活動銀河[1](かつどうぎんが、英: active galaxy[1])は、星、星間塵、星間ガスといった通常の銀河の構成要素とは別の部分からエネルギーの大半が放出されている特殊な銀河。このエネルギーは、活動銀河の種類によって若干異なるが、電波、赤外線、紫外線、X線、γ線など、電磁波のほぼすべての波長域で放出されている。このエネルギーの大半を、銀河の中心1%程度のコンパクトな領域から放出しており、この部分を活動銀河核[1](英: active galactic nucleus[1])と呼ぶ[2][3]。 活動銀河核からは、加速された物質が時として相対論的に長い距離にわたって放出されている宇宙ジェットとして観測される。一方、電波銀河や電波を放出するクエーサーのように構造に広がりを持ったものもある[2]。クエーサーは永らくそのエネルギー源についての論争が続いていたが、現在はこのような活動銀河核の1種と考えられている[3]。 活動銀河の標準的な理論的モデルは、銀河中心にある106 - 109太陽質量の大質量ブラックホールに向かって物質が落ち込むことによってエネルギーが放出される、というものである。物質がブラックホールに落下する時、物質はブラックホールの周囲を公転する角運動量を持つために、ブラックホールの近傍で降着円盤と呼ばれる扁平な円盤を形作る。降着円盤内のガスの摩擦熱によって、落下するガスは電離してプラズマとなる。このため、電離したガスが回転することで強力な磁場が作られる。降着円盤からはジェットの放出がしばしば観測されるが、宇宙ジェットの形成のメカニズムはあまりよく分かっていない。この降着円盤は、質量を非常に効率よくエネルギーに変換する「エンジン」であり、物質が持つ全質量の約50%をエネルギーに変換できる。これは核融合が数%であるのに比べて非常に効率的である。 このような活動が起こせるのは、活動銀河核の周囲に十分な量の物質があるためである。したがって、ブラックホールが周囲のガスや塵を全て「食べ尽くす」と、活動銀河核は膨大なエネルギー放出をやめて通常の銀河になると考えられている。この仮説は、我々の銀河系や他の近傍銀河の中心に「平穏な」大質量ブラックホールが見つかっていることからも妥当な説であると思われる。 さらに、あすかのX線による観測で、全天で観測される銀河の1/3にもおよぶ低電離輝線銀河 現在観測される近傍の活動銀河の詳細の解明により、遠方のクエーサーについても同様の構造による同種の活動銀河であるとの認識がされるようになった。なぜクエーサーが初期宇宙にのみたくさん存在するのかについても、初期宇宙の方が現在よりもたくさんの「燃料」があったため銀河の活動性が高かった、と考えればうまく説明がつく。 活動銀河核は、 によって分類できる[4]。活動銀河核の主な種類としては、セイファート銀河、クエーサー、ブレーザーがあるが、これらは同じ機構の活動銀河の見かけ上の分類としてスキームの統一が進められている[3]。 電波銀河は電波を放出する様々な銀河の総称である。普通の銀河に比べて、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}100万倍ほどの[要出典]強い電波を出している。電波銀河のほとんどは対称的なローブとよばれるプラズマの雲を持ち[8]、ここから電波の大部分を放出している。
概要
理論的モデル
活動銀河の種類
電波の強弱
中心核から放射されるエネルギーの強度(光度)
高速運動するプラズマの有無、セイファート銀河を1型と2型に分類する
電波銀河
クエーサー
ブレーザー - 円盤の軸がたまたま地球を向いているためよく観察されている。
とかげ座BL型天体英: BL Lac object - 活動的でないと考えられるクエーサー。かつては活動的だったが周囲の物質が少なくなり活動的でなくなったと考えられている。現在は重いブラックホールから明るいジェットが噴き出し、円盤からの放射はほとんど見られない[5]。
均一スペクトル電波クエーサー
セイファート銀河 - 活動銀河の代表的なもの。
1型 - スペクトルに広い輝線と狭い輝線の両方を持つもの
2型 - スペクトルに狭い輝線しか持たないもの
低光度活動銀河核
ライナー(低電離銀河中心核電離ガス領域)[7]
電波銀河詳細は「電波銀河」を参照