水野 知昭(みずの ともあき、1949年(昭和24年)1月6日[1] - 2005年(平成17年)10月23日)は、日本の古英語文学者、比較神話学者。元信州大学人文学部文化コミュニケーション学科比較言語文化講座教授。文学修士。
経歴
1949年 - 富山県西礪波郡津沢町(現在の小矢部市津沢)で誕生。父は高校の物理教諭。
父に勧められ理系の大学を受験するも不合格となる。翌年東北大学文学部言語学科に入学。卒業後は、同学文学研究科博士課程へ進む。助手を勤めつつラテン語や古英詩を学ぶ。[2]
1978年 - 日本大学工学部の英語の専任講師、助教授となる。[2][3]
古英詩の口承定型句と比喩表現を研究。[4]北欧神話を研究しなければ、古英詩に用いられるケニングの意味を正しく理解できないと痛感。[2][4]
1982年 - ストックホルム大学宗教史学科に留学。
神話の研究のための留学。[4]
1995年 - 信州大学において人文学部教授。北欧神話、比較神話学、古ノルド語、古英語文学専攻。[5]
学生に北欧神話と古英詩の魅力を伝えることに尽力。この間、七十数本の論文を書いている。
2005年10月23日 - くも膜下出血のため死去。享年56[2][1]。
2007年3月 - 信州大学付属図書館松本合同図書館にて「水野コレクション」として蔵書を公開。[6]
主要業績
単著書
『生と死の北欧神話』松柏社、2002年、ISBN 978-4775400135
共訳書
ヘルマン・パウルソン(英語版) 『オージンのいる風景 オージン教とエッダ』 水野知昭他訳、東海大学出版会、1995年、ISBN 978-4486013181 ※水野は第4章・第5章を担当
主要論文
「ゲルマンの宇宙創成論における月神崇拝」『日本大学工学部紀要』分類B第22巻、1981年
「バルドル殺害神話の形成 - 大地母神と運命女神崇拝 - 」『エポス』第6号、1981年
「風、海そして火の神ニョルズ」『エポス』第7号、1982年
「グルヴェイグをめぐる神々の闘争」『日本大学工学部紀要』分類B第23巻、1982年
「古ゲルマンの楽園の原風景」1984年
「神々の犠牲者としてのバルドル」1986年
「古北欧の双生神フレイとバルドル -『北欧マレビト考』への序章」『日本大学工学部紀要』分類B第27巻、1986年
「旅するロキの神話 - その(1)-」『日本大学工学部紀要』分類B第28巻、1987年
「古北欧『異人による蛇神殺し』としてのバルドル神話」『口承文芸研究』、1987年
「『バルドル神話劇』前編 - 不死になったバルドルと旅するロキ」『エポス』第10号、1987年
『羽振りの古代思想』、1991年
「ロキの笑劇についての民族的な考察」『日本アイスランド学会会報』16号、1997年
「客人款待神としてのオージン」『ユリイカ』2月特集号、青土社、1997年
「『詩のエッダ』と『散文エッダ』」『北欧神話文化論』※講義用の教科書、1998年
「宇宙創成論における水と火」『北欧神話文化論』、1998年
「王の犠牲と豊饒:北欧と日本とギリシアの事例」『人文科学論集』〈文化コミュニケーション学科編〉第32号、1998年
「北欧教会建立伝説の成立背景」『人文科学論集』〈文化コミュニケーション学科編〉第34号、2000年
「求愛の使者スキールニルの旅 - フレイとバルドルを繋ぐもの」『日本アイスランド学会]会報』20号、2000 - 2001年
「古北欧の『中つ国』と『根の国』」『人文科学論集』〈文化コミュニケーション学科篇〉第35号、2001年
他多数。[7]
脚注[脚注の使い方]^ a b 『現代物故者事典2003?2005』(日外アソシエーツ、2006年)p.577
^ a b c d “ ⇒北欧神話に魅せられた男”. となみ野ストーリー 第65回 北欧神話に魅せられた男. いーとなみの (2013年4月1日). 2009年1月29日閲覧。
^ 『オージンのいる風景』奥付。
^ a b c 『生と死の北欧神話』318頁。