水処理(みずしょり、英語:water treatment)とは、水を使用目的にあわせた水質にするための、または、周辺環境に影響を与えないよう排出するための各種の処理。Dalecarlia浄水場、ワシントンDC
特定の最終用途に対して水の許容度を高めるために水質を改善するプロセス。最終用途は飲用、工業用水供給 灌漑、河川流の維持、水の娯楽または安全に環境に戻されることを含む他の多くの用途で汚染物質および望ましくない成分を除去する、または濃度を下げて水がその所望の最終用途に適するようにすること。 地球上の水の総量は約14億km3で、海水が97.5%、淡水は2.5%である[1]。継続的に利用できる淡水の水量はさらに少なく約10万km3に過ぎず、淡水は地域的にも偏って存在している[1]。水不足への対策としては、需要面では節水(及び節水技術)があるが、供給面では下排水の再利用や海水の淡水化などの水処理技術が挙げられる[1]。 水処理技術は次のような用途に用いられる。 水処理の方法は、物理化学的処理(汚濁物質の大きさ・比重・化学的特性で分離)と生物的処理(微生物の吸収・分解作用を利用)に大別される[1]。水処理施設では各種の技術を組合せた処理プロセスが構築されている[1]。 適切な水質に処理されているか確認するため、各種分析が必要である。 有害有機化合物 重金属類 初期の水処理方法には現在も利用される砂濾過および塩素化があり、ジョン・ギブというスコットランドのペイズリーにある漂白剤製造者が実験用のフィルターを設置していたが、不要な余剰分を公衆に売ったというのが給水を浄化する砂フィルター最初の使用記録で、1804年まで遡る。[3] [4]この方法はその後20年間で洗練され、1829年にロンドンのチェルシー・ウォーターワークス・カンパニーによって設置された、世界最初に処理された公共用水供給で頂点に達した。 [5] [6] 日本では、古来から酸性度が高く有害な金属が含まれる毒水が確認された。そのような毒水が流れる火山性の山から流れる川は、酸川、酢川、須川、渋や赤などの関連する名が付けられた。これらの川に環境工学的手法として水質改善が行われた。玉川温泉では、1800年代半ばに最初の水質改善の取り組みが行われたが、当初の計画では効果は確認できなかったが、その後も継続して数々の水質改善方法が試され、今日では多くの酸性河川で石灰を用いた河川中和が行われている。草津温泉では1960年代に石灰による中和が行われるようになった[7]。
概説
海水の淡水化 :海水から塩分を除去し、淡水(真水)を得る。
食品製造 :微生物や有毒物質に汚染されていない水を得る。
半導体素子製造 :洗浄用に不純物のほとんどない超純水が必要である。
ボイラー給水 :スケールによる熱交換効率の低下や腐食を防ぐため、イオン交換・薬品添加が行われる。
冷却塔 :スライムによる熱交換効率の低下やレジオネラ菌による感染症を防ぐため、薬剤添加が行われる。
水処理の方法
物理化学的処理
沈殿分離
浮上分離
濾過
砂濾過
急速濾過
緩速濾過
脱水濾過
膜分離 : 膜によりより細かな物質を除去する。
逆浸透膜
限外濾過膜
精密濾過膜
イオン交換
陰イオン交換樹脂
陽イオン交換樹脂
キレート樹脂
物理吸着
活性炭
ストリッピング :揮発性有害物質を気体を吹き込むことにより気体側に分離する。
酸化・消毒
塩素
オゾン :オゾンを吹き込み有機物を分解する。
光線
紫外線照射
太陽水殺菌
電気透析・電気分解
生物化学的処理
活性汚泥法
生物膜
嫌気処理法
処理後の分析技術
流量
温度
濁度
浮遊物質
低分子有機塩素化合物
テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、
有機リン化合物
ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル
カドミウム、鉛、6価クロム、水銀、セレン
シアン化合物、ヒ素
主な水処理技術メーカー
旭化成 :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、世界シェアの約20%、アメリカ合衆国におけるシェアの約50%を占める(2012年時点)[2]。
三菱レイヨン :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[2]。
クボタ :上水道や下水処理などに使われる水処理膜分野で、中国など海外へ進出・拡大(2012年時点)[2]。
東レ :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[2]。
日東電工 :海水淡水化に使う水処理膜分野で、世界に高いシェアを誇る(2012年時点)[2]。
アクアス、日立造船、荏原製作所、オルガノ、壽化工機
サムスングループ :2012年9月13日、水処理膜分野への参入を発表[2]。
歴史
日本