活動電位
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この記事には参考文献外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注による参照が不十分であるため、情報源が依然不明確です。適切な位置に脚注を追加して、記事の信頼性向上にご協力ください。(2021年3月)

活動電位(かつどうでんい、: action potential)は、なんらかの刺激に応じて細胞膜に生じる一過性の膜電位の変化である。活動電位は、主としてナトリウムイオンカリウムイオンが、細胞内外の濃度差に従ってイオンチャネルを通じて受動的拡散を起こすことにより、起きるものである。

活動電位は動物の本質的な必要条件であり、素早く組織間・内で情報を伝えることができる。また、動物のみならず、植物にも存在する。活動電位はさまざまな種類の細胞から生み出されるが、最も広範には神経系において神経細胞同士や、神経細胞から筋肉などの他の体組織に情報を伝達するために使われる。

活動電位はすべての細胞で同じわけではなく、同じ種類の細胞でも細胞個体によって性質が異なることがある。例えば、筋肉は神経に次いで活動電位を発する組織として知られるが、中でも心筋活動電位は大抵の細胞間で大きく異なる。この項では神経細胞の軸索の典型的な活動電位について扱う。A. 理想的な活動電位の概略図。細胞膜上の一点を通過する際の活動電位の種々相を示す。
B. 電気ノイズや記録のための電気生理学技術のばらつきにより、実際の活動電位記録は概略図から歪む。
概観

細胞の内と外の間では、電位差が常に存在している。これは細胞内外でのイオン分布と、これらイオンに対する細胞膜の透過性(特定のイオンの通しやすさ)に由来する。

電荷を持つイオンの分布が細胞内外で異なるため、活性化していない静止状態の細胞では通常、細胞外と比べ細胞内の電位がマイナスとなっている。

活動電位とは、この電位差がなんらかの刺激によって一時的に逆転する現象である。活動電位はスパイクやインパルスともよばれる。また、活動電位に達することを「発火」と称することもある。活動電位の速度と複雑さは細胞の種類により異なるものの、電位逆転の幅はほぼ同じである。

活動電位における負から正への電位の変化に要する時間は短く、数ミリ秒である。どんな細胞の活動電位にも順に脱分極相、再分極相があり、多くの場合過分極相の段階もある。心臓ペースメーカー細胞のような心臓の特化細胞では、中間電圧のプラトー相は下降相に先行し活動電位持続時間を数百ミリ秒延長する。

活動電位は細胞膜上の一ヶ所に留まらず、膜上を進む(伝導)。長距離軸索を進むこともあり、例えば脊髄から脚の筋肉までシグナルを伝える。キリンクジラのような大型動物においては、距離にして数メートル進む。

活動電位の発生には通常、電位依存性Na+チャネルの存在が不可欠である。この種のNa+チャネルが存在しない細胞や、存在しない細胞上の部位(多くの神経細胞の樹状突起など)においては、活動電位は発生しない。なお、Na+チャネルの代わりに(やはり電位依存性の)Ca2+チャネルを利用して、Ca2+電流による活動電位を発生させる生物もいる。神経以外では、心臓の調律を担っている洞房結節の細胞が挙げられる。
測定法詳細は「電気生理学」を参照

活動電位はパッチクランプ法などの電気生理学的手法や、EOSFETs等のニューロチップ、光を使った膜電位イメージングで測定される。軸索上の一点に置いた電極からオシロスコープによって膜電位を記録すると、オシロスコープ上には波周期として活動電位の各段階が現れる。一周期の活動電位は冒頭で示した図のような、歪んだサイン波に似る孤を描く。ある時刻における振幅は活動電位波が膜上のその点に達したかどうか、あるいは通過したかどうか、そうであればどれほど前かに依存する。
静止電位詳細は「膜電位」を参照細胞膜の模式図。多数の膜タンパク(赤)やペプチド(橙)が、糖鎖(緑)の修飾を受けて細胞膜上に存在する様子を示す。細胞膜を構成する脂質二重層の内部は疎水性であるため、イオンのような電荷を持つ分子は、細胞膜を自由に行き来できない。このことが膜内外の電位差の存在を可能にしている。

活動電位について知るためには、まず静止膜電位(静止電位ともいう)についておおまかに知る必要がある。

すべての細胞の膜内外に存在する電位差は通常、細胞外と比べ細胞内がマイナスである。この状態を、膜が分極しているという。活動していない状態にある膜の電位差は静止電位と呼ばれ、神経細胞ではおよそ−70mVである(細胞外の電位を0としている)。この電位差が生ずる要因はいくつかあるが、もっとも重要なものは膜間における、イオン輸送と選択的なイオン透過性である。
濃度勾配の形成

細胞膜上に散らばって存在するNa+ - K+ポンプにより、K+の細胞内への能動輸送とNa+の細胞外への能動輸送が行われる。このポンプは、三つのNa+を細胞外に排出する際、同時に二つのK+を細胞内に取り込む。このことにより、Na+は細胞外に多く内側に少ない、K+は細胞内に多く外側に少ないという陽イオン分布を生じさせる。平衡状態においてこの濃度勾配から計算される平衡電位は、ネルンストの式により、K+は約−90mV、Na+は約+45mVの値をとる。
静止電位の形成

濃度勾配を維持する要因はNa+ - K+ポンプであるが、静止電位の値を支配している大きな要因は、K+漏洩チャネルである。

Na+とK+は、開いたイオンチャネルを通して電気化学的勾配の影響の下で拡散する。通常、細胞膜においてK+の透過性はNa+の透過性よりも75倍大きい。これはK+漏洩チャネルが常に開いていることに起因する。静止電位が−70mVと、Na+の平衡電位+45mVよりもK+の平衡電位−90mVに近い値をとるのは、この透過性の違いが主な要因である。

静止電位と同様、多くの神経の活動電位はNa+とK+の透過性に依存している。
活動電位の仕組み

活動電位の大まかな流れは次のようになっている。
静止電位

静止電位において、いくつかのK+漏洩チャネルは開いている一方、電位依存性Na+チャネルは閉じている。正味の電流は流れていないが、膜間を移動している主なイオンはK+であり、その結果静止電位はK+平衡電位に比較近い値をとる。
刺激

興奮刺激による膜の局所的な脱分極は、神経細胞の表面の膜にある電位依存性Na+チャネルを開く。その結果Na+は濃度勾配および電気的勾配が推進力となり、細胞内へ流入する。
脱分極

Na+が流入し膜電位の負電荷が減少するに従い、さらなるNa+チャネルが開き、さらに大きなNa+の流入が引き起こされる。これは正のフィードバックのよい例である。Na+チャネルが多く開くにつれ、Na+による電流はK+漏洩チャネルによる電流に打ち勝ち、膜電位が逆転し内側がプラスとなる。

電位変化はNa+のみの移動によるものと考えるのではなく、Na+とK+の膜間での「透過性の比」の変化によるものと考えるべきである。

この、脱分極とそれにともなうNa+チャネルの開口が周囲に広がっていくことで活動電位の伝導が起こる。
ピーク

膜電位が+30mV程度になると、Na+チャネルの電位依存性ゲートが閉じ、さらなるNa+の流入を阻害する。これにわずかに遅れて、電位依存性K+チャネルの電位感受性活性化ゲートが開く。

活動電位のどの段階においても、きわめて少しのイオンの移動しか起こらないという認識は重要である。活動電位が生じている間の、細胞内外でのNa+とK+の濃度変化は無視できるほど極めて小さい。
再分極

電位依存性K+チャネルが開くことで、濃度勾配および電気的勾配が推進力となりK+の流出が始まる。K+が流出することで、膜電位の逆転と再分極が引き起こされる。
過分極

電位依存性K+チャネルの閉鎖は電位および時間に依存している。このチャネルは膜電位の変化にすぐには応答せず、遅れて応答を返す。そのため、膜が十分再分極した後もK+の流出が続き、一時的に膜電位が通常の静止電位よりもさらに低くなる。この過分極状態はアンダーシュートとも呼ばれる。

この他、Cl-チャネルの開口によりCl-が細胞内に流入することでも過分極を起こす。例として、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や抗不安薬などがある。ベンゾジアゼピン系薬物γ-アミノ酪酸GABAA受容体-Cl-チャネル複合体のベンゾジアゼピン結合部位に結合しGABAA受容体に対するγ-アミノ酪酸の親和性を高めることで、Cl-チャネルを介したCl-の細胞内流入を促進するため、細胞が過分極を起こし、神経の興奮を抑える。
不応期

次に、活動電位は不応期と呼ばれる刺激に反応しない期間に移る。不応期はNa+チャネルが不活性化状態となっているために生じる。詳細は後述。

不応期は一方向への活動電位の伝導を保証する。不応期がなければ原理的には活動電位は軸索の両方向へと伝導が可能である。しかし実際には活動電位の伝導方向の後ろは不応期となっているため、活動電位の「逆流」が起こらないようになっている。
閾値電圧(膜電位)に対するイオン電流のグラフと、仮想的な細胞における活動電位の閾値(赤の矢印)の関係

活動電位は、興奮刺激による膜の局所的な脱分極が「閾値」を越えたときに引き起こされる。閾値の電位はさまざまだが、一般的には静止電位より15mV以上高い。

活動電位は2つのチャネル(電位依存性Na+チャネルとK+漏洩チャネル)のみをもつ仮想的な細胞によってモデル化できる。活動電位の閾値の由来はI/V カーブ(右図)により理解することが出来る。(図示したI/Vカーブはチャネルが不活性化していない状態で電圧を加えたときの瞬間的な電流を示している)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef