気象
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竜巻台風熱帯低気圧宇宙から見た地球大気中では様々な気象現象が発生している。

気象(きしょう、: atmospheric phenomena[1][2])は[3][4][1][2][5][6]気温気圧の変化などの、大気の状態のこと。また、その結果現れるなどの現象のこと。広い意味においては大気の中で生じる様々な現象全般を指し、例えば小さなつむじ風から地球規模のジェット気流まで大小さまざまな大きさや出現時間の現象を含む。

気象とその仕組みを研究する学問を気象学、短期間の大気の総合的な状態(天気)を予測することを天気予報または気象予報という。
定義と類義語

日本において、日本語の「気象」が一般的に大気現象の意味で用いられるようになったのは、明治時代初期のことである。それまでは人物性格や気質を指して用いられており、現在の「気性」と同じ意味であった[2][3][7]。1873年(明治6年)発行の柴田昌吉、子安峻編『附音挿図英和字彙』においてMeteorologyを気象学と訳したのが初期の用例として挙げられ、1875年(明治8年)6月に設立された東京気象台(現在の気象庁)では行政機関の名として初めて使用された[7]

「気象」には類義語がある。

気象 (meteorological phenomena) - 大気の諸現象を指す[2][3]。大気現象[8]

天気 (weather) - 「気象」のうち、ある時点または2 - 3日間程度の、大気の総合的な状態を指す[8][9]。日常会話では晴天のことを指して使う場合もある[10]

天候 - 数日から数ヶ月程度の大気の総合的な状態を指す[8]。ただし日常会話では「悪天候」「天候に恵まれる」のように天気と同じような意味で用いられる場合がある[10][11]

気候 (climate) - 1年を周期として毎年繰り返す、大気の総合的な状態を指す[12][13][14]

ただし、同じ大気中の物理現象であっても、地理的な観点から「ある土地固有の気象現象」として捉えた場合は「天候」「気候」と呼び、別の意味をもつ。

また地球を取り巻く諸現象(地球科学的現象)を考えたとき、大気の中で起こる現象を「気象」といい、大気圏外で起こる現象は「天文現象」、地面や地中で起こる現象は「地質現象」として区別される。ただ、これらは全くの無関係ではなく相互に影響しあう部分がある[2][注 1]
気象の仕組み
気象現象が起こる範囲

地球の大気は地表から高度数百km程度までで、地表から順に対流圏成層圏中間圏熱圏と命名され、これらの層内には地球の重力に捉えられた気体が存在している。地表から熱圏と中間圏の境界である高度約80kmまでは、大気の組成窒素約78%・酸素約21%・その他微量成分1%で一定であり、それ以上の高度では高度が上がるに従い分子量の大きな重い成分から減少する。高度約80kmまで成分が一定なのは、この範囲で空気の混合が起こっているためである[注 2]。そのため、気象現象が起こる範囲はこの高度約80kmまでと考えることが多い[注 3]

地表の気圧標準気圧1 気圧(= 1013.25 hPa)の前後数十hPaの範囲内にある。高度が上がるに従い気圧は低くなり、また気温も低くなる。ただし、気温が低下するのは赤道付近では約16kmまで、中緯度では約11kmまで、北極南極付近では約8kmまでである。これ以上の高度に行くと気温は一定か逆に上昇する[注 4]。この気温低下の止まるところを対流圏と成層圏の境界、対流圏界面といい、ほとんどの気象現象はこの対流圏内で起こる。地上にを降らせるは対流圏内に存在する。もくもくと湧き上がる背の高い積乱雲も、対流圏界面を突き抜けることはない。一方、成層圏や中間圏にも強い風が吹いている[注 5] ほか、真珠母雲夜光雲が発生するが、対流圏に影響を与えることはほとんどない。
太陽・熱と気象

地球上に起こる気象は、太陽の活動により地球に供給されるエネルギー放射エネルギー)に由来している。太陽が発している放射エネルギーを太陽放射といい、ほぼ全量が電磁波であり、そのうち47%が波長0.4 - 0.7μm可視光線(人間の目に見える光)、46%が波長0.7 - 100μmの赤外線、7%が波長0.4μm以下の紫外線である。なお、生物に有害な波長0.2μm以下の紫外線のほとんどは散乱されたり大気上層(オゾン層)の成分により吸収されたりして、地表にほとんど到達しない。地球に入ってくる太陽放射を100とすると、30は反射によりすぐに宇宙に放出され、残りの70が地球の大気や地面、海洋などに吸収されてとなる、「地球のエネルギー収支」も参照

この熱が、気象の原動力となる。

なお、大気が存在することにより地表は保温されている。全地球を平均した表面温度は現在約15℃だが、大気がない場合には約-20℃と推定される[注 6]。大気中の成分が太陽放射や地球放射[注 7] を吸収して熱に変換しているからであり、これを温室効果という。

地球の大気上端の太陽に対して垂直な面が受ける太陽放射の量を太陽定数といい、現在は平均1366W/m2[注 8] である。太陽放射の量は各地点の太陽の高度(水平線に対する角度)、すなわち季節緯度により変わる。仮に大気による吸収がないとした場合、太陽高度α度における太陽光はI = 1366 × sin α (W/m2)

となる。緯度が高い地点ほど太陽の高度が低く、届く太陽光は少ない。また同じ地点では夏至に最も太陽の高度が高く、冬至に最も低い。春分秋分赤道は太陽高度が90度であるため、約1366W/m2になる。なお地上の場合、大気や雲による吸収を経て地上に到達するため、これよりも小さい値となる。
水と気象「水循環」も参照

地球には、表面の7割を占める海洋のほか、氷河、地中、植物動物の体内など様々な場所に、が豊富に存在する。水は地球大気で起こりうる環境下で液体(水)、気体水蒸気)、固体)の3態で存在しうるうえ、常温でも大気に対して揮発性が高く、状態変化を起こしやすい。


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