法隆寺の仏像
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釈迦三尊像 法隆寺金堂と五重塔

本項法隆寺の仏像(ほうりゅうじのぶつぞう)では、奈良県生駒郡斑鳩町にある聖徳太子ゆかりの寺院・法隆寺に伝来する仏像について説明する。

法隆寺の西院伽藍は、現存する世界最古の木造建築として著名であり、「法隆寺地域の仏教建造物」として世界遺産に登録されている。法隆寺には建築のみならず、各時代の仏教美術品が多数収蔵されている。なかでも仏像に関しては日本彫刻史の第一頁を飾る優品の多くが法隆寺に集まっている。飛鳥時代の仏像としては、推古31年(623年)止利仏師作の銘を有する銅造釈迦三尊像をはじめ、百済観音の通称で知られる木造観音菩薩立像、東院夢殿本尊の木造観音菩薩立像(救世観音)などが著名である。奈良時代の仏像には、金銅仏(銅製鍍金)、塑像、乾漆像、押出仏(薄い銅板を打ち出したもの)など、各種の材質・技法を用いた作品が残っている。このように各時代・各技法の仏像が豊富に残されていることが、他寺院にない特色である。[1][2]

本項では法隆寺に所在する国宝重要文化財指定の彫刻作品について概観する。ただし、1878年に法隆寺から当時の皇室へ献納された、いわゆる「法隆寺献納宝物」中の仏像については「法隆寺献納宝物」及び「四十八体仏」の項を参照のこと。
目次

1 凡例

2 金堂の仏像

2.1 釈迦三尊像と薬師如来像

2.2 釈迦三尊像

2.3 薬師如来像

2.4 古記録に見る金堂の仏像安置状況

2.5 阿弥陀三尊像

2.6 天蓋

2.7 四天王像

2.8 毘沙門天・吉祥天像


3 五重塔塑像群

4 中門仁王像

5 大講堂の仏像

6 聖霊院の仏像

7 西円堂の仏像

8 上御堂の仏像

9 東院夢殿の仏像

9.1 救世観音像

9.2 その他の像


10 伝法堂の仏像

11 百済観音像

12 伝橘夫人念持仏

12.1 厨子

12.2 銅造阿弥陀如来及び両脇侍像


13 その他の国宝仏像

14 その他諸堂の仏像

15 大宝蔵院ほか所在の仏像

16 用語説明

17 脚注

18 参考文献

19 関連項目

凡例

本項では法隆寺所在の、「彫刻」部門の国宝・重要文化財指定物件を取り上げた。金堂の天蓋は「工芸品」部門の重要文化財であるが、仏像と関連が深いため、本項で取り上げた。

文中の「左脇侍」とは、拝観者から見て向かって右側の像、「右脇侍」とは向かって左側の像を指す(「左」「右」は本尊から見た「左」「右」を意味する)。

仏像関係の専門用語については、文中に逐一注記すると煩雑になるため、「用語解説」の節でまとめて説明する。

各仏像の像高は『奈良六大寺大観』(岩波書店)による。ただし、『奈良六大寺大観』と他の文献とで像高に顕著な差異がある場合は、その旨注記する。

金堂の仏像 銅造釈迦三尊像(金堂)
釈迦三尊像と薬師如来像

法隆寺西院伽藍は現存する世界最古の木造建築であるが、聖徳太子(622年没)在世時の建物ではなく、創建時の伽藍が天智天皇9年(670年)に焼失した後に再建されたものであるということが定説になっている。西院伽藍が創建時の建物であるか再建であるかについては、明治以来数十年にわたって論争(再建・非再建論争)があったが、1939年の旧伽藍(若草伽藍)の発掘調査以降、再建説が定説となっている(再建・非再建論争の詳細については法隆寺#再建・非再建論争を参照)[3]。現存する金堂は7世紀末頃の建築とみられる[4]

金堂内陣には「中の間本尊」の釈迦三尊像、「東の間本尊」の薬師如来像、「西の間本尊」の阿弥陀三尊像の3組の本尊が安置されている(以上の仏像はいずれも銅造)。なお、「中の間」「東の間」「西の間」は相互に壁などで明確に仕切られているわけではなく、柱の位置と、天井に吊るされた3つの箱形天蓋とによってゆるやかに区切られているにすぎない[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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