油圧ショベル
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陸上自衛隊の油圧ショベルについては「油圧ショベル (陸上自衛隊)」をご覧ください。
.mw-parser-output .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .trow>.thumbcaption{text-align:center}}一般的な油圧ショベル(前側、ボルボ・EC290B)一般的な油圧ショベル(側面)ミニショベル(日立・EX30)

油圧ショベル(ゆあつショベル、: hydraulic excavator あるいは digger)とは、掘削・整地等のための状の構造およびバケット等が油圧により作動し、自走する機械のことである。いわゆる掘削機の一種で、建設機械の一種。
概要ケーブル式ローディングショベルの一例ケーブル式ドラグショベル(ドラグライン)の一例

土砂地山などの掘削・整地などに用いる。一般に、腕状の構造は、左右に旋回するプラットフォームの上に据えられており、その下には走行装置を備え、自走することができる。腕状の(もう少し詳細に喩えると、腕状と言うより、人間のからあたりのような)構造は、一般に複数の部分からなり、機体の基部から順に「ブーム」「アーム」と呼び分けられる。

アーム先端に取り付ける作業装置は土砂等の掘削に適したバケットが標準であるが、バケット以外の各種アタッチメントに付け替えて様々な用途に使用でき、下部走行フレームにブレード(排土板)を装備して、ブルドーザーのような押土整地作業も行える機種もある。

いくつか分類法があり、大きく「バックホー(ドラグショベル)」「ローディングショベル」「解体機」に分類することができる。また重量で分類する方法もある。→#分類・種類
歴史

油圧式ショベルが登場する以前に鉱山や河川工事で用いられていた、ウインチでケーブル(ワイヤーロープ)を巻き上げ、巻き下げてブームとアームを動かしてバケットを前方に押し出して掘削するケーブル式ローディングショベルや、幅広バケットをウインチで引き寄せながら掘削するケーブル式ドラグショベルが原型である。ケーブル式ショベルは構造上、ケーブルを引く方向にしか掘削力をかけられないので、狭い範囲を深く掘削したり、掘削面を平らに切り取るような作業は困難であったが、1947年イタリアで世界初の複動式油圧シリンダーでブーム、アーム、バケットを動かす小型油圧式ローディングショベルが開発されて、従前のケーブル式では構造上困難だった精密掘削や整地作業も容易になり、かつ、1970年頃以降 油圧ポンプやバルブシステムが改良されて運転操縦法も極めて簡単になり、小型軽量な機種も製造可能になったため土木建設などの中-小規模な用途では急速に油圧式ショベルが普及した。

しかし、複動式油圧シリンダーはあまり長い物は製造が難しく、リンク倍率を高くするとブームやアームの太さや重量が大きくなり過ぎてしまうため油圧式ショベルの大型化には限界がある。2016年時点で、重掘削・積込用としては作業半径20メートル程度、バケット容量40立方メートル程度が世界最大級であり、これよりも大規模な掘削機械では、ケーブル式ショベルやバケットホイールエクスカベーター等が多用されている。
おもな用途、および使用法に関する規制

下(後ろ)向きにバケットを取り付けてバックホーとして使うのがもっとも一般的だが、その他に、機体より上方の土砂を掘削して運搬車に積み込む作業に適した前向きローディングバケットや、圧砕機、鉄骨切断機を取り付けてビルの解体、コンクリートや道路のアスファルト、自然石を打撃により破砕するブレーカー等の多種多様なアタッチメントに交換でき非常に幅広い用途に使われる。

こうした動力シャベルはケーブル式時代のころは巻きあげロープが元々あったので、アタッチメント交換でここの先端にフックを付ければクレーンとしてそのまま使用できた[1]ため、日本でも過去の労働安全衛生法および関連省令規則では、「(油圧を含め)動力ショベルで貨物を吊上げ運搬する行為に関する規定」が設けられてなく、クレーン設置が困難な狭隘な作業場所において地中埋設物の引き抜きや土留め支保工材を扱う場合に限り油圧ショベルを吊上げ作業に用いてもよいと指導されていたが、油圧ショベルにはウィンチがないためバケット等のアタッチメントに直接ワイヤーを掛け付けた吊り上げ作業を行った結果、ワイヤーが切断したり外れて吊り上げた貨物が落下して死亡事故が多発した為、現在は関連省令規則が改定されて、省令規則の規定に合致する構造と安全装置を具備した「クレーン機能付油圧ショベル」でしか吊り上げ作業を認められていない。吊り上げられる重量は油圧ショベルの大きさで異なる[2]
呼称

英語では「hydraulic excavator ハイドローリックエキスカベーター、油圧式発掘機」がかしこまった呼び方で、少しくだけた呼び方では単に「excavator エキスカベーター、発掘機」と呼び、現場の人は日常的にはしばしば短く「digger ディガー、掘るヤツ」と呼ぶ。日本では油圧ショベルには、製造メーカーにより油圧式ショベル、ユンボ、バックホー、パワーショベル、ドラグショベル等の商品名がつけられている。

日本で広く使われている同義語・類義語には次のようなものがある。
油圧ショベル
1990年代に入ってから、社団法人日本建設機械工業会により新たに制定された統一名称である。「油圧」なので前述のケーブル式ドラグショベルは含めない。
パワーショベル
小松製作所が商品名として用いた言葉が一般に広く普及したものだが、厳密には「長い柄のついた大きなシャベルを動力によって動かし、土を削り取る土木機械。動力ショベル。[3]」であり、車両そのものではなく動力装置のついたショベル部分を指す。
ショベルカー
「土木工事に使う掘削用の動力シャベルを備えた車両全般」をさす和製英語[3]
ユンボ
もとはフランスの建設機械メーカーであるシカム社 (SICAM) の商標[4]。新三菱重工業(現:三菱重工業)が技術導入して日本で生産・販売した結果、日本ではこの名前が広く普及した。現在では油圧ショベルを指す代名詞として現場などで使われている[5][6]。(つまり商標の普通名称化が起きている。)
分類・種類

分類法はいくつかある。基本的に、ざっくりと「バックホー(ドラグショベル)」「ローディングショベル」「解体機」に分類することができる[注釈 1]。また、質量(重さ)で分類する方法もあり、作業装置を除く機体質量が3トン未満のものをミニショベル、機体質量が1トン未満のものはマイクロショベルと分類する方法もある。
バックホー(ドラグショベル)
バケットを機体側に引き寄せる方向に動かして作業するタイプの油圧ショベルを指す。ユンボ同様、工事現場ではしばしば「バックホー」と呼ばれる。なお国土交通省など官庁の文書だけでは「ドラグショベル」と表記されるが、この呼称が日常使用されることは少ない。
ローディングショベル
直訳すると「積み込みショベル」。主に大規模な鉱山採掘や河川掘進工事等の現場にて機体設置面(地表面)より上方の土砂を掘削して運搬車に積み込む作業で多用されている。作業装置の可動範囲は質量が同程度のバックホーと比べて狭く、高く上昇させたバケットを下方向きに回転して掬い取った土砂を排出することが出来ないため、バケット底部に設けたゲートを開閉して掬い取った土砂を排出する構造が多用されている。機体の大きさの割に作業装置の可動範囲が狭く、機体設置面(地表面)より下方の掘削には適さないので市街地や平野部では、ほとんど用いられない。油圧式では日本国内を含め世界的に機体質量数百トンから千トン程度の機種が多用されている。古い資料などではこのタイプをただ「ショベル」と呼んでいる場合もある[7]。移動・積込作業用の大型バケットを備え掘削能力が小さい、あるいは持たない土木機械についてはホイールローダーショベルローダーを参照。
解体機
後傾運転台を有する解体機現代日本では油圧ショベルは建造物解体工事の主役となっているが、標準的な油圧ショベル(バックホー)は前下方への作業用に設計されているため、解体工事用に頭上方向への作業性を高めたモデルが各社からリリースされており、解体機と呼ばれる。通常の油圧ショベルが足元まで掘りやすいようブーム、アームが上腕に相当する箇所で内側に屈曲しているのに対し、解体機は高所へのリーチを確保するため、完全に二つ折りから直線状まで伸ばすことができる二重関節式ブームを備える。特に作業箇所が高くなる大型機では上方視認性を重視して運転席のリクライニング角を大きくしたり、あるいは運転台そのものを後傾させたり、運転台を可動式としているものもある。中層建築物解体に特化した長大なブームとアームを持ち、作業装置到達高さが40メートルにも達する大型機。ボリュームゾーンの中型モデルに多い、第2関節を通常のショベルの屈曲部と同じ位置とし解体と掘削両用の汎用型。狭小物件向けの小型機など、解体対象に応じて様々なタイプが存在する。海外ではロングリーチエクスカベーター(英語版)と呼ばれるが、解体用だけではなく深掘り用のブーム延長型も含む。
機構

クローラを含む下部フレームに対し操縦席を含む上部フレームが旋回する。旋回は油圧モーターで駆動し下部フレームの油圧機器には上部フレーム旋回中心部のスイベルジョイントにより油圧を伝える[8]。林業あるいは野戦(工兵)など不整地使用を想定したものでは、走行装置と車体の間に旋回軸に加えて前後や左右に傾斜する可動軸を有するものもあり、走行装置が斜めに乗り上げた状態でも車体の水平をとることができる(陸上自衛隊の油圧ショベル掩体掘削機など)。


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