注意欠陥・多動性障害
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注意欠陥・多動性障害
概要
診療科精神医学, 児童精神医学
分類および外部参照情報
ICD-10F90
ICD-9-CM314.00, ⇒314.01
OMIM143465
DiseasesDB6158
MedlinePlus001551
eMedicinemed/3103 ped/177
Patient UK注意欠陥・多動性障害
MeSHD001289
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注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい、: attention deficit hyperactivity disorder、ADHD)は、多動性や衝動性、不注意を症状の特徴とする神経発達症発達障害)もしくは行動障害である[1]。こうした症状は教室内で最年少だとか[2]、正常な者、他の精神障害、薬物の影響でも一般的であるため、機能障害や苦痛を感じるなど重症で、幼い頃から症状があるなどの鑑別が必要とされる[3]発達障害者支援法に基づき、一人一人に応じた様々な支援と、社会的障壁の除去(適切な環境調整)が行われる[4]。個々の状態に合わせて、様々な支援機関の連携のもと、環境調整・心理社会的支援・薬物療法を組み合わせた包括的支援を行うことが有効とされる(「ADHD#治療」を参照)[5]。ただし「薬漬け」と形容される、この疾患の過剰診断と薬物投与には強い批判があり、薬物療法によらない治療法も模索されている[6]。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none}
名称「精神障害#定義」も参照

精神医学的障害の一種である。「注意欠陥・多動性障害」という診断名は、1994年からのDSM-IVのものである。以前のDSM-IIIの注意欠陥障害(ADD[注 1])や、ICD-10の多動性障害[注 2]を継承するもので、口語的には多動症[注 3]などと呼ばれてきた。一般にアスペルガー症候群と混同されがちだが、アスペルガー症候群は自閉症の一種(自閉症スペクトラム障害)である[7]。ただし、アスペルガー症候群にはADHDの併存も少なくない[8]

2013年のDSM-5では、ADHDは訳語として、欠陥から欠如に代わった注意欠如・多動性障害と、注意欠如・多動症が併記されている。注意欠如・多動性障害は、日本精神神経学会が2008年に示したもので、注意欠如・多動症は小児精神神経学会や日本児童青年精神医学会の示したDSM-5の翻訳案である[9][10]。またDSM-5で成人への診断が追加された。
診断

その症状が、正常な機能と学習に影響を及ぼしている場合のみに診断する[1]。症状は早い時期(6歳未満ごろ)から発症し、少なくとも6か月以上継続している必要がある[1]。DSM-5はそれまでの7歳までの発症を12歳とし、遅発性の発症を含めたがこのことは誤診の可能性も増やしている[3]。また、小児発症が成人ADHDの重要な診断基準であったが、小児期ADHDと成人期ADHDは異なる経過を持つ症候群だと示唆した研究例[11]もあり、まだ明確となっていない部分がある。診断は、多くの精神障害や発達障害と同様に問診を中心に行われる。また評価尺度が診断の補助として利用できる[12]。生物学的な指標がないため、誤診も多いと考えられている。アメリカでは推定有病率を数倍上回る診断数のため過剰診断が指摘されている。医学的な定義や投薬に対する議論のため、ADHDに関する論争がある。

性別による発症率の比較では、学童期までを比較した場合は1-6%で男子の方が女子よりも高い[13]。特に男子では多動性と衝動性しかみられず、特に女子では不注意しかみられない場合がある[3]

ICD-10での多動性障害の発症率は学齢期で3-7%であり、その内30%は青年期には多動と不注意は目立たたなくなり、40%は青年期以降も支障となる行動が持続し、残りの30%は感情障害やアルコール依存症などのより重篤な精神障害が合併する[14]。ある調査では、約3割が大人になっても症状が続いていた[15]。また、別の調査では、ADHD症状の深刻度は通常加齢とともに低下するが、約90%のADHD患者はいくつかの症状を成人期まで持続し続ける[16]
症状

衝動性[17]・過活動[18]・不注意[19]などの症状が確認される[20]。典型的には生まれつき症状が存在する[3]。通常の人々にも広く一般的にみられる症状であるため、症状が合致するだけでは不十分であり、幼年から症状が継続し、発達過程において不適切に持続しており、特定の状況だけで見られないことがある[3]

子供ではICD-10による多動性障害(たどうせいしょうがい)[21]の診断名が適用されることもある。

不注意[22]には、以下の症状などがある[23][24]

簡単に気をそらされる、ケアレスミスする、物事を忘れる

ひとつの作業に集中し続けるのが難しい

その作業が楽しくないと、数分後にはすぐに退屈になる

過活動[18]・衝動性[17]には、以下の症状などがある[24]

じっと座っていることができない

絶え間なく喋り続ける

黙ってじっとし続けられない

目的なく喋りつづける

他の人を遮って喋る

自分の話す順番を待つことが出来ない

年齢が上がるにつれて見かけ上の「多動(落ち着きがない、イライラしているように見えるなど)」は減少するため、かつては子供だけの症状であり、成人になるにしたがって改善されると考えられていたが、近年は大人になっても残る可能性があると理解されている[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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