海底ケーブル
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ポリエチレンの外被

マイラーテープ

鋼鉄線

アルミニウム耐水膜

ポリカーボネート

銅又はアルミニウムのチューブ

ワセリン

芯線の光ファイバー

海底ケーブル(かいていケーブル、英語: submarine cable)とは、海底に敷設または埋設された電力用または通信用の伝送路一般を指す。ここでは主に通信用ケーブルについて述べる。電力用は概要のみとなっている。2021年現在、世界の海底には447本の海底ケーブルが張り巡らされている。
概要

海底ケーブルは19世紀半ばから国際通信ネットワークとして重宝された。しかし民間資本であるため必ずしも細かな実態は公にならない。ケーブルを傷つけないよう必要に応じて漁協などには具体的な敷設域が通知される。現在の概略的な敷設状況はインターネット上で見ることができる[1]。いまや北極海航路までもが敷設に利用されている。

水圧への耐圧力や耐水性、サメなどの水棲動物による噛みつきに耐える強度が得られるまで、かつて使われた銅線仕様のケーブルも、現在主流の光ファイバーケーブルも、それぞれの開発において多くの試行錯誤がなされた。しかし、膨大な敷設コストや第一次世界大戦にあったような人為切断、そして東北地方太平洋沖地震にあったような津波被害は避けられない。

初期の海底ケーブルは、ほぼ電信(電報)のみで使われた。戦間期に実用化された大陸間の国際電話では短波帯の電波が使われ、また二次大戦後のファクシミリテレビ中継などにおいても、インテルサットなどの静止衛星を経由する無線通信がもてはやされた。しかし海底ケーブルは無線よりエコーが少ないので、同軸ケーブル光ファイバーが再び世界の海に張り巡らされるようになった。

2003年 - 2013年時点で供給シェアの半分近くをアルカテル・ルーセントが占めている。その企業系譜はシーメンスとガタパーチャまでさかのぼる[2]。かつてAT&T のケーブル部門であった TE SubCom が2位で3割。NECが12%を生産している[3]。一方、光ファイバーケーブルへの投資は2001年がピークであった[4]。他に華為技術やタイコも主要メーカーである。

海底電線は、便宜的に淡水下のものもふくむ。後に述べるテルコンは、ベネズエラ油田のポンプを動かすのに湖水下の送電線を用いた。テルコンの海底電線は当時からポリエチレン加工であった[5]

それからトーマス・エジソンAEG などがシカゴベルリンを中心に電力系統一般を開発した。そして1928年までには、リヒテンシュタインの International Cable Development Corporation を管理会社とする国際電線カルテルができていた[6]スイスを中心としてヨーロッパ16か国の企業がこれに参加した。やがて1950年代に高圧直流送電線を製造する技術が生まれてスーパーグリッドが敷設できるようになった。現在ではデザーテックが推進されており、福島第一原子力発電所事故の後は自然エネルギー財団がデザーテック財団と提携してアジア版スーパーグリッドを構想している。グリッド=電力系統は海底ケーブルでグローバル化する。

2014年4月2日、欧州経済領域内(実行行為としては全世界)の高圧地下・海底ケーブル、および関連製品販売においてカルテルの摘発が公となった。参加者の筆頭であるABBグループは、内部告発を評価されて制裁金を免除された。他の参加者はことごとく制裁金を課されている。フランスの Nexans が7,067万ユーロ、イタリアの Prysmian Group が1億ユーロ超である。後者は違反行為時にゴールドマン・サックスが親会社であったため、約3,700万ユーロの連帯責任を負担している。日本企業ではビスキャスが3,500万ユーロに迫った。他に古河電気工業フジクラジェイ・パワーシステムズ住友電気工業日立電線エクシム昭和電線ホールディングス三菱電線工業が制裁を受けた[7]。カルテルは一般に消費者保護の観点から問題とされるが、通謀自体も社会に対する脅威となる。本件はスマートグリッド事業の特に大規模な部分を焦点としている。総務省はスマートグリッドサービスにおけるプライバシー個人情報を保護できる程度をサービスの便利さと「トレードオフの関係に」あるとした上で、事業撤退は「機会損失が大」としていた[8]。しかしカルテルの発覚は、事業者が通謀している状態で一般消費者の個人情報を共有せずにおけるのかという疑問を投げかけている。

テルコンは通信ケーブルと海底電線をともに手がけた。後述のイースタン・グループマルコーニ社と合併してケーブル・アンド・ワイヤレスとなった。二度の世界大戦は個人の尊厳を蹂躙したが、テルコン及びC&Wも共に戦争で大きな仕事をした。良くも悪くもケーブルは、通信用と送電用とに関係なく、世界中の歴史と地域と個人の生活をつないでいる。
通信技術

通信ケーブルの構造や材質は時代とともに移り変わってきた。戦後しばらくは同軸ケーブルが、今では光ファイバーケーブルが、国際通信の主役として利用されている。通信線を保護するために耐水性のポリエチレンが巻かれ、また水圧海流による擦れに対しては通信線の周囲をワイヤーを何重にも巻くことで対処している。もちろん絶縁処理も施されている。

架空または地中ケーブル同様に、中継器と呼ばれる信号の増幅装置を設置する必要がある。中継器は電信ケーブルの時代から存在しており、イギリスのケーブルで最初に中継器が使われたのは1924年であった[9]。現代でも、同軸ケーブルでは数キロメートル単位で、同軸ケーブルより損失が小さい光ケーブルでは数十キロメートル単位で設置されている[10]。同軸ケーブル、光ケーブルともに、中継器用の電力伝送路も持つ[11]。光ファイバーケーブルの中継器は、初期のころはケーブルからの光信号を電気信号に変えてから増幅し、再び電気信号を光信号に戻して出力するという再生型中継器が一般的であったが、1980年代後半に、光信号を電気信号に変えることなく増幅する光ファイバー増幅器が開発され、1990年代から実用化されている[12]

2地点間を結ぶだけでなく障害発生時にも継続的に利用できるように、ケーブルの経路をリング状に構成する点など、ノード面においても他のケーブルと同一の工夫がされている。日本の周囲には、国内通信用に沿岸部や離島を接続している国内ケーブルと、外洋ケーブルが張り巡らされている。外洋ケーブルは沖縄県具志頭村神奈川県二宮町などにある海底ケーブル陸揚(りくあげ)局で終端され、日本国内の通信伝送路に接続される。アメリカがフィリピンと結んだ初めての太平洋横断ケーブルの日米分界点は小笠原諸島父島にあった。なおイギリスの世界一周ルートは大まかに南米/オセアニア/南シナ海であり、そのまま欧州側のテリトリーとなっていく。
ケーブルの敷設と補修 フランステレコムの海底ケーブル敷設船 Rene Descartes ケーブル補修の模式図


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