求人情報サイト
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求人広告(きゅうじんこうこく)とは、従業員(被雇用者、派遣、アルバイト、パート、委任、業務請負の非正規を含む)募集の広告のこと。
定義

求人広告は企業が各種のメディアに求人情報を掲載することである。有料と無料の求人広告が存在するが、無料・有料に関係なく求人広告については年齢、性別、出身などでの差別禁止、虚偽の労働条件の広告の禁止(職安法第65条第8号 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金)、個人情報の管理義務などの取締り法規が存在する。
問題点

従来、有料求人広告そのものは職業安定法ILO条約96条の枠組みでは、厚生労働省の規制対象となるはずだが、法的にはグレー(違法とみられるが取り締まられていない)とされてきた。広告事業者の主張によれば、いわゆる求人広告として営業されているものは全て「求人情報の提供」であり、職業の斡旋・紹介ではない。しかし求人企業が雇用契約成立時に成功報酬として広告料金(一部の広告企業は年収のパーセンテージを広告料金として規定)を払うことや、求人情報サイトなどの目的が求人に固定し、特定された個人向けにおこなう褒賞金を前提とする広告委託契約を認める条文が関係法令・要領(慣行)にないため、以下のような違法行為、条約違反となる可能性がある。

労働紛争中(スト中)に求人広告を載せることが可能となる。(ILO96条第181号4条に抵触)[1]

労働者の個人情報が無許可の営利業者により管理される。(ILO96条第181号6条に抵触)[1]

職業を「商品」として取り扱う。(ILO憲章・フィラデルフィア宣言に抵触)[2]
(a) 労働は、商品ではない。

 (b) 表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない。 (c) 一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である。 ? フィラデルフィア宣言 ILO

無許可または許可範疇外の職業紹介(職業安定法64条に該当、1年以下の懲役など)及びその幇助・教唆罪。

無許可または許可範疇外の委託募集(職業安定法第36条に違反し1年以下の懲役又は100万円以下の罰)及びその幇助・教唆罪。

本来賃金に回されるべき現金資産が広告事業者により中間搾取(労働基準法6条に違反、1年以下の懲役など)されること及びその幇助・教唆罪。※中間搾取被害者による刑事告訴が可能。下記「罰則」の項目を参照。

職業安定法の条文上は民間職業紹介事業所(または職業紹介を扱う事業者)または、募集を第三者に委託する有料の委託募集は全て許可制であるが、いわゆる求人広告(特に最近のインターネットを主体とした求人広告)については条文に記載がないか、認められる範囲は従来の購読対象を求職者に固定しない新聞、雑誌などへの広告等(三行広告など)に限定されている。そのため求人情報サイト、求人情報誌は国内法・ILO条約的にはその解釈(行政慣行、取締り判断)における問題が存在する(リクルート事件と、下記のリクルート事件に関する項目を参照)。しかし求人広告の適法化についての新たな条文の立法は国会で議論がなされていない。

法解釈において求人情報誌、インターネット求人情報特化サイト(成果報酬型を含む)における求人広告が認められるために職業安定法を改定するには、ILO条約により「最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上で決定する」(つまり労政審などの場で議論を経る)ことが必要となる。
広告の手段

記録性や情報量の点から、主に新聞や折込チラシ求人情報誌などの紙メディアが使われることが多く、放送メディアではほとんど行われていない。近年では、インターネットウェブサイトで求人を載せることが多い。

日本では歴史的には新聞広告上の求人広告が端緒で、1970年代までは主に中途正社員を募集する目的で利用されることが多かった。

1980年代に入ると、アルバイト・パートなどの非正規雇用形態の求人情報が増加したため、募集地域を限定的に募集できる新聞チラシによる求人広告が増加。また「フロムエー」、「an」などの週刊誌型アルバイト・パート情報誌が利用されるようになる。中途正社員の募集媒体も新聞の三行広告ではなく、専門の求人情報誌「B-ing」、「とらばーゆ」、「DODA」、「SALIDA」などが中心となっていく。

1990年代後期の雑誌が売れない時代に突入以降、各求人情報誌事業会社は、相次いでフリーペーパーにスタイルを変更し、書店販売方式を取って来た雑誌型求人情報誌は相次いで廃刊していく。

しかし、フリーペーパースタイルへの変更は、求人広告ビジネスの大きな転換期となる。それまでトーハン日販など書籍流通会社を経由しなければ、求人広告事業に参入できなかったが、フリーペーパー化によってその参入障壁が崩壊。さらにインターネットの登場によって、雨後の筍の如く参入業者が増加し、結果として求人情報の分散化が著しくなる。

この構造変化は、求人情報を検索する求職者と、求人情報が出会えないというミスマッチを生むことになる。また終身雇用の崩壊、非正規雇用型の求人ニーズの増加により求人情報数は増加傾向を続けており、その非正規雇用の供給源である若年層も減少したことから、ミスマッチは年々著しくなっている。

ミスマッチによって求人企業の採用コストは年々増加し続け、これに対抗する形で、新たな2010年前後になるとインターネット上での新しい広告手段が着目されるようになる。ひとつは「ジョブセンス」等に代表される採用課金型の求人情報サイトで、採用できた時に始めて費用が発生するスキームで、広告主のリスクを無くすことを目的としたモデルの登場である。また、外食産業における「フードバイトJP」のように、飲食店であれば無料で掲載できるが、利用者自身が原稿の入稿や宣伝活動を行うといったサイトも登場した。

新聞の三行広告以来長い間変わらなかった広告手段そのものが、インターネットの登場とともに大きく変貌し始めている。
広告料金の合理性と職業安定法

合理的に定められた定額の広告料金ではなく年収の一定の割合を徴収する広告事業者が存在するが、職業安定法64条(1年以下の懲役など)に該当するとの解釈が成り立つ。これは職業を商品として認めた行為として思料されるためであり、労働基準法6条の違反罪も同様に適用される可能性がある。
メディア
新聞
一般紙

一般紙の場合、日曜日の紙面に求人広告が多く掲載される。掲載内容としては、ホワイトカラーの職種が多く掲載されている傾向にあり、インターネットやフリーペーパーと違い情報の一覧性が魅力的である。詳細については後述の求人情報誌や自社ウェブサイトを参照させたりして、細かく補足している場合も多い。
スポーツ新聞

スポーツ新聞夕刊紙では、一般紙と対照的にタクシーの運転手や土木建設パチンコ店などといったブルーカラーの職種がほとんどであり、三行広告による求人広告が多い。スペースが限られているから用語の省略が多く、意味を知らない者が読むと暗号のようである。



ユンボオペ…ユンボ油圧ショベルの俗称)のオペレータ

アパ有…アパートが有り

新団…新聞拡張団(新聞勧誘の仕事)

土工…土木工事

新聞折込求人紙

一般紙に折り込まれる連合求人広告。日曜日の発行のものが多く、パートアルバイト正社員の募集を中心に多くの求人情報を掲載している。


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