この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}民法 > 物権法 > 物権 > 用益物権 > 永小作権
永小作権(えいこさくけん)とは、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利。日本の民法では第270条
以下に規定が設けられている。ただ、今日の小作関係のほとんどは賃借権の設定による賃借小作権で永小作権が設定されている例は少ないとされる[1][2]。永小作権とは、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利である(第270条
)。永小作権は永代小作、永代作、上土権、上毛地、開作権、開墾小作権などとも呼ばれてきた[2][3]。江戸時代における小作の実情は地主と小作人との関係や藩の農民政策により態様は異なるとされるが、一般には普通小作とは異なり永小作人の地位は独立しており、それは分割所有権的性格をもっていたとされる[2][3]。明治政府は地租改正において小作料の徴収権者に地券を発給して唯一の所有権者としたため、小作人は用益権者の地位に転落した[2][4]。また、明治23年の旧民法での永小作権は所有権的内容に近いものであったが(民法典論争参照)、これに代わる明治31年施行の明治民法は永小作権の存続期間を50年とし(第270条
)、また、民法施行法47条も民法施行前に設定された永小作権の存続期間を原則として民法施行の日から50年にとどめたため永小作人の不満を生じることとなった[2][4]。そのため民法施行法47条の3項において「民法施行前ニ永久存続スヘキモノトシテ設定シタル永小作権」について、所有権者の償金支払による消滅請求と永小作人の所有権買取について追加されたが、所有権者による永小作権消滅請求が優先する点、永小作人に土地所有権の買取義務を定めていた点、買取価格が不確定である点などで問題を抱えていた[2][5]。第一次世界大戦後には小作争議が頻発したため、大正13年に小作調停法、昭和13年に農地調整法が制定されたが、これらは小作関係の実体を変更するものではなかったとされる[6][7]。第二次世界大戦後の農地改革を経て昭和27年に農地法が制定されるに至る過程で、永小作権は買い上げの対象となり自作農への移行が図られ小作関係は整理されることとなった[2]。
一般に永小作権は現在ではほとんど利用されていないと理解されている。ただ、統計上、1899年から1990年まで10万3239件の登記があったことが指摘されている[8]。 耕作や牧畜は永小作権でなくとも農地に賃借権を設定することでも達成しうる(賃借小作権)[2]。しかし賃借小作権と違い、永小作権は物権であるから排他性を持ち、土地の所有権者の意思に関わらず自由に処分をすることができる。当然登記によって第三者に対抗することができ相続も可能である。現在、耕作に利用されている土地利用権の圧倒的多数は賃借小作権である[2]。なお、権利内容が永小作権か賃借小作権か不明である場合には、設定契約の内容あるいは地方の慣習によって定めるべきとされる[6]。 永小作権は地上物の所有そのものを目的とするものではなく、地上物の存在や消滅による影響を受けない[6]。地上権との相違点として、譲渡性を設定行為により制限可能な点(272条但書)と対価の支払い(小作料)を要素としている点が挙げられる[6]。
賃借小作権との差異
永小作権の目的
永小作権の取得
永小作権設定行為
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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