この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
民法
日本の法令
法令番号明治29年法律第89号
種類民法
効力現行法
成立1896年3月23日
公布1896年4月27日
施行1898年7月16日
所管(司法省→)
(法務庁→)
(法務府→)
法務省[民事局]
主な内容私法の一般法(総則、物権、債権、親族、相続)
関連法令民法施行法、不動産登記法、戸籍法、利息制限法、借地借家法、商法など
条文リンク民法
民法(みんぽう)のうち、本項では日本における「民法」と題する名をもつ法律[1](民法典または形式的意味の民法、明治29年法律第89号、英語: Civil Code[2][3])について述べる。主務官庁は法務省民事局である。
日本の民法にも実質的意味の民法と形式的意味の民法があり(民法参照)、一般私法を規律する法を総称して実質民法(「実質的意味の民法」)というが、これと区別する意味で形式民法(「民法典」または「形式的意味の民法」)とも呼ぶ[1]。この両者については、一般私法を規律する法(私法の一般法)は民法典にのみ規定されているわけではない[4](#民事関連法参照)。一方で民法典(形式民法、形式的意味の民法)のほとんどの規定は実質民法(実質的意味の民法)と重なり合うが、民法第37条第8条の行政罰を定める規定のように、これに属さないものも含まれる[5]。 1896年、明治29年法律第89号により定められた民法第一編、第二編、第三編(総則、物権、債権)及び1898年6月21日の明治31年法律第9号により定められた民法第四編、第五編(親族、相続)で構成されており、また附属法令として6月15日、明治31年法律第11号民法施行法が公布され[6]、全体が7月16日から施行された。これによりいくつかのそれまでの法規が廃止された[7]。原案起草者は穂積陳重、富井政章、梅謙次郎の三名である。 この民法典は、社会情勢と価値観が大きく転換する明治維新の後に妥協的に成立したものであったため[8]、民法典論争からの代表的な保守的論客であった穂積八束の影響を受けた教育界から日本古来の美風を害し、従来の家族制度を無視するものであると批判されていたが、それとは逆に、大審院をはじめとする法曹界においては戸主権の弊害が意識されていたため[9]、1925年(大正14年)の「親族法改正要綱」「相続法改正要綱」に結実したように、戸主権の制限を加え、また女子の地位向上、男女平等を実現しようとする改正論が支配的な流れとなり、その後、日本国憲法の制定を機に、その精神に適合するように、法律上の家制度の廃止を中核として後2編を中心に根本的に改正された[10]。 この時中心となったのが、起草委員を務めた奥野健一、我妻栄、中川善之助らであり[11]、信義誠実の原則や権利濫用の法理もこの時明文化された(現行1条2項及び3項)。 上記のとおり、民法典は形式上は明治29年の法律と明治31年の法律の二つの法律から構成されているとみることもできたが、後者(親族、相続)は、前者と一体をなすもので実質は同一法典であるから[12]、通常は、民法を引用するときは、明治31年法の第四編以下を当然に含む意味で民法(明治二十九年法律第八九号)と表記される[13](有力な反対説がある[14])。
概説