海岸電気軌道
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海岸電気軌道
軌間1372 mm
電圧600V 架空電車線方式直流
凡例


鶴見臨港鉄道本線


本山


東海道本線


京浜電気鉄道本線


0.0総持寺




国道


0.2鶴見川


鶴見川


0.9下野谷


1.4潮田


2.0入船


2.4寛政


2.9下新田


3.4富士電機前


3.8
0.0*
田辺新田




0.2*渡田


浜川崎


南武鉄道




4.5田島


5.3浅野セメント前


?アルマイト会社前


6.7池上新田


7.2塩浜


?競馬場前 仮駅


7.9出来野


京浜急行電鉄大師線#


8.3大師河原


東門前#


9.5大師


京浜電気鉄道大師線


#: 当線廃止後の開業

京浜電気鉄道=現在の京浜急行電鉄


海岸電気軌道(かいがんでんききどう)は、神奈川県横浜市総持寺駅京急本線京急鶴見駅 - 花月総持寺駅間にあった駅)から川崎市大師駅までを結んでいた軌道線(路面電車)、およびそれを運営していた京浜電気鉄道(現、京浜急行電鉄)の子会社の名称である。

臨海地区の工業地帯の通勤輸送を目的に1925年大正14年)に開業。しかし世界恐慌の影響で利用客数が伸び悩み、1930年昭和5年)にJR鶴見線の前身にあたる鶴見臨港鉄道に譲渡されたが、鶴見臨港鉄道が本線で旅客営業を始めた影響を受け、産業道路建設を機に1937年(昭和12年)に全線が廃止された。

その後、戦時下の1944年に大師 - 出来野付近(現在の産業道路)間の線路跡を利用して、現在の京急大師線(当時は東急大師線)が延長された。
路線データ

路線距離(
営業キロ):全長9.7km

総持寺 - 大師間9.46km

田辺新田 - 渡田間0.24km


軌間:1372mm

複線区間:あり(全区間)

電化区間:全線(直流600V)

潮田変電所、回転変流器(交流側435V直流側600V)直流側の出力500KW、常用1、予備1、製造所英国電気[1]


運行概要

1934年5月12日改正当時

運行本数:川崎大師方面:総持寺発5時13分 - 22時30分まで10-20分間隔総持寺方面:川崎大師発5時37分 - 22時56分まで10-20分間隔

所要時間:総持寺 - 川崎大師間24分

歴史

1915年(大正4年)、京浜電気鉄道が申請していた生見尾(うみお)線の特許申請が却下された。生見尾線は京浜線(現・京急本線)の総持寺駅から海側に分かれて潮田(現・横浜市鶴見区)、田辺大師河原村を経由し、多摩川を渡って東京府荏原郡羽田町。現・大田区)に入り、大鳥居駅で穴守線(現・空港線)と交差した後さらに北上し大森山谷駅(現・大森町駅)で再び本線に合流するというものだったが、当時の川崎臨海工業地帯は浅野造船所(現・ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所鶴見工場)や浅野セメント(以前の第一セメント、現・デイ・シイ川崎工場)ですら建設を始めたばかりでまったくの未開発であり、採算性がないとされた(「田島町 (神奈川県)#臨海工業地帯の形成」、「川崎市の歴史#工業化と公害、労働争議」、および「京浜工業地帯#埋め立て」も参照)。

京浜電鉄は方針を変更し、多摩川から北の東京府内の建設を断念。神奈川県内部分のみ、大師線の終点だった川崎大師駅につなぐという形に変更、運営も京浜電鉄ではなく、子会社の海岸電気軌道が行うことにして軌道敷設の特許を申請した。1919年(大正8年)12月に特許が下付され、翌1920年(大正9年)11月に海岸電気軌道株式会社を設立した。本社は当時川崎市内にあった京浜電鉄社内に置かれ[2]、社長を始め役員はすべて京浜電鉄関係者であり、職員も出向していた。

1923年(大正12年)の関東大震災の影響もあり開通は遅れ、1925年6月から10月にかけて順次開通した。開業時の全車両も親会社より譲渡されたものであった。

ところが昭和金融恐慌による沿線工場の業務縮小による人員削減で利用客は伸び悩み、開業以来赤字続きで負債は増大し海岸電気軌道は経営難に陥った。これに対し1929年(昭和4年)4月、京浜電鉄は軌道財団抵当を設定し190万円を融通することになった。一方で貨物専業で並行線であった鶴見臨港鉄道が旅客営業を開始することになった。これに対抗できない海岸電軌は、鉄道省よりつけられた旅客運輸営業許可の附帯条件が「海岸電気軌道からの買収または合併を求められたときはこれを拒み得ず」とされたことから「出来の悪い子を無理やり鶴見臨港鉄道に引き取ってもらった形[3]」で京浜電鉄の下を離れ、鶴見臨港鉄道に吸収合併されることになった[注釈 1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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