歯磨き
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「はみがき」はこの項目へ転送されています。曲については「はみがき (曲)」をご覧ください。
鏡を見ながら歯磨きをする男性の様子

歯磨き(はみがき, Tooth brushing)とは、口腔ケアのひとつであり、歯ブラシ等を用いて歯茎についた歯垢などの汚れを落としたり、歯茎(歯肉)にマッサージを行ったりすること。
概要

歯磨きの主な目的は、歯周病虫歯の予防[1]口臭の軽減である。歯を磨く(擦って汚れを取る)から「歯磨き」と呼ばれている。英名のブラッシング(Brushing)もブラシで磨くことを意味する。

歯ブラシによる歯磨きだけでは、歯の表面のみしか届かず、全体の50%しか歯垢除去できないため[2]デンタルフロス歯間ブラシなどの歯間清掃ツールの利用が推奨される。ワンタフト(毛束が1つの歯ブラシ)などの製品も市販されており、併用する人が増えている。

口腔内の衛生に気を使う場合には、歯ブラシ・歯間ブラシ・フロス以外にも、ジェットウォッシャーで洗い流したり、舌苔を掃除したり、睡眠前にマウスウォッシュすることが効果的である。一つの方法だけでは磨ききれなかったり効率的ではないため、複数の方法で掃除することが推奨される。

また、年に1?2度程度の頻度で、歯磨きでは取り切れない歯石歯科医に除去してもらったりすることも重要である[3]。歯間ブラシやフロスがやや使いづらくなったタイミングが一つの目安であるが、最低でも年に1度くらい定期的に行う必要がある。
使用器具「口腔衛生#予防ケア」も参照

歯磨きのための道具には、下記のように様々なものがある。
古代からの器具


歯木 … 薬効がある木の枝を使用したもの。コストが安く、多くの宗教の書物に歯木で歯を清掃するよう記載されていることから、古代から使用されている。日本では、爪楊枝、房楊枝とも呼ばれる。

トクサ … 薬草。別名が歯磨き草というように、かつては歯磨きに使用していた[4]

tooth cloths … 歯ブラシが普及していなかった頃は、布やスポンジが使用されていた。エリザベス1世などの王族も使用していた[5]

歯の表面用


歯ブラシ … 歯磨きの道具として、もっとも一般的な道具。

電動歯ブラシ … 電動によってブラシを動かし、歯ブラシが苦手な者でも、短時間で確実に磨くことができる。

歯磨きシート … 職場や旅行、登山などのレジャー時など、歯ブラシを使えない場所において便利。

歯間用


デンタルフロス … ナイロン製の糸。

歯間ブラシ … フロスに持ち手を付けたもの。「糸ようじ」などとも呼ばれる。

洗浄用


入れ歯洗浄剤(英語版)

ジェットウォッシャー … 歯磨きやフロスを使用した後に、水の水圧で歯垢を洗い流せる電動器具。

マウスウォッシュ … 歯垢を取るのではなく、市販のマウスウォッシュ薬を使ってうがいをして、菌の増殖を防ぐ。

その他


舌ブラシ … 舌の汚れである舌苔を取る。(口臭の6割は舌と言われており、菌の繁殖を減らせる)

複数の道具による清掃

日本においては歯ブラシしか使用しない人が多いが、歯ブラシだけでは歯間の汚れまでは取り切れない。それぞれの道具には得意・不得意があり、一つの道具だけでは取り切れないため、複数の道具を使うことで効率的に確実に歯垢を取ることができる。

具体的には、一例として下記のような工程である。ここでは、職場では歯ブラシを使えない場合を想定している。12時間ごとにマウスウオッシュ液でのうがいをすることで、菌の増殖を抑えるようにしている。

(朝食後)
歯ブラシでの歯磨き (3分)

ジェットウォッシャー (1分)

(昼食後)
マウスウオッシュ液によるうがい (30秒)

(夕食後)
電動ブラシでの歯磨き (3分)

歯間ブラシ (2分)

ジェットウォッシャー (1分)

舌ブラシ (10秒)

(就寝前)
マウスウオッシュ液によるうがい (30秒)

歯磨剤歯磨き粉詳細は「歯磨剤」を参照

主に歯磨きの清掃効果を高めるなどの目的で、歯ブラシのブラシ繊維(いわゆる“毛”)の先端につけるペーストを歯磨剤と言う。一般にはそれは「歯磨き粉」や「ハミガキ」「練り歯磨き」などと呼ばれている。歯磨剤がペースト状であるにもかかわらず「歯磨き粉」と呼ばれる理由は、かつて粉状の歯磨剤が販売されていた時代の名残である。近年ではペーストの替わりに液体状の「液体ハミガキ」(洗口剤)を用いて歯磨きを行う人々も多い。
歯磨き粉を使わない

歯磨きに「歯磨き粉を使わない」ことを推奨・指導する歯科医師もいる。清掃が充分でない場合において、歯磨き粉の使用によって清涼感が感じられてしまうことから、丁寧な歯磨きを行う上で妨げになることがあるからである。

また、歯ブラシを押さえつけすぎて長時間使用している場合や、電動歯ブラシを必要以上に使用した場合に、歯が削れやすくなることを防ぐ意味もある。

歯磨き粉なしで3分間ほど歯磨きをして、フロスで歯間の汚れを取るだけで充分にスッキリした感覚を得られる。よりスッキリした清涼感が欲しければ、歯間ブラシを使用した上で「マウスウォッシュ液」を併用するほうが望ましい。
ブラッシング法

歯ブラシの動かし方にもよるが、以下のようなブラッシング方法がある。 就寝前に歯ブラシの先端を歯に対して45°の角度で当て、円を描くように軽く2分間ブラッシングする「チャーターズ法」が比較的推奨されている。

電動歯ブラシは、一般的に人間によるブラッシングよりも推奨されているが、強く押さえすぎないようにして、磨きすぎによる摩耗に注意する必要がある[6]。また、電動歯ブラシだけでは磨ききれない場所もあるため、下記のような歯ブラシでの磨き方も併用していく必要がある。
チャーターズ法

チャーターズ法は、歯の先端に対して45度の角度で歯ブラシの毛先を歯に当て、細かく振動させながら、毛束が歯冠から歯根へ当たるようにヘッドを回転させて磨く方法[7]
バス法

バス法は、歯ブラシのヘッドを歯に対して45度の角度で歯と歯肉の境界部分に当て、前後に小刻みに動かす方法[7][8]

前歯については、縦方向に歯ブラシを持ち毛先を歯の裏側に当てて、ブラシの先を押し付けながら振動させる[7]
スクラッビング法(スクラブ法)

スクラッビング法(スクラブ法)は、歯ブラシをペンのように軽く持ち、歯の軸に対して直角にブラシを当てて、消しゴムを使うように小刻みに振動させる方法である[7]

バス法との違いは、歯に当てる歯ブラシの角度。45°のバス法に対し、90°(直角)に当てる[9]
ローリング法(ロール法)

ローリング法(ロール法)は、歯ブラシのヘッド(ヘッドの側面)を歯肉に並行に当て、手首を返して歯肉から歯の先端に向かってヘッドを回転させて磨く方法[7][10]

最近では電動式の歯ブラシも市販されており、中にはバス法とローリング法をスイッチで随時選択することができるものもある。また、超音波で歯を磨く機能もついている製品もある。
垂直法

垂直法(ゴットリープの垂直法)は、歯ブラシを歯に直角に当てて、毛先を歯間に挿入して圧迫しながら振動させる方法[7]
フォーンズ法

フォーンズ法は、歯ブラシの先端を円を描くように動かして、歯と歯肉を磨く方法[7]
つまようじ法

つまようじ法は、歯ブラシの毛先で歯茎をつついて、刺激を与える方法。歯周病の予防、治療に最適である。特に歯と歯の間に毛先を挿入して、歯間部の歯茎にも効果的である[11]。歯間ブラシがない時にある程度の代用ができるため、歯科医が薦めていることも多い。
歯磨きのタイミング
1日1回の場合1日0?1回しか歯磨きをしない場合、明らかに虫歯や歯周病のリスクが高くなることが、データで確認されている。旅行先や仕事の都合などで、どうしても就寝前にしか磨けない場合には仕方ないが、できるだけ最低1日2回は磨くように生活改善をすることが歯科医からは薦められている。
最低でも朝晩 1日2回歯磨きは、朝晩の2回が一般的な習慣となっている。昼食後に行う人も多い。歯科医も、1日2回を最低ラインとして指導している場合が多い。
寝る前の歯磨き(プラークコントロール)
唾液には細菌の増殖を抑える作用があるが、睡眠中は唾液の出る量が激減する。そのため細菌が増殖して歯垢(プラーク)がたまり、虫歯や歯周病の原因となる。就寝前に歯磨きをすれば、歯垢の元となる口腔内の食べかすなどを減らすことができる。
朝の歯磨き(エチケット磨き)
寝ている間に増えた細菌の数を減らし、他人と会うことが多い日中のエチケットを兼ねて歯磨きを行う。
昼に歯磨きでない場合
仕事などで歯磨きできない場合には、食後にマウスウォッシュでうがいをすることで、菌の増殖を防ぐだけでも効果的である。
目標として 1日3回多くの医師からは、毎食後に1日3回の歯磨きすることが勧められている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:30 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef