活断層
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活断層(かつだんそう、英語: active fault)とは、「断層」のうち、最近の地質時代(特に数十万年前以降)に繰り返し活動し、将来も活動すると推定される断層のことをいう[1][2][3][4]
概要

地震により一度地層が壊されると断層に沿って地盤は弱くなるため再び力が加わると同じ場所がずれ動く可能性が高くなる[5]

「極めて近き時代まで地殻運動を繰り返した断層であり、今後もなお活動するべき可能性のある断層」を特に「活断層」という[6]。ここでいう「極めて近き時代」とは新生代第四紀を指す。狭義には、「完新世」[7]、或いは「過去数十万年」を指す場合もあるが、これは多くの場合、活断層の認定が断層の変位基準となる地形の形成年代に深く関わることから設定された便宜的なものであって、その曖昧さが指摘されている[8]

別の定義によれば、「現在の応力場の下で地震を起こし得る断層のうちで、断層面が地表まで達しているもの(地表断層)に限る。ただし、伏在断層であっても断層面の上端が地表近く(およそ1 km以下の深度)まで達しているものは、何らかの方法で最近の地質時代における活動を確認することができる。したがって、この種の浅部伏在断層は活断層の範疇に含める。」とされる[9] が、検出されにくく、多くの場合は地表付近の精密な調査から検出されたものをとしている。

更に、国土地理院が刊行している都市圏活断層図[10] の凡例では、地表に証拠を残すものとしている[11]。すなわち、研究者(学会)ごとに解釈が異なり統一された定義は定まっていない[11]。一方で、活断層では地震が過去に繰り返し発生しており、また今後も地震が発生すると考えられているため、活断層の活動度の評価は、そこを震源として発生する地震の予知に役立つと考えられている。

活断層は長期間連続的に動き続けるのではない。一部の例外を除いて、ある一定の周期で瞬間的に動き、他の期間はあまり目立った活動をしないものが多い。活動周期と1回に動く大きさは、断層によって異なるが、概して、海洋プレート沈み込み地帯やトランスフォーム断層では100年前後、内陸の断層では数百年から数十万年程度の活動周期を示す。ただし、ごくまれに、常時ずるずると滑りつづけ(「安定すべり」という)、大きな地震を起こさない活断層もある。これはクリープ断層と呼ばれ、サンアンドレアス断層の一部などがそうである。

活断層の存在は、その活断層が繰り返しずれた跡が地形や地層に残されていることにより確認される。新しい時代に形成された地形や地層に比べて、古い時代に形成された地形や地層ほど大きくずれていれば、繰り返しずれを生じた証拠と考えられる。古いものほど地震を多数回経験しているため、大きくずれているためである。そしてまた、今後も同じように繰り返し地震を発生すると考えられる[2]

活動が活発な活断層は、その活動の繰り返しによってずれが累積するため、盆地平野などの低地と山地の境界を形成する例がよくある。したがって、活断層はこのような大きな地形の境界の周辺に見つかることが多い[2]

表近くの地層が軟らかい場合などでは、活断層のずれが地表まで到達せず、断層運動による変位が軟らかい地層内で拡散する場合がある。この場合には、ある程度の幅をもった撓みとして現われる。これを活撓曲と呼ぶ[12]。活撓曲は地下に断層面が伏在しているため、通常の活断層と同様に地震による被害を発生させると考えられている。また、地層が波状に変形することを褶曲といい、特に活断層と同様に現在も変形を続けている波状地形を活褶曲と呼び、背斜向斜がある[12]

活断層は、地下に斜めに広がっていることがある。地表で見えている活断層から離れていても、 地下に活断層が広がっていれば、そこでも強く揺れる場合がある[13]

なお、活断層がない場所であれば地震が起きないわけではない。過去に地下で地震が発生しても、地震の規模が小さいため地表にまでずれが及ばないことがあるほか、ずれが地表にまで及んだ場合でも、地表付近に残された痕跡が長い間の侵食や堆積により不明瞭になってしまうことがある[14]。このような理由で、活断層が確認されていない場所でも、その地下 には将来地震を発生させる活断層が存在している可能性は十分にある。そのような活断層は、地下の地質の構造を詳細に調べたり、丹念に地形を調べたりすることなどで確認される可能性がある[14]
日本の陸上の活断層の特徴

日本の陸上の活断層には以下のような特徴がある[12]

一定の時間をおいて繰り返して活動する

活断層は普段は断層面が固着しているため動かないが、断層面を挟む両側の岩盤には常に大きな力(ひずみ)がかかっており、このひずみが限界に来た時に岩盤が破壊され、断層に沿って両側が互いに反対方向にずれ動く。この動きで地震が発生し、ひずみは解消される。その後、活断層は長く動きを止め、次にひずみの限界が来るまで動かない[12]

いつも同じ向きにずれる

活断層にかかる力のもとはプレート運動で、その運動の向きや速さは長期的には変化しないため、活断層にかかる力も長期的には変わらない。このため、活断層の活動は基本的には同じ動きが繰り返される。活断層周辺の地形は、このように繰り返された動きの累積により形成されたもので、地形を見ることで活断層の動きの特徴を把握することができる[12]

ずれの速さは断層ごとに大きく異なる

活断層が1回動いて生じるずれが数mであっても、それが繰り返されると、ずれの量は累積して次第に増加する。この増加していく速さ(平均変位速度)は断層ごとに大きな差がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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