浮標(ふひょう、英: buoy)[1]は、様々な目的で水面に浮かべる構造物。外来語でブイとも呼ばれる[2]。錨で固定させることも海流に漂わせることもできる。 ブイは、しばしば水中にある物体の位置を示すのに使われる。一時的なものと永続的なものがある。 幾種類かのマーカーブイは、潜水士によって使用される場合がある。
種類
航路浮標
緊急沈船標示浮標 - 緊急沈船標示浮標は、新たな沈船の場所を示す明確な手段であり、国際規格となっている(ただし日本国では未採用)[3]。この浮標は一時的な対応で使用され、通常は最初の24-72時間使用される。この浮標は青と黄色の縦縞模様に塗色され、青と黄に交互点滅するライトが備わっている。これは2002年のドーバー海峡で起こった船舶 (MV Tricolor) の衝突沈没事故が原因で出来たものである[4]。
氷上の標示浮標 - 結氷した湖や川に存在する穴の場所を示すために使われ、スノーモービルが穴の上を通らないようにするもの。
大型自動航行浮標(LNB) - 灯台船の代わりとして電子的に監視される強力な灯火を備えた高さ10m以上の自動制御浮標[5]。英語圏ではランビー・ブイ (Lanby buoy) とも呼ばれ、海図上では Superbuoy[6]ないし台形状の記号で表されたりもする[7]。
側舷標識浮標 - 標識の位置が航路の端であることを示す浮標。左舷標識は、塗色と灯火いずれも緑色。右舷標識は、塗色と灯火いずれも赤色[8]。
安全水域標識 - 水路の入り口または付近の陸地初認を示す航路浮標。塗色は赤白の縦縞で頂部に赤色球が付いている[8]。
航路標識 - 船舶が安全に航行できるよう、海上の航路や危険水域や管轄域を示すことで操舵を支援する。一部の航路標識にはベルやゴングが取り付けられており、波で揺れると音が鳴る。
沈船標示浮標- 視認できない危険域から遠ざかるよう他の船に警告する目的で沈船箇所を示す浮標。
灯浮標 - 夜間に境界として使う、灯火装置を備えた浮標。
競技コース用の標示ブイ- ブイを設置したレースは、ヨットおよびパワーボートレースの最も一般的な形態である。このブイは競技コースの範囲を定めるために使われ、指定された側を通過する必要がある。このブイは水中オリエンテーリング競技にも使用されている。
目印となるブイ
あば(網端・浮子)- 漁網の上縁につける、水中に沈めた網の位置を示すブイ[9]。現在では送信機を内蔵した「ラジオ・ブイ」(電波法令上は無線標定移動局、操作に無線従事者は不要[10])が網の両端に使用され、そこから送信する電波を船で受信することで網を張った方位等を把握する[11]。主に延縄漁や刺網漁でこれが採用されているほか、かご漁でも使われている。
エビかご用の浮子(Lobster trap buoys) - 西欧のロブスター漁師が自分の仕掛けたエビかごを見つけられるよう、かごの場所を示すのに使用される明るい色のブイ。各ロブスター漁師は独自で着色した印や登録番号を持っているので、(最悪ラジオブイなしでも)どれが自分のものかを判別できる。このブイは明るい色で数字も目立つため、悪天候で視界が悪い時でも視認可能である[12][13]
潜水用潜水地点を示すショット・ブイと潜水士の挿絵
減圧時ブイ - 減圧停止の最中に、水中にいる自分の位置を示すために、潜水したスクーバダイバーによって展開されるブイ。