目タラ目など水産上重要な分類群が分布している。
世界

隔絶した環境になりやすい淡水域とは異なり、海はひとつながりの水圏を構成している。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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