水素化カルシウム
IUPAC名
Calcium hydride
別称Calcium(II) hydride
Calcium dihydride
識別情報
CAS登録番号7789-78-8
816 °C
水への溶解度激しく反応
溶解度アルコールと反応
構造
結晶構造斜方晶系
空間群Pnma, No. 62
危険性
HフレーズH260
EU分類強い可燃性(F)
EU Index001-004-00-5
RフレーズR15
Sフレーズ(S2), S7/8, S24/25, S43
関連する物質
その他の陽イオン水素化ナトリウム,
水素化カリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
水素化カルシウム(すいそかカルシウム、Calcium hydride)は、化学式CaH2で表されるカルシウムの水素化物である。カルシウムヒドリド、カルシウムハイドライド、略してカルハイとも呼ばれる。純粋な物は白色だが、通常は灰色の粉末。水と激しく反応して水素ガスを放出することから、有機合成において乾燥剤として用いられる。
水素化カルシウムはヒドリド塩であり、塩化鉛(II)と同様の結晶構造を持つ[1]。アルカリ金属とアルカリ土類金属はみなヒドリド塩を形成するが、それらと同様、反応しない有機溶媒に対しては不溶でもある。 水素化カルシウムは水と以下のように反応する。 CaH 2 + 2 H 2 O ⟶ Ca ( OH ) 2 + 2 H 2 {\displaystyle {\ce {CaH2\ + 2 H2O -> Ca(OH)2\ + 2 H2}}} 生じた水素(気体)と水酸化カルシウム(固体)は蒸留や濾過、デカンテーションによって容易に除くことができる。 水素化カルシウムは比較的マイルドな乾燥剤なので、金属ナトリウムやナトリウムカリウム合金に比べて安全である。アミン類やピリジンのような塩基性の溶媒の乾燥に広く用いられている[2]。より反応性の高い乾燥剤を使う前のプレ乾燥にも用いられる。 水素化カルシウムは確かに便利であり頻繁に使用される乾燥剤であるが、いくつかの欠点がある。
乾燥剤としての利用
欠点
(反応しない)有機溶媒には不溶のため、エーテル系溶媒に可溶な水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)などと比べて乾燥速度が遅い。
水素化カルシウムと水酸化カルシウムは見た目でほとんど区別が付かないので、水素化カルシウムの試料の質が視覚的に判断できない。
水素化カルシウムは溶媒中に溶解した酸素を除くことはできないので、溶媒の脱気には使えない(cf. ナトリウムとベンゾフェノンを用いた方法)。
脚注^ Wells, A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry, Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-855370-6.
^ Gawley, R. E.; Davis, A. "Calcium Hydride" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York. doi:10.1002/047084289X.rc005
表
話
編
歴
水素の化合物
二元化合物
CH4
SiH4
GeH4
SnH4
PbH4
HAt
HBr
HCl
HF
HI
HN3
H2O
H2O2
H2O3
H2S
H2S2
H2Se
H2Te
NH3
PH3
AsH3
SbH3
BiH3
多元化合物
H[AuCl4]
HBF4
HCN
H2CS3
H[CuCl2]
H2[CuCl4]
HNC
H2[PtCl4]
H2[PtCl6]
HSCN
H2SiF6
HSNC
オキソ酸
H3AsO4
H5As3O10
HBiO3
HBO2
H3BO3
HBrO
HBrO2
HBrO3
HBrO4
HClO
HClO2
HClO3
HClO4
HClO5
H2CrO4
H2Cr2O7