汎バビロニア主義
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イシュタルの壷("Ishtar vase": ラルサ, 紀元前2000年, ルーブル美術館 AO 6501)に描かれた、イナンナ/イシュタル くさび形文字で書かれた、アトラ・ハシース叙事詩(Atra-Hasis Epic)。大英博物館所蔵 シュメール神 Ningizzidaと2頭のグリフォン

汎バビロニア主義(はんバビロニアしゅぎ、Panbabylonism、パンバビロニズム)は、ヘブライ聖書ユダヤ教の起源をバビロニア文化及びバビロニア神話とするアッシリア学宗教学学説19世紀提唱され、アレフレート・イェレミアス(Alfred Jeremias)の貢献もあり20世紀初頭に普及。聖書は、メソポタミア創世神話エヌマ・エリシュ』に由来していると考えられる。
バビロニア神話と『創世記』の比較

 バビロニア神話、『エヌマ・エリシュ』『創世記』
発生時期
紀元前2100年紀元前1300-1200年
宇宙観地球平面説[1]



天空はドームで金属でつくられている(シュメールスズエジプト)。は天空ドームの下方に埋め込まれ、太陽はドームにある「門」を出入りする。

陸地の周りのは現在の地中海ペルシャ湾紅海。陸地の下は清水の海[1]


記述の始まり方同一。
物語の進行:異なる
世界創世の期間『エヌマ・エリシュ』:神々6世代で世界を創世『創世記』:6日間で世界を創世
 人の創造神々は、人の創世の前に意見を尋ねる。(6:4)エロヒムは、自分の印象でつくる。"Let us make man in our own image..." (Genesis 1:26)  
 人の創造の時期マルドゥクは6日目に人を土から創世。エロヒムは6日目に人を創世
 神の休息マルドゥクは、人の創世の後、休息。エロヒムは、人の創世の後、休息。
単一神教 一神教
原初の世界

創造の前にはだけが存在。無形、空。(the tohu wa bohu of Genesis 1:2)  (Genesis 1:6?7, Enuma Eli? 4:137?40)
」「」の誕生昼と夜が「光」を生み、「時」を司る発光体の誕生を進める (Gen. 1:5, 8, 13, and 14ff.; Enuma Eli? 1:38) (Gen. 1:14; Enuma Eli? 5:12?13).
若さを取り戻す魔法の植物を盗む。→ ギルガメシュは不死を失う。エデンの園で、エヴァ知恵の樹の実を食べるように勧める。神の警告に反し、蛇は「それを食べても死なず、神のようになる」とイブに話す(Genesis 3:4-5)。→ アダムとエヴァは不死を失う。
純血の喪失エンキドゥは、自然と調和しながら暮らしている。エンキドゥがシャムハット(Shamhat)と交わる。シャムハットは「エンキドゥが賢く、神のようになった」と言う。シャムハットは、エンキドゥのために服を作り、人間の食べ物を与える。エンキドゥはウルクへ行き文明と出会う。アダムとエヴァは、自然と調和しながら暮らしているが、知恵の樹の実を食べると自然から独立する。彼らは恥を逃れるために衣服を着る。禁じられたものを食べ、神の罰を受ける。新しく踏み入れる土地には苦難が待っている。
不死の拒否・喪失アダパ(Adapa)は、知恵を持ち、天国で不死の食べ物を拒否する[2][3]。アダムとエヴァは、知恵の樹の実を食べて不死を失う。
ギルガメシュと「(Jesus)」ギルガメシュは、神の血統を持つ。2/3 が神の血統。「主(Jesus)」は神と人間の合わさったもの。

洪水物語の比較

 ギルガメシュ叙事詩(11版 84-85)創世記(6-9、18-19)
共通点
神の怒り
英雄は大洪水が起こると、前もって神の警告を受ける。
英雄は神から具体的なの作り方の説明を受ける。ウトナピシュティム:「船の床面が正方形」(Tablet XI 24 and 28-30)。(Genesis 14-16)
英雄は自身の家族と動物を乗船させる。
英雄は洪水の具合を確かめるために、長い昼夜、雨の後に3羽の鳥を放つ。(Tablet XI 145-154) (Genesis 7-11)
山の頂上に着地洪水が引き始めると、船は山の頂上に着地。バビロニア神話;ニシル山。聖書:アララト山
事後ギルガメシュは洪水後、不死を求める冒険の途上にウトナピシュティム(Utnapishtim)と彼の妻に出会う。
きっかけエンリル神が人間の騒々しさを静めるために洪水で彼らを破壊することを決めるが、エア神(Ea)は人間が可哀想に思い、ウトナピシュティムと彼の家族を救う。神が地をきれいにするために洪水を起すことを決める。
物語の結末ウトナピシュティムと彼の妻は、試練を乗り越えたとして神から不死を授かり、楽園に住む。ノアは神から二度と洪水を起さないと、虹の契約を受ける。

脚注

[脚注の使い方]
^ a b Seeley 1991, pp. 227?240 and Seeley 1997, pp. 231?55
^Adapa: Babylonian mythical figure
^ Liverani, Mario. Myth and Politics in Ancient Near Eastern Historiography. Cornell University Press (August 30, 2007) (Ch1 Adapa, guest of the Gods pp.21-23) ⇒[1]

関連項目

Assyro-Babylonian religion


ギルガメシュ洪水神話  (Gilgamesh flood myth) 

ギルガメシュ叙事詩

ゼカリア・シッチン

比較神話学

ペイガニズム

創世神話

フリードリヒ・デーリッチュ

外部リンク

The Development, Heyday, and Demise of Panbabylonism by Gary D. Thompson

Comparison of Genesis with creation stories in the Near East by Dr. David Livingston


更新日時:2020年6月8日(月)05:33
取得日時:2022/07/11 21:47


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