洪吉童(伝)
洪吉童伝の最初のページ。
各種表記
ハングル:???(?)
漢字:洪吉童(傳)
発音:ホン・ギルトン(=ジョン)
日本語読み:こう きつどう(=でん)
ローマ字転写:
英語:Hong Gildong(-jeon)
(Tale of) Hong Gildong
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洪 吉童(こう きつどう、ホン・ギルトン、???)は朝鮮時代の小説『洪吉童伝』の主人公。同書はハングル(正確には訓民正音)で書かれた最古(1607年ごろ)の小説(後述)。作者は学者で文人許?(竹かんむりに均、きょ いん、ホ・ギュン)。日本で言う桃太郎のように韓国、北朝鮮の人で知らない人はいないというほど一般的なヒーロー。
韓国では役所や銀行などで書類の記入例に(日本なら『山田太郎』のように)よく使われる名前でもあり、女性の場合は洪 吉順(ホン・ギルスン、???)がよく使われる。また慣用表現で『洪吉童のように』というと『神出鬼没』という意味となる(芸能人がゲリラライヴを行うと『洪吉童ライヴ』と表現される事もある)。 朝鮮王朝第4代世宗の時代、庶民は圧政に苦しんでいた。洪政丞(ホン・ジョンスン。洪大臣)の子洪吉童は母親の春繊(チュンセン)が侍婢(奴婢の女中)であったために虐げられ、父を父と呼ぶことすら禁じられてきた。さらにその才気を憎んだ父の一番目の愛妾に命を狙われ、洪吉童は家を出る。道術
物語
日本で言えば、石川五右衛門や鼠小僧次郎吉のような義賊、水戸黄門のような庶民の味方。あるいは源義経=ジンギスカン説のような、洪吉童・ホンガワラ(洪家王)説もある。(李氏朝鮮時代の身分制の問題を風刺しているといわれる。映画や子供向けのアニメなどにたびたび採りあげられている。 ソウル延世大学の薛盛m
実在の洪吉童
ただしこの洪吉同はモデルの一人かもしれないが、何から何まで物語の洪吉童その人というわけでは無い。義賊という点で言えば黄海道で反乱を起こした白丁出身の盗賊林巨正(イム・コッチョン)の方がスケールは大きくモデルにふさわしい(1559年林巨正の乱)。同じく義賊で民衆のヒーロー(普段は男寺党の芸人。裏の顔は剣契)として張吉山(チャン・ギルサン)がいる。洪吉童、林巨正、張吉山の3人はともに実在の義賊とされ、繰り返しドラマなどに採り上げられる民衆のヒーローだが歴史的な検証はこれからである。むしろそのイメージは重複し、すりかえられ膨らんでいく傾向にある。
たとえば、洪吉同はこのあと処刑されたか、何らかの刑罰をうけたはずだが、最近では洪吉同が生き延びて物語と同じく海を越え、琉球(沖縄県)までやってきたという説(オヤケアカハチの項目参照)や、洪吉同は高級官僚の息子で国王の縁戚であったという説まである。国民的ヒーローだけに興味は尽きないが史実の検証と文学的ロマンは別問題である。 1446年世宗が、訓民正音を公布した。のちのハングルである。このときまで朝鮮人は固有の文字を持たず漢字を利用していた。それが知識階級と一般庶民を隔てていた。訓民正音の序には世宗がそのことを憂えている表現がある。それから150年あまり後、詩歌や儒学の書籍はすでにハングルによって著されていたが、庶民が親しむ小説はまだなかった。許?が庶民のヒーロー『洪吉童』を著したのは一般大衆に訓民正音(ハングル)が十分浸透したことを窺わせる。ただし朝鮮王朝の末期に至るまで、少なくとも公式には、両班は漢文を使い、ハングルは身分の低いものが使う文字だとされた。当時の状況下では、両班である許?がハングルを用いたのはそれ自体体制に対するアンチテーゼであるともいえる。 実在の洪吉童が活躍した時代の燕山君は朝鮮史上最悪の暴君といわれるが、許?の仕えた朝鮮王光海君もまた暴君として知られ、時代背景に共通点がある。作者がみずから感じた社会の矛盾や政治への不信を小説に仮託して表現したと考えることが出来る。 結末で洪吉童は朝鮮を脱出してd島国で理想国家を建設したことになっている。これは当時の儒教的観念、王朝への忠誠から脱却し切れていないと指摘する研究者もいるが、仮に物語が全編に通底する反権力志向から王権打倒、革命へと進んでいたら、禁書になり著者は逆賊として処断されていただろうともいわれている。 また物語としては水滸伝の影響が見られる。許?は使臣として中国(明)に駐在した際、私費を投じて4000巻の書籍を購入したといわれ、水滸伝は100回読んだと自らの著書で述べている。不遇の主人公が盗賊の首領に迎えられ、正義のために権力と戦うというプロットはほぼ同じである。 『洪吉童伝』は長らくハングルで書かれた最古の小説とされてきたが、近年の研究によって、『薛公?伝』が発見され『洪吉童伝』よりも年代が古いのではないかという意見が出ている。また現在広く知られている『洪吉童伝』の物語は19世紀後半に成立したとする説もある。(「古小説『洪吉童伝』の著作に対する再検討」白承鍾 義賊であった点から考えると活躍した年代は当然大人なのだが、キャラクターイメージは日本の桃太郎と同じく少年で表されることが多い。
背景
近年の研究
洪吉童を扱ったフィクション