永遠のアセリア
[Wikipedia|▼Menu]

『永遠のアセリア』(えいえんのアセリア)は、2003年11月28日ザウス(本醸造)より発売された18禁異世界召喚シミュレーションゲームと、そのシリーズ。またはこれを原作としたアニメ小説などの作品。

続編として『聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-』が発売されている。
概要

『永遠のアセリア』は、PlayStation 2のソフトとして移植されたり、OVAや小説が発売されるなど、様々なメディアで展開されている。

ゲームの難度が高いことで知られる。開発時にはザウス社内でもユーザーからの反発を懸念して易しくしようという意見が出たが、企画の高瀬奈緒文が「面白いゲームを作ろうとしてバランスを考えるなら、ある程度の難しさは絶対に必要」として却下した[1]。難易度設定は3段階に分かれており、1周目は必ずNormalだが、2周目にはHard、3周目にはSuper Hardが新たに選択可能となる。中でも実質的に未調整であるSuper Hardは文字通り非常に困難であり、クリア可能なのか開発スタッフも疑問を抱くほどだったが、発売してみると多くのユーザーがクリアしてスタッフを驚かせた[1]

クリアデータの引継ぎが可能であり、前周回で育成した能力のままのキャラクターを用いて新規にゲームを開始できる。引き継がなかった場合、それぞれの難易度に合わせたレベルでの開始となる。

なお、主人公の持つ剣「求め」の名は、アメリカ合衆国のファンタジー小説『ヴァルデマール年代記』に登場する剣「もとめ」に由来する。同シリーズの日本語訳がなかなか進まないので、『永遠のアセリア』を通じて興味を持つ人が増えたら翻訳も進展するのではないかという高瀬奈緒文の期待が込められている[1]
聖ヨト語

本作品では、他の作品では演出上無視されがちな言葉の壁が表現されており、異世界の言語「聖ヨト語」の文法などもきちんと設定されている。特に物語序盤では会話が聖ヨト語で行われることにより、主人公にとって状況を知る上で大きな障害となるように、そしてプレイヤーは物語の核心に触れられないように演出がなされている。劇中で1か月が経過して主人公が異世界に慣れてくると、音声は聖ヨト語のまま文章が日本語表記になる。さらに3か月が経つと完全な意思疎通が可能となり、音声も日本語に変わる。

2周目ははじめから音声・文章ともに日本語で表され、1周目では謎だったセリフが理解できるようになる。ただしこれはプレイヤー向けの演出であり、劇中での主人公はやはり言葉の壁に悩むことになる。3周目以降はゲーム開始時に聖ヨト語と日本語の好きなほうを選んでプレイできる。

なおエスペリアによるゲーム内容のチュートリアルは、プレイヤーに正しく理解してもらう必要があるため、周回数や設定にかかわらず日本語で行われる。

聖ヨト語の文章は、日本語文を単語単位で後ろから並べていくことで生成される。感嘆詞などは基本的に前に付く。単語もやはり日本語が基で、JISキーボード上のかな入力用文字を右側に1つずらす形で作られるが、例外も多い。濁音が少ないのが特徴である[2]

これらの演出に対するユーザーからの評価は好意的なものが多かったが、翻訳作業が大変であるため「全編聖ヨト語にしてほしかった」という意見が寄せられたときは、シナリオライターの屋敷猫は戦慄したという[3]
ストーリー

主人公の高嶺悠人は2度にわたり両親を失うも、残された義妹の佳織と二人で生きて行こうと強く決意する。義妹をめぐり宿敵・瞬との衝突はあるものの、幼馴染の今日子、光陰の支えもあり幸せに暮らしていた。しかし、このとき運命の歯車は既に動き出しており、悠人は異世界ファンタズマゴリアのラキオス王国へと召喚されてしまう。言葉も通じない異世界で悠人は、人質に取られた佳織を守るためにエトランジェとして神剣を取り、戦うことを強要されることになる。望まぬ戦いに身を投じる悠人であったが、スピリット隊の仲間と共に戦い、ファンタズマゴリアの人々と接する中で守りたいものが少しずつ増えていくことになる。

ラキオス周辺の諸国を平定して一息ついたのもつかの間、南方のサーギオス帝国が放った刺客によりラキオス王が暗殺され、佳織が誘拐される。王女レスティーナが新たに女王として即位し、彼女の下で悠人はさらなる戦いに臨む。しかしそれは、マロリガン共和国のエトランジェとして召喚されていた親友の今日子、光陰と刃を交えることを意味していた。

マロリガンを打倒した悠人は、帝国のエトランジェとして君臨していた瞬に決戦を挑み、ついに佳織を取り戻す。そしてもはやラキオスに敵対する国がなくなったことで、なし崩しに平和が訪れたのだった。悠人も元の世界に帰れることになったが、一連の戦いを陰で操っていた不死の超人エターナルの存在が彼の気がかりだった。帰還前夜、佳織は悠人の元を訪れ、義兄ではなくひとりの男性として愛していたと告白する。「これでもう兄妹には戻れない」と言う佳織を見て、もはや彼女が自分の庇護を必要としないと悟った悠人は、佳織のみを送り出して自らは戦い続けることを決意する。

エターナルに対抗するため、悠人もまたエターナルになる道を選ぶ。その代償として、これまで悠人が生きていた時間はすべてなかったことになり、佳織やファンタズマゴリアの仲間たちの記憶から彼の存在が消えてしまう。しかし悠人自身が覚えている限り、決して皆との絆が途切れたわけではないと信じて、彼は永遠に続く戦いに身を投じるのであった。
システム

主に3つのパートに分かれており、それらを繰り返すことで物語が進行する。
戦略パート
部隊を率いて敵国の拠点を攻め、占領していく。拠点では回復のほかに各種設備を建設することで有利な状況を作ることができる。また、訓練所が建設されている拠点ではレベルを上げることができる。敵、味方交互のターン制。ミッションによりクリア条件は異なる。
戦闘パート
戦略パートで自分側の部隊と出会った敵の部隊で戦う。各部隊は攻撃担当の「アタッカー」、防御担当の「ディフェンダー」、支援担当の「サポーター」の3人で構成される。全てを一度に担当する「オールラウンダー」も存在する。サブ・スピリットは戦闘で倒されると死んでしまい、二度と生き返らないため、注意が必要。メインキャラは一人でも倒された時点でゲームオーバーとなる。運の要素はなく、勝敗はデータの組み合わせによってのみ決定するため、事前の戦略や計算が重要なシステムである。
ADVパート
主にキャラクター同士の会話で物語が進み、選択肢では何を選ぶかによって以後の物語に影響を及ぼす。
登場人物「永遠神剣シリーズの登場人物」を参照
高嶺 悠人(たかみね ゆうと)
主人公の少年。義妹の佳織を守るために望まぬ戦いを強いられ、心をすり減らしていく。
アセリア・ブルースピリット
悠人が最初に出会ったスピリット。無口で淡々と戦い続ける。
エスペリア・グリーンスピリット
優しく献身的な、みんなのお姉さん的存在。プレイヤー向けのチュートリアルも担当する。
オルファリル・レッドスピリット
無邪気で幼いが、命を奪うことに躊躇がなく、戦いを遊び感覚で楽しんでいる。
ウルカ・ブラックスピリット
まじめで寡黙な剣士。帝国の尖兵として佳織を誘拐するが、その後役立たずとして放逐され、ラキオスに帰順する。
レスティーナ・ダイ・ラキオス
ラキオスの王女。立場上冷徹な態度を取ることが多いが、本当は覇権主義の父に反発を覚える心優しい姫である。
高嶺 佳織(たかみね かおり)
悠人の義妹。内気だがしっかり者で、兄のことを支えてきた。悠人を戦わせるための人質に取られる。
倉橋 時深(くらはし ときみ)
悠人を導く巫女。
岬 今日子(みさき きょうこ)
悠人の親友。光陰と交際しつつも、悠人に心を惹かれて悩む。マロリガンのエトランジェになった際、神剣に支配されてしまう。
碧 光陰(みどり こういん)
悠人の親友。剣に支配された今日子を守るため、マロリガンのエトランジェとして悠人に戦いを挑む。
秋月 瞬(あきづき しゅん)
佳織に対して異常な執着を見せ、悠人を敵視する少年。サーギオスのエトランジェとして悠人と雌雄を決することになる。
用語
キーワード
永遠神剣
自ら選んだ所有者に絶大な力を与え、その代償としてマナを集めることを求める武器。神剣と呼ばれているがその形状は剣に限らない。神剣には第十位から第一位までの階位が存在し、数字が小さくなるほど強大な力と、明確な意思を持つ。第四位までの神剣は低位とされ、意思疎通こそ可能だが本能的な部分が強く、所有者に強制力を働かせて操ろうとする傾向がある。一方、第三位以上の神剣は高位とされ、神剣としての本能を抑え込むほどの理性を持ち、自らの意思を共に実現してくれるパートナーとして所有者を選ぶ。そのため所有者との親和性が高い傾向にあり、所有者の良き理解者となる。
スピリット
ファンタズマゴリアにおいて「剣の妖精」とも呼ばれる戦うためだけの存在。実はとある上位神剣から彼女らの使う神剣と共に生まれた。戦闘能力は極めて高いが、人間にとっては戦争の道具でしかなく、社会的地位は極めて低い。加えて、通常人間に危害を加えないように教育されているため、それが当たり前だと思われている。また、スピリットを性的対象として見る事は「妖精趣味」と呼ばれ最も忌み嫌われるものの一つである。スピリットたちはそれぞれ属性を持ちその象徴となる色が髪や瞳などの外見に表れる、各色の特徴は下記の通りである。

青 威力の高いアタックスキルと相手のサポートスキルを封じるバニッシュスキルを持つ。

緑 防御と回復を得意とする。魔法への抵抗力が低め。

赤 威力の高い神剣魔法を得意とする。反面、直接攻撃や防御には向かない。

黒 素早さを生かして相手の防御を上回る攻撃や受けたダメージの一部を返すことができる。また、サポートスキルがバニッシュされない。

白 作中その存在はほとんど知られていないため詳細は不明。
加えてスピリットたちは例外なく顔立ちが整っているため、一目でそれだと分かる。レスティーナの統治するラキオスで徐々に社会的地位は向上し、戦いの後には「ラスフォルト(気高き者の意)」という苗字を与えられる。
エトランジェ
異世界からファンタズマゴリアへ召喚された者たちの事。『求め』『誓い』『因果』『空虚』のいずれかの神剣に選ばれた者。「オーラフォトン」を操りその力はスピリットをも凌駕すると言われている。彼らのサポートスキルも一部を除きバニッシュされない。スピリット同様、人間としては扱われず、畏怖と侮蔑の目で見られる。また、王族に敵意を向けると苦痛を伴う抑制力がかかるため逆らうことができない。レスティーナの統治するラキオスでは協力者として対等の立場で迎えられることになる。
ハイロゥ
神剣を持ったスピリットの頭上に現れる光輪。その後各属性色ごとに姿を変える。神剣に精神を取り込まれたスピリットのハイロウは黒くなっていくが、戦闘能力が高くなることから良いスピリットとされている。青、黒のスピリットは飛行能力を持つ「ウィングハイロゥ」、緑スピリットはリング状の「シールドハイロゥ」、赤スピリットは浮遊する二つの球体「スフィアハイロゥ」を主に使うが、訓練次第で別のハイロゥを習得することも可能である。
マナ
命の根源で空間中に存在するエネルギー。戦争などでマナを多く消費すれば
出生率や収穫高にも大きく影響する。かつては無限と思われていたが、そうでないことが分かって以来その争奪が争いの火種となっている。
エーテル
マナを人間が利用できるように変換したもの。これを利用した技術によって人々は本来の文明レベルより遥かに高い生活水準を得ている。エーテルを消費するとマナに戻ることから、かつては無尽蔵に生産できるものと思われていたが、マナに戻る際に僅かに減少することがラクロックという学者によって既に明らかにされている(これを「ラクロック限界」と呼ぶ)。
エターナル
第三位以上の永遠神剣を持つ者達の総称。永遠者とも呼ばれる。別世界へ移動することができるようになるほか、人間としての寿命がなくなり(エターナルとなった時点から成長や老いが止まる)、永遠神剣を手放したまま死なない(戦闘で殺されない)限りは、無限に生き続けることができる(過去、エターナルとなって以後に死亡した者は数えるほどしかいない)。正確には、出身世界の時間の流れから外れた存在になるということらしい。エターナルとなった者は、生きる限り永劫の時の中で戦い続ける宿命を負うことになる。エターナルの中でも『ロウ・エターナル(秩序の永遠者)』と『カオス・エターナル(混沌の永遠者)』といった組織があり、互いに敵対関係にある。これらに属さないエターナルもいる模様。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:38 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef