洗剤(せんざい、独: Reinigungsmittel
、英: Detergent)は、衣類や食器、人体や機械などの洗浄を目的とした、界面活性剤を主成分とする製品である。#用途にてシャンプー、ハンドソープなど各種の個別の洗剤について一覧がある。 親水基と疎水基(親油基)をもち、水に溶けにくい汚れをつつみこんで水などの溶媒中に分散させる効果などがある界面活性剤と、水の状態を界面活性剤が働くのに適した状態にする補助的な成分などから構成される。補助的な成分は洗剤の用途にもよるが、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの金属イオンを除去するEDTAなどのキレート剤(金属封鎖剤)やpH調整剤、塩分、土類などがある(⇒ビルダー)。 洗剤は、その洗浄作用に寄与する界面活性剤の種類に応じて、法的に区分されている。家庭用品品質表示法による ⇒雑貨工業品品質表示規程 により、次のように定義されている。
成分
種類
合成洗剤[1]
「対象となるものは、主な洗浄作用が純石けん分以外の界面活性剤の働きによるもので、研磨材を含むもの及び化粧品は除きます。」
「洗濯用又は台所用の石けん[2]
「対象となるものは、主な洗浄作用が純石けん分の界面活性作用によるもので、研磨材を含むものは除きます。」
身体に塗擦されるものは、化粧品として医薬品医療機器等法で規制されている。
ヒトに対する影響台所用洗剤
現在使用されている洗剤は、肝臓で分解できるものが多く、分解できない分は体外に排出され、蓄積性はないといわれている。しかし、その排出にかかる時間は非常に長い。ほんの数時間暴露するだけで、それを排出するのには半年から数年である。ただし、他の物質と比べると多少分解されにくい(したがって一度に多量摂取は危険である)。また、家庭用洗剤の皮膚からの浸透量はおよそ0.53%であり、ヒトが一日に摂取する界面活性剤の量(洗濯物に付着した洗剤の皮膚から吸収される量、食器に残留した洗剤、添加剤として食べ物に付着したもの等の合計)は多くとも14.5mgである。この量は最大無影響量[注 1]のおよそ1000分の1に相当する(体重50kgの場合)。また催奇性や発がん性などの性質はないといわれている。
界面活性剤の影響で注意が必要なのは刺激性である。種類によっては界面活性剤は長時間使用すると、人によって手湿疹など肌荒れを引きおこすことがある。これは皮膚の角質に作用し表面の滑らかさを奪うためであり、界面活性作用の強いものほど起こりやすい。一部の化粧品にも界面活性剤が(主に成分を混ぜるための乳化剤、または浸透剤として)用いられるため、長期間・多量の使用はかえって肌を害しやすいともいえる。このため、活性剤を使用しない無添加製品などの開発が進んでいる(そのほうが人体によいのかについては不明)。ただし、化粧品に用いられる界面活性剤はもちろん刺激性の低いものを使用しているので台所用洗剤(英: Dishwashing liquid)と同列に扱うことはできない(上述)。
強い洗剤は、脂質を落としタンパク質を損傷し天然保湿因子を損失させ、肌の角質層のバリア機能を損なわせ皮膚がはがれることを促し、乾燥、刺激、皮膚の硬さ、痒みなどを起こす[3]。一方で1990年代より 優しい界面活性剤を用いた洗剤が開発され、このような損傷は減少しており、またしかし、まだ皮膚の乾燥を引き起こす可能性がある[3]。ステアリン酸やパルミチン酸のような飽和長鎖脂肪酸を入れることで、バリア機能の改善に役立つ[3]。