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氷床(ひょうしょう、英語: ice sheet[注 1])は、地球型惑星など地表面がある天体の、地表部を覆う総面積5万平方キロメートル以上の氷塊(地球の場合は氷河)の集合体である。氷床は氷棚や(狭義の)氷河より大きな規模のものを指す。対して、5万平方キロメートル以下の氷塊は氷帽と呼ばれ、周囲の氷河を涵養している。
なお、太陽系内の地球型惑星で氷床が存在するのは地球と火星のみである。太陽系外の地球型惑星ではまだ確認されていないが、存在しないということは考えられない。以下、本項では地球の氷床と火星の氷床に分けて解説する。
概要.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}南極氷床南極氷床は南極大陸中央部を覆う
ザ・ブルー・マーブル撮影時に撮られた南極大陸の衛星画像。南極大陸の地図
大陸中央部を覆う一続きの白い部分が南極氷床であるが、南極氷床は、広大な東南極氷床と、南極横断山脈で区切られて南極半島まで伸長する西南極氷床とで構成されている。南極大陸にあるプリズ湾(英語版)内の Mather Island にて、断面を見せる氷床グリーンランド氷床グリーンランドの図説
白い部分の全てが氷床(グリーンランド氷床(英語版))である。
氷床とは、降り積もった雪が徐々に固められ、圧密されていくものが、さらなる降雪によって層を重ねて成長し、形成されてゆく氷塊の一種である[1]。そのため、深部では形成当時の大気や様々な環境成分が内部に閉じ込められており、これを採取した氷床コアは過去の記録として学術的価値の高い研究対象となっている[1]。なお、日本の場合、氷床コアの本格的採取は、南極氷床上にあって氷の厚さ約3000メートルになる場所に設営されたドームふじ基地(標高3810メートル)で行われている[1](その他、詳しくは該当項目「氷床コア」を参照のこと)。 現世の地球における大陸配置は、長い地質時代の中にあって寒冷化しやすい状況にあり、したがって、氷床もまた形成されやすい環境になっていると言うことができる[1]。まず第一に、パンゲア大陸のような超大陸の形成時代とは違い、陸塊が分断されている現世にあっては暖流が極域まで到達しやすい大陸配置(地球全体が温まりやすい大陸配置)にはなっていない[1]。 また、気温差の影響を水域より強く受ける陸部が多く分布する北半球は、それらが高緯度地域に多く集まっているために氷河が形成されやすく、ひとたび形成された氷河は氷が持つ特性ゆえに太陽光を反射して気温を低下させ、さらなる氷河の形成を促す[1]。一方、南半球は、海域が大部分を占めていて温度変化が小さいとは言え、南極大陸が南極地域を占有している上にその周囲を冷たい南極環流が巡って暖流の流入を遮断しているため、極域(南極圏)に限っては氷が氷を生むと同時に暖気を寄せ付けない特殊な環境となっている[1]。
地球の氷床
氷床は表面は寒冷であるが、その底部は暖かく融解し、融解水が氷床の流動を促している。この過程は氷床内部に速い流れの水路を作っている。
現在の極域の氷床は、地質学的に見れば比較的新しい。
南極氷床は、新生代暁新世前期に初めて形成された以来、おそらく数回にわたって形成と消滅、前進と後退を繰り返したであろう氷帽に起源すると考えられている。そのような状況は以後も長らく続いたが、中新世初頭(アキタニアン)にあたる約2300万年前になると南極大陸と南アメリカ大陸を辛うじてつないでいた地峡がついに切れてドレーク海峡が開かれ、南極大陸が完全に他と切り離された孤立大陸になった結果、急激な気候変動が始まった。周囲で南極環流が生じて暖流が届かず急速に寒冷化する時代の到来によって氷帽は氷床へと成長してゆき、同世の中期(ランギアン)にあたる約1500万年前には大陸のほとんどが氷床で埋め尽くされた。一方、グリーンランドの場合、新生代前期を通して氷床はほとんど無かったが、鮮新世後期以降、グリーンランド氷床が急激に形成されて、新生代の北半球で最初の大陸氷床となった。グリーンランドには、氷床が発達する前に生息していた植物の化石が非常に良好な保存状態で発見されている。
現存する氷床
南極氷床
南極氷床は、地上で最も大きな氷塊であり、面積は1400万平方キロメートル、体積は3000万立方キロメートルである。地球表層の90 %ほどの淡水がこの氷床に固定されており、万が一融解すれば海水準は61.1メートル上昇するだろうと言われている[2]。東南極氷床は陸塊の上に発達しているが、西南極氷床では底部は2500メートル海面下であり、氷床が無いものと仮定すれば西南極は海面下となる。