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やノートページでの議論にご協力ください。水洗式便所(すいせんしきべんじょ)は便所の形態の一つ。または便所の洗浄方式を指す。水勢により、汚物(悪臭を放ち周辺の環境を汚損するおそれのある汚物。主に糞尿)を洗浄して衛生的に処分するための機能を持っている。本記事では主に便器の給排水機構やその種類について記す。便器についての詳細は便器記事を参照のこと。 以下、大便器について詳述する。「小便器#小便器の洗浄装置」も参照 もっとも簡易な普及品なのが洗い出し式、洗い落とし式であるが、構造上の欠点も多く、便器として性能が高いのは快適性や洗浄力を高めるべく開発された、サイホン式、サイホンゼット式である。汚物を水没させて便器の汚れ付着や臭気発散を防ぐ封水(溜まり水)の大きさ、洗浄力や排出力の強さと、背反となる洗浄水量の節減とが特にオイルショックに始まる「省資源時代」の技術的課題である。 在来型の便器は便鉢外周の縁(リム)内に水を流し、その下部に幾つも設けられた孔から便器内に吐水するが、INAX(当時は伊奈製陶)の節水型タンク密結便器「カスカディーナ」以来、洗浄水の水勢を損なわずに効率的に便鉢洗浄する設計とするため縁水路を廃止しノズル吐水を行う構造が改良されてきた。このような構造は最近の家庭用新設便器において定着した感があり、さらに高級住宅向け便器として、洗浄、排出を電磁切り替えで行う水道直圧による節水便器(TOTO「ネオレスト」、INAX「サティス」)の拡販が図られている。 洗浄水量は、洗い落とし式で10リットル前後、サイホンゼット式では13リットル(いずれも大洗浄)というのが一般的であったが、最近は大洗浄で8リットル、小洗浄では6リットル程度への節水化を果たした新型製品が品揃えされた。その契機となったのは、1978年から1年近くにわたって続いた福岡大渇水であった[4]。福岡市ではこの大渇水を契機に、サイホン系であっても洗浄水量を10リットルにするよう条例で義務付けた。これに“地元”のTOTOがいち早く対応し、「福岡市専用」商品を発売した。その後全国でも渇水の影響が広がったことから、現在ではライバルメーカーを含め節水型を「基本商品」に位置づけて対応。更なる節水効果をうたった商品も販売されている。 和式便器で一般的な方式であり、もっとも安価なものである。使用中は汚物をいったん便鉢部分にためてから、リム部および後部からの水勢のみで汚物を流す。便鉢奥側、金隠し下にトラップ(排水路の封水)があるが、手前側の便鉢部の溜水部が少なく汚物が空気に触れるため臭気が発散しやすく、汚れの付着も多い欠点がある。中央ヨーロッパやオーストラリアに洗い出し式腰掛便器もあり、通常だったが、その欠点の為に1990年代から減少傾向がある。 排水口はJ字状で、排水管とは直接結ぶことはできず、傾斜のあるU字溝に流し落とす方法。排水路が短いため詰まり難い構造だが、便器の排水以後の保守点検が必要だった。便器後部に水溜りがあるために、外見上は洗い落とし式に非常に似ている。常時不特定の人が多く使う高速道路のサービスエリア・パーキングエリアの和風便器に長らく採用されていた。現在は通常の掃除口付床下給水和風便器が採用されており、改修工事などで急速に減少している。 和式便器にも存在しているが、特に腰掛便器普及品の洗浄方式である。便鉢に吐出された水勢のみで汚物を排出する。大きい洗浄音が発生しやすい。欠点としては封水面が小さい[5]ため、汚物が付着しやすいほか、座面と封水との落差から水のはね返りを気にする使用者も多い。なお、洗い落とし式の和式便器は、現在寒冷地対応品に存在する程度にとどまっている。 洗浄水の渦作用と水勢で流す方式。洗い落とし式の一種であるが、洗い落とし式の排出力の弱さを水流によって作る封水面の渦水流によって補う方式で、封水面も洗い落とし式より広い[5]。便鉢はサイホン式より小さくなるが、洗い落とし式に比べ高い性能をサイホン式より少ない洗浄水量と低価格で実現し、あわせて狭小現場への対応を図ることを狙いINAXで開発された。タンク密結式の他に、一部公共用システムトイレ製品(壁掛式洋風便器)も発売されている。 2006年、INAXは溜水面を拡大した「ワイドボルテックス式」をマンションリフォーム用に導入した。マンション用の排水芯が高い(155mm)床上排水では、サイホン作用を作ることが難しいため、ネオボルテックス式をベースに大型便器に適した改良がなされた。TOTOも2006年(平成18年)10月にマンションリフォーム用に新しい洗浄方式を導入している。 屈曲した排水路により管内を満水させ、サイホン作用を起こさせることによって汚物を吸引して排出する方式。汚物がすぐ水中に沈むため、臭気が発散しにくい。大きな封水と強い排出力を持つ上位機種である。欠点として吸引時の空気巻き込みによる騒音発生があるが、現在の住宅新築用では主流となっている方式である。性能確保と節水、消音化との両立が技術課題である。 サイホン式の一種であるが、便鉢や封水量を小さくし、洗浄水量の節減と低価格化、あわせて狭小現場への対応を図った方式である。欠点は便鉢および便座の小さいこと、及び汚物がサイホン式と比べ付きやすいこと。 基本構造はサイホン式に準じるが、排水口近くにあるゼット孔からの水勢を利用し[5]、より強力なサイホン作用を発生させて汚物を排出する方式。溜水面はかなり広く、汚れが付着しにくい。使用水量が多いため(1960年代は20リットル、のちに13リットル)、パブリック用では比較的以前から多く採用されていたが、住宅用では10リットル以下への節水化が進んだ1990年代以降に普及。使用水量はゼット孔からの水が7割を占め、上部からの水は3割程度である。 高級住宅向けのタンク一体型超消音便器として開発された方式で、便器の奥に一体化されたタンクから洗浄水を短時間に独特の窪みのついた便鉢の封水下へ吐出させ、落水音なく水位差をつくり、空気を巻き込まない渦作用の起こる便鉢形状によってサイホンを発生させ、空気を吸い上げることなく排出する。排水路の構造が複雑なため異物の詰まりやすい傾向があり、また大量の吐出水を確保するため洗浄水量はサイホンゼット式よりさらに多くなり、節水面、維持費用面の欠点となるが、強い排出力のほかサイホンゼット式よりさらに大きな封水面を確保でき、徹底して空気の巻き込みを排した洗浄騒音の静粛さが特徴である。タンクが便座とほぼ同じ高さにありローシルエットである。高級住宅、ホテルのほか、公共用にも静粛性が求められる場所で採用されている。
歴史
日本秋田城のトイレ遺構(復元)
奈良県の纒向(まきむく)集落では、勢いよく水が流れる溝を作り水洗トイレにしたとされている。
秋田城や藤原京の遺構から水洗トイレの跡が見つかっている。
戦国時代では、武田信玄が水洗トイレを使っていたとされる。信玄が用を足した後、鈴を鳴らすと家臣が水を流す方法であった。
高野山では平安時代より薬研式便所と呼ばれる水洗トイレが使われていた。谷川の水を生活用水として引き込み、さらにその水をトイレを経て川に流す方式で、トイレの下は常に水が流れている[1][2]。近代に入って高野山が観光地化すると水質汚濁が問題となり、昭和11年(1936年)11月21日に高野町の下水処理場が供用を開始したことによって廃止された。
近代期における水洗式便所は大正5年(1916年)に兵庫県尼崎市の石鹸会社が使用したのが初とされる[3]。
世界
ローマ時代の遺跡からは、かなり広範囲にわたって水洗トイレの遺構が発見されている。
インカ帝国の空中都市と呼ばれるマチュピチュからも遺構が発見されている。
洗浄方式
洗い出し式(和式)
半トラップ式(和式)
洗い落とし式(腰掛式、和式)
ネオボルテックス式(INAX)・ニューボルテックス式(TOTO)(腰掛式)
サイホン式(腰掛式)
セミサイホン式(TOTO)(腰掛式)
サイホンゼット式(腰掛式、和式)サイホンゼット式便器(幼児用簡易便座付属)
サイホンボルテックス式(腰掛式)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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