毎日デイリーニューズWaiWai問題
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毎日新聞デイリーニューズWaiWai問題(まいにちデイリーニューズワイワイもんだい)とは、毎日新聞社の英語報道メディア Mainichi Daily News(「毎日デイリーニューズ」; 以下 「MDN」)で、コラム「WaiWai」において、主に毎日新聞記者であるライアン・コネルが、低俗な内容、誇張や虚構に基づき、特に女性を貶める内容の記事を書き、掲載・配信していた問題である。「WaiWai」は、日刊紙時代の1989年平成元年)10月に連載が始まり、2001年(平成13年)春の公式サイト移行時にも継承されていた。なお、ライアン・コネルは休職3か月の懲戒処分を受けた。

2008年(平成20年)に「WaiWai」の記事内容が表面化し、同コラムの閉鎖、担当記者や上司の昇進、公式ウェブサイト配信分に関する「毎日新聞社社内調査結果の公表」などに発展した。
問題となった記事

7月20日に公表された社内調査結果によると

事実の裏づけ無く、異常な性的嗜好を話題にした記事である
[1][2]

事実の裏づけ無く、日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけた記事[1][3]

事実の裏づけ無く、海外で日本人観光客が「奴隷を買う」・「現地の子供をハンティングする」という違法ツアーに参加しているとする記事[1][4]

未成年者の性に関する話題を不適切に取り上げた記事。日本国内では違法とされている少女買春の勧め。[1][5]

出典内容に記載されている数字を、算出根拠などを明確にしないまま使用した記事[1]

出典では数人の女性のコメントから成る内容を、「日本人女性の間で」と表現して一般化した記事[1][6]

サイゾーの美少女キャラクターが登場する漫画による防衛省の防衛政策紹介を扱った話題を取り上げた際、内容に加筆した記事

などがそのまま世界に配信されていた[7]

毎日新聞では、最終的に自社の公式ウェブサイト上に掲載されていた謝罪文において、改変や創作、捏造があったと公式に認めている。また、「WaiWai」の問題記事は毎日新聞の英文記事として公開されており、購読対象が主に日本人以外であるため、長期間に渡り、多くの日本人には知られることはなく、ウェブサイト上・紙媒体を通して世界中に配信され続けていた。米州機構 (OAS) の反人身売買レポートの中にMainichi Daily のライアン・コネルの署名記事が、日本の人身売買に関する資料の出典としてあげられている(もっとも引用された内容は、青森の住宅金融公庫からの使い込み事件に関連するアニータ・アルバラードのインタビュー内容である)。[8]
経緯
問題の表面化

2008年4月から5月頃にかけ、MDNサイトのコラム「WaiWai」の配信記事(過去分を含む)の内容に関して、批判・抗議や疑問の声が、日本語のインターネット・コミュニティ(電子掲示板など)に多く寄せられ、記事に問題があることが表面化した[9]
不穏当な記事への批判

「WaiWai」のコラムは、当初、日本国内で発行された新聞や雑誌の内容を英字に翻訳して海外にわかりやすく紹介するものとして連載がスタートした。そのコラムの翻訳記事には、具体的にはタブロイド誌や夕刊紙などが出典として用いられたが、その後、「WaiWai」の一部記事の見出しや内容を知った人々から、「日本人が海外で誤解される」「内容が低俗」といった批判・抗議が、電話や電子メールで毎日新聞社に寄せられた(2008年6月23日時点で約300件[10])。その実際の記事は、「ファストフードで女子高生が性的狂乱状態」、「弁護士が六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」、「息子の成績を上げるために息子と性的な関係を勉強前に持つ母親がいる」といったものであり、それらの記事を毎日新聞社は5年間にわたって海外に配信していた[11]

2008年5月末には、「WaiWai」の記事を巡って翻訳転載元の月刊誌『サイゾー』からも抗議を受ける事態となった[9]

2008年5月下旬には、ネット掲示板の「2ちゃんねる」にも「WaiWai」に関するスレッドが立ちあがった[12]
毎日新聞側の対応

この問題に関する毎日新聞社側の認識・対応は、後日(2008年7月20日)公表した社内調査結果で認める様に、極めて鈍いものであった[9]。英文毎日編集部は「WaiWai」のコラム閉鎖を即断せず、出典に同社の週刊誌「サンデー毎日」を用いて同コラムを存続させる一方、過去記事は一部を削除・その他を閲覧禁止(但し、目的やその対象範囲は明示しなかった)とし、外部検索サイトにも非表示にするよう要請した[9]。また謝罪文では、インターネット上の批判者に対して「明らかな違法行為には法的措置を取る」ことを示唆した。

2008年6月20日に、他社ニュース配信ウェブサイトが、この問題を報じるに至って[13]、6月21日、「WaiWai」のコラムを閉鎖し、毎日新聞社としてもMDN サイトと同社の日本語サイトでおわびを表明した[10][14][15][16][17][18]

「毎日新聞」紙面では、2008年6月25日付朝刊に謝罪記事が掲載された[19][20]
責任者の昇進

2008年6月の謝罪段階ではまだ、主として「WaiWai」のコラム読者に対する「おわび」であり、不適切な記事が及ぼした悪影響や、掲載された原因などは詳述せず、「調査中」とするにとどまっていた。

2008年6月25日には、後述のように2日後に責任者として処分される朝比奈豊が社長に、長谷川篤が取締役に、デジタルメディア局次長は局長に昇任している[21]
関係者の処分

2008年6月27日、毎日新聞社はこの問題を受け、担当記者ライアン・コネル[注釈 1]を懲戒休職3か月、英文毎日編集部長の高橋弘司を役職停止2か月、問題当時デジタルメディア局次長だった磯野彰彦(同日現在は局長)を役職停止1か月の懲戒処分とされた。一方で、コネルと共に記事を執筆していたマスオ・カミヤマとされる記者への言及はなされていない。

また、デジタルメディア局長だった長谷川篤(同日現在は取締役デジタルメディア担当)が役員報酬の20%(1か月)、常務デジタルメディア担当だった朝比奈豊(2008年6月25日付けで社長に就任)が役員報酬(全報酬ではない)の10%(1か月)返上が発表された(そもそも最高責任者となった代表取締役社長を懲戒できないための自主返上であって、懲戒処分ではない)[22]

また毎日新聞は「WaiWai」のコラムの騒動がネットでの書き込みによるものとみなし、

「インターネット上には、今回の処分とは全く関係のない複数の女性記者、社員個人の人格を著しく誹謗・中傷する映像や書き込みが相次いでいる。


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