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殺し屋1
ジャンル青年漫画、バイオレンス、犯罪
漫画
作者山本英夫
出版社小学館
掲載誌週刊ヤングサンデー
発表期間1998年12号 - 2001年18号
巻数全10巻
話数全71話
映画
原作山本英夫
監督三池崇史
脚本佐藤佐吉
製作オメガ・プロジェクト
オメガ・ミコット
配給プレノンアッシュ
封切日 2001年9月14日(TIFF)
2001年12月22日
上映時間128分
OVA:殺し屋1 THE ANIMATION EPISODE.0
監督石平信司
脚本佐藤佐吉
キャラクターデザイン二宮常雄
音楽高瀬ゆい
アニメーション制作AIC
製作メディア・スーツ
発売日2002年9月27日
収録時間50分
話数全1話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画・映画・アニメ
ポータル漫画・映画・アニメ
『殺し屋1』(ころしやイチ、Ichi the Killer)は、山本英夫による日本の漫画作品。または、それを原作に制作された映画、OVA作品のタイトルであり、シリーズの主人公の名称である。 山本英夫の代表作。いじめられっ子だが実は真性サディストの殺し屋「イチ」を主人公とするバイオレンスアクション漫画で、過激かつ陰惨な暴力描写が特徴となっている。累計発行部数は約500万部。このほか、関連作品として本作の連載開始前に描かれた『1 -イチ-』(全1巻)と『殺し屋1(イチ) 誕生編』(全3話)が存在する。現在は、シリーズ全作品をAmazon Kindleやウェブコミック配信サイトなどで読むことが可能である[注釈 1]。2022年現在、『イチ』シリーズ単行本の電子版の配信元は、漫画家の佐藤秀峰が運営する「電書バト」となっている。 三池崇史監督により、2001年に映画化されたが、映倫によってR-18指定(=成人指定)されている。脚本を執筆した佐藤佐吉によると、本作は「映画そのものが反社会的」と映倫から判断され、R-18指定となった[1][2][3]。一般にR-18は性描写に対する判断が中心であるが、暴力描写によるR-18指定は本作が初とされる。また、海外では本作を上映禁止にした国や、複数のシーンをカットした上で上映した国が複数存在する(本項の映画の項目を参照。)[4]。 第1巻の電子書籍版がアマゾンのKindleストアで無料配信[注釈 2]された際には、アダルト本のカテゴリーに分類されていた。その後は、通常のコミックとして扱われている[注釈 3]。また、前述した『1 -イチ-』も2002年に実写映画版のスタッフ(丹野雅仁監督)によってオリジナルビデオ作品として映像化された。主演は実写映画版と同じく大森南朋である。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}本作はあまりにも残虐シーンが多いため見落とされがちであるが、本質的な内容は「眠らない街・新宿で巻き起こる…笑いあり、涙あり、必然性ナシのラブ&コメディ」である(59話)。ただし、あくまでもサディストの「イチ」と、マゾヒストのヤクザ・垣原の運命的な出会いを中心に据えた「ラブ・ストーリー」であり、ボーイズラブや同性愛的な要素は基本的に存在しない[要出典]。 殺害対象を残虐に殺すサディストの殺し屋「イチ」を擁する歌舞伎町の「はぐれ者グループ」と、マゾヒストのヤクザ「垣原」が率いる暴力団・垣原組との攻防、そしてイチと垣原の「異常性愛者」同士の邂逅を描く。 欲望が渦巻く街、新宿・歌舞伎町。この街にある、入居者の8割が暴力団関係者という危険な集合住宅(通称・ヤクザマンション)が物語の中心となる。 様々な理由で組織を破門された「はぐれ者」たちを率いる謎の男「ジジイ」は、仲間たちとともに、ヤクザマンション内で最も恐れられる武闘派暴力団「安生組」の壊滅を計画。殺し屋「イチ」を使って組長の安生芳雄とその愛人を殺害し、部屋の金庫から組の資金である約3億円もの大金を強奪する。 「イチ」こと城石一は、ジジイがマインドコントロールによって殺し屋に仕立て上げた22歳の青年で、普段は気弱な性格だが、学生時代にいじめを受けたトラウマが蘇ると、まるで子供のように泣き喚きながら相手を惨殺する「泣き虫の殺し屋」だった。 安生組の若頭である「ピアスのマー坊」こと垣原雅雄は、暴力と拷問を用いた執拗な追跡により、安生を消した犯人がジジイ一派と殺し屋「イチ」であるという事実を突き止め、彼らへの報復を誓う。しかし、ジジイの誤情報に踊らせられ、船鬼一家の鈴木を過激な拷問にかけて重傷を負わせたことが問題視され、垣原は上部団体の三光連合から絶縁される。垣原は三光連合の処分に反発し、自ら「垣原組」を立ち上げる。さらに、ジジイは策略を弄し、鈴木から垣原組壊滅の依頼を受ける。「イチ」はジジイの指令に従い、垣原組のヤクザを惨殺していく。 はぐれ者グループと垣原組の抗争に巻き込まれることを恐れたヤクザたちは、次々にヤクザマンションと垣原組から離れていく。しかし、真正のマゾヒストである垣原は逆にイチの持つ残虐性に惹かれ、いつしかイチが自分の前に現れる時を待ち焦がれるようになる。 一方、イチは人を傷つけることに迷いを覚え始め、暴力の世界から遠ざかろうとするが、様々な出会いを通じて、人が痛めつけられる様子を見て性的興奮を感じている自分がいることに気付く。やがて、究極のサディストであるイチと究極のマゾヒストである垣原の二人はヤクザマンションで出会い、殺しあうことになる。 エピローグでは3年後、かつての抗争を生き残り、それぞれの日常を過ごす者たちの姿が描かれる。最後は、歌舞伎町で些細なことから見知らぬヤクザに絡まれてしまい、泣き出す寸前のイチの泣き顔とともに物語は幕を閉じる。 新宿・歌舞伎町の風景がリアルに描かれており、モデルとなったマンションや病院も実在する。また、西武新宿PePeや風林会館など、実名で登場した施設もある。 本作の主要舞台。歌舞伎町に佇む13階建てのマンション。正式名称は「歌舞伎町サンライズマンション」。表向きはごく普通のマンションだが、一般人の入居者はわずか2割。残りの8割は組事務所、住居、愛人宅、風俗店、不法就労外国人のタコ部屋などといった、暴力団関係施設が占める。警備員もヤクザの息のかかったフロント企業から派遣されている。ヤクザ間の取り決めとして、「マンション内では銃器は使用厳禁」という暗黙の掟が存在する。 ジジイの策略によって垣原組が壊滅した後は取り壊され、跡地には別のマンションが建てられた。なお、「歌舞伎町サンライズマンション」のモデルになった実在のマンションは、2022年現在も存在している。 垣原の拷問を受けた鈴木が収容された病院。鈴木はVIPルームの301号室に入院している。この部屋は、垣原が「オトシマエ」としてドスで自らの舌を切り落とした現場でもある。 新宿にある高級ホテル。ジジイのアジトの一つになっている。 新宿・歌舞伎町の、ヤクザマンションの向かい側にあるラブホテル[注釈 7]。ジジイ一味のアジトの一つでもあった。 カレンが働く新宿・歌舞伎町のキャバクラ。垣原はここの常連客だった。 新宿・歌舞伎町のホテル。違法薬物の取り引きや摂取によく使われる。別名「ポン中ホテル」。 新宿・歌舞伎町の「風林会館」に実在する洋食レストラン(カフェレストラン)。ここで三光連合の会議が開かれ、垣原の絶縁が決まった。 新宿・歌舞伎町のピンサロで、船鬼一家がケツ持ちを務める。垣原組から船鬼一家に移った井上(ジジイの仲間ではない方のヤクザ)が呼び込み兼用心棒を務める。スランプに陥ったイチが風俗嬢に嘔吐し、井上から賠償金を請求されそうになるが、通りかかった金子がイチを助ける。 カレンが手配したホテトル嬢のマリナとミカが、二郎・三郎兄弟の相手をしたラブホテル。 ミユキが働いていた新宿・歌舞伎町のファッションヘルス。 西武新宿PePeは新宿・歌舞伎町に実在する商業施設。カレンの策略で、ミユキを装った女性に電話で呼び出された龍が待合場所として出向くが、二郎・三郎兄弟に拉致される。 歌舞伎町サンライズマンションが取り壊された後に建てられた、一般人向けの新しいマンション。普通の主婦などが暮らしているが、歌舞伎町という場所柄ゆえか、ヤクザも相変わらず入居してくる。ジジイいわく「豚ばかりの廃墟」「オレが建てたオレのための最高の墓石」。 「ストレス発散したい時」「八つ当たりしたい時」「イライラした時」「話を聞いてほしい時」「寂しい時」などにかけられる、東京都内にあるコールセンター。 イチが働いていた新潟の町工場。上司や同僚がことごとくイチをいじめる陰湿な体質の会社。この工場の生産設備を使って、イチが殺人シューズを作り上げた。正確な表記は「金へんに矢」の「?」を用いる「海?機工」。実写映画版では、都内の飲食店でイチが働いているという設定に変更されている。 セーラが働く新潟のピンサロ。本番禁止の店だが、イチに心を開いたセーラが本番行為を行う。しかし、イチはセーラの体中の傷にサディストとして興奮していただけだったため、本番では射精には至らなかった。実写映画版では店名は表示されておらず、東京都内の風俗店に設定が変更されている。 実写映画版では、原作漫画から設定が細かく変更されている。以下の記述は、原作漫画に基づいた内容を基本とし、実写映画版との相違がある場合はその点も記載する。
概要
ストーリー
作品舞台(歌舞伎町)
ヤクザマンション
マンション内の主な施設
11階 安生の愛人部屋
部屋番号は明記されていない。イチが安生とその愛人を殺し、ジジイらが約3億円を金庫から盗み出した。作中の時間軸でのイチによる最初の殺人現場。
1303号室 安生組(安生興業)事務所→垣原組事務所
ヤクザマンションの最上階にある。安生の死後、垣原が三光連合から絶縁された後は、垣原組の事務所となる。
608号室
船鬼一家の鈴木が運営している裏ビデオ工場で、中国人4人が住んでいた。
803号室 SMクラブ「ウィスパー」
安生組系のSMクラブ。完全防音になっており、垣原達が拷問を行う際によく用いられる。1話の冒頭で、はぐれ者グループが見ていた見取り図には「住居」と書かれている。
1201号室 「テレクラJoe」
船鬼組が運営していたテレクラで、現在は潰れている。ジジイがイチのアジトに指定する。実写映画版では1109号室に変更されている。
905号室 SMクラブ「ウィスパー2」
安生組系のSMクラブ。26話で、SMプレイを楽しむ垣原が、カレンに自らを殴らせる際に使用した際に初めて登場する。その後の二郎・三郎兄弟による龍とミユキの拷問シーンでは外に音が漏れているので[注釈 4]、「ウィスパー」と異なり防音ではないことが分かる。1話の時点で905号室は、「事務所」[注釈 5]と表記されていた。
1007号室
垣原組の裏ビデオ工場。垣原組の下っ端ヤクザ3人がいたが、ジジイによる垣原組への見せしめのため、イチに全員惨殺される。惨殺された死体を見て興奮した垣原[注釈 6]は、イチとの出会いを望む思いを強くする。
北新宿中央総合病院
タームホテル
4309号室
ジジイは、イチとの面会には必ずこの部屋を使用する。窓際にテーブルがあり、ジジイはイチと高級料理の食事を楽しみながら、報酬を渡したり、次の殺人指令を出す。
6013号室
ジジイの個人アジト。精神医学の専門書などが置かれている。
ホテル シャドゥー
702号室
はぐれ者グループのアジト。この部屋ではぐれ者一味の井上(加納)と、ヘロインの売人・マリアが垣原に惨殺される。
501号室
物語の終盤でジジイの策略によりカレンがこの部屋に呼び出され、イチに惨殺される。
PUBヒランドゥ★
HOTEL GRANBE
洋食レストラン パリジェンヌ
ピンクサロン デバゲバ
HOTELキャリオーン
ファッションヘルス パンチョ?
西武新宿PePe
ファミリーホーム歌舞伎町
東京ハローひまわりテレフォン
作品舞台(新潟)
株式会社海鉄機工
ペットニン
登場キャラクター
はぐれ者グループ
イチ
本作の主人公。本名は城石 一(しろいし はじめ)。22歳。長身痩躯で、スポーツ刈りにした青年。見た目どおりの気弱な性格だが、その裏に常軌を逸したサディストの一面を持つ。総合格闘技やキックボクシングに詳しい。主に自分より強い相手に威嚇されたときに、自分の感情を押し殺した、気持ち悪い卑屈な笑顔を相手に見せる特徴がある[注釈 8][注釈 9]。言動挙動が人を苛立たせることもしばしばである。学生時代にイジメを受けていた過去がある。そのトラウマをジジイに利用され、対象人物が過去に自分を虐めたとされる人物(時としてジジイの刷り込みによる架空の者)に重なった時、泣き喚きながら発作的に相手を殺害する殺人マシーンとなる。イチの正体を知っているのはジジイだけで、他のはぐれ者グループのメンバーはイチが何者かを知らない。また、イチがはぐれ者グループの中で接触可能なのも、ジジイただ一人だけである。超人的な脚力を持つ。主な殺害方法は、イチの履く鉄骨仕込みの靴(殺人シューズ)の左足用のかかとにある仕込み刃によるもの。通常、仕込み刃は殺人シューズの内部に収納されているが、側面のピンを引き抜くと仕込み刃が外側に飛び出る仕組みになっている。彼の超人的脚力も相まって、殺人シューズにより人間の四肢を軽々と切断し、斬られた相手が気付かないほどのすさまじい切れ味を誇る。また、彼の着ている特殊スーツ(ダウンヒル用の防護スーツと似たデザイン)のところどころにあるプロテクターは高度な防弾加工がしてあり、拳銃の弾の貫通を防ぐことができる。本人は自覚していなかったが、高校生の時に同級生を撲殺し、医療少年院に送られている[注釈 10]。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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