「水」のその他の用法については「水 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
この項目では、水や液状物について説明しています。俗称として用いられるハイドロ(hydraulic)については「油圧」をご覧ください。
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水面から跳ね返っていく水滴海水
水(みず、(英: water、他言語呼称は「他言語での呼称」の項を参照)とは、化学式 H2O で表される、水素と酸素の化合物である[1]。日本語においては特に湯と対比して用いられ[1]、液体ではあるが温度が低く、かつ凝固して氷にはなっていない物を言う。また、液状の物全般を指す[1][注 1]。
この項目では、水に関する文化的な事項を主として解説する。水の化学的・物理学的な事項は「水の性質」を参照。 水は、ヒト(人)を含む多くの生命体にとって不可欠な物質であり、地球と似た生命が発生・存続しうる惑星の位置を指すハビタブルゾーンは、惑星表面に液体の水が存在しうる温度を保てる恒星からの距離が主な基準となる(→#生物と水)。人は、尿や汗として、成人男性で1日4リットル余り、成人女性で1日3リットルの水を体外に排出し、これは体内にある水の10%程度に相当し、飲み物に含まれる飲料水を20代男性で1日1.8リットル、20代女性で1.4リットル飲む必要がある[2]。水は様々な産業活動にも不可欠である。 古代ギリシャではタレスが「万物のアルケーは水」とし、エンペドクレスは四大元素の1つで基本的な元素として水を挙げた。古代インドでも五大の1つとされ、中国の五行説でも基本要素の一つと見なされている。18世紀の後半まで、洋の東西を問わず人々はそうした理解をしていた。それが変わったのは、19世紀前半に、ドルトン、ゲイリュサック、フンボルトらの実験が行われ、アボガドロによって分子説が唱えられたことによって、 H 2 O {\displaystyle {\ce {H2O}}} で表すことができる水素と酸素の化合物と理解されるようになった。(→#水の知識の歴史概略) 常温常圧では液体で、透明ではあるが、ごくわずかに青緑色を呈している(ただし、重水は無色である)。また無味無臭である。日常生活で人が用いるコップ1杯や風呂桶程度の量の水にはほとんど色が無いので、水の色は「無色透明」と形容される。詩的な表現では、何かの色に染まっていないことの象徴として水が用いられることがある[注 2]。しかし、海、湖、ダム、大きな川など、厚い層を成して存在する大量の水の色は青色に見える。このような状態で見える水の色を、日本語ではそのまま水色と呼んでいる。(→水の色) 化学が発展してからは化学式 H 2 O {\displaystyle {\ce {H2O}}} で表され、「水素原子と酸素原子は共有結合で結びついている」と理解されている。(→水の性質) また水は、かつて1 kgや1 calの単位の基準として用いられていた。(→水の性質) 前述のように、水は、全ての既知の生命体にとって不可欠な物質で、その身体を構成する物質の最も多くを占めている。細胞核や細胞質で最も多い物質でもあり、細胞内の物質を代謝する際の媒体としても利用されている。通常、質量にして生物体の70?80 %が水によって占められている。人体も60?70 %程度が水である。(→#生物と水) 地球表面、特に海洋に豊富に存在する。水は人類にとって身近であって、地球上の生物の生存に必要な物質である。しかし宇宙全体で見ると、実は液体の状態で存在している量は少ない。(→#水の分布) 現代の人類の水の使用量の約7割が農業用水である。現代の東京の家庭での水の使用量を多い順に並べると、トイレ、風呂、炊事である。(→#水の使用量) 以下では、水に関する人類の知識の歴史概略を解説し、続いて現代物理学での水の理解などを解説する。 日常的な日本語では、同じ液体の水でも温度によって名称を変えて呼び分ける。低温や常温では水と呼ぶが、温度が高くなると湯(ゆ)と呼び[注 3]、別の漢字を宛てる。しかし、英語(water)やフランス語(eau)やスペイン語(agua)などでは、液体であれば温度によらず名称は不変である[注 4]。
概要
呼称