この項目では、軍隊における歩兵(ほへい)について説明しています。将棋の駒の歩兵(ふひょう)については「歩兵 (将棋)」をご覧ください。
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やノートページでの議論にご協力ください。歩兵(ほへい、英: infantry)は、主に徒歩で戦闘する兵士である。戦闘、治安維持、災害対処などあらゆる任務に対応し、常に国防の骨幹となる戦力である。自衛隊用語では普通科という。 歩兵は古代から現代まで常に陸上戦力の基幹であり、さまざまな地形、任務、状況に柔軟に対応し、戦闘の最終的な勝敗を決するものである。 アサルトライフルや機関銃、手榴弾あるいは対戦車兵器などの小火器を携行する。機動力が重視される現代の戦争においては歩兵も機械化されることが多い。歩兵戦闘車や装甲兵員輸送車などの車輛(AFV)で歩兵移動する歩兵を自動車化歩兵という。逆に戦場でAFVの支援を受けない歩兵を軽歩兵と呼んで区別する。また主として固定翼航空機(輸送機)で移動し落下傘降下できる歩兵を空挺兵、主として回転翼機(ヘリコプター)で移動する歩兵を空中機動歩兵などと呼ぶ。また、艦隊に配置された歩兵である海兵隊(海軍歩兵)や、艦船乗組員を武装させて歩兵に仕立てた陸戦隊もある。近年は非対称戦への要求が高まり、歩兵をさらに精鋭化した特殊部隊の需要が増している。 歴史を通じて見ても、歩兵はほとんどの軍隊において核となる存在であった。これは歩兵の持つ戦闘能力の柔軟性や多様性による部分が大きい(有事において急速に補完することも可能な戦力という一面もある)。ここでは、近代の世界の軍隊に大きな影響を与えた欧州のものを中心に、歩兵の歴史をおおまかに辿る。 鐙が発明されておらず、車輪もようやく発明されたばかりの古代社会においては騎兵部隊や戦車部隊といった兵種はごく限られた市民などの階級が担当するのが常であり、従って騎馬民族を除く殆どの文明の主力の部隊は歩兵だった。そもそも新大陸や太平洋の諸島のように車輪どころか馬とその他の大型の家畜すら知らない文明であれば歩兵のみが戦力となり機動力や突進力、兵站面での運搬能力がそこで大きく削がれた。それは外部から車輪や大型の家畜が持ち込まれるまで、それこそ現代に至るまで続いた。 古代ギリシア時代、ポリス(都市国家)の市民を担い手とする重装歩兵が誕生し、彼らが密集隊形を組んで戦う戦術(ファランクス)が用いられるようになった。この革新的な戦術はペルシャ戦争において、数的に勝るペルシャ軍を何度も打ち破った事でその勇名を広めた。ギリシアではこの他にもパノプリア 蛮族の大移動により西ローマ帝国が崩壊すると、新たに訪れた中世ヨーロッパにおいてはその後長きに亘って、歩兵に代わり騎兵が軍で優位を占める時代となった。これには馬の改良や鐙の登場だけでなく、戦闘の形態が大勢力による軍勢の衝突から、騎馬民族の荒略に対する迎撃や追撃に焦点が移動したためである。重装騎兵は日々の訓練が必要でありまたウマの肥育や装備の準備など経済力が要求されることから、封建社会の確立や地方分権の進展により定着した。かつてのような市民兵からなる歩兵の密集隊形は姿を消し、代わりに少数の貴族による重装騎兵(騎士)が戦いの中心となった。こうした傾向は最終的に一騎討ちという儀礼的な戦闘を交わすのみにまで陸戦の戦術的退化を招いた。 しかし中世後期ごろから中央集権化を果たした大国同士の戦が増えると再び戦いは歩兵を中心としたものに戻り始める。中世の終わりに起きた百年戦争で長弓兵や槍兵を主力とするイングランド軍が、貴族や騎士からなるフランス軍の騎兵部隊を完膚なきまでに破り(クレシーの戦い、ポワティエの戦い)、その決定的な契機になった。歩兵は再び軍隊における最も重要な存在へと復権を果たし、騎兵は副次的な存在として軽装さから来る機動性が重要視されるようになった。マキャベリは君主論において騎兵による散発戦闘ではなく、常設歩兵軍による集団戦法の有効性を論じた。 騎士文化を過去の物とした長弓は、より貫通力・殺傷力の高いマスケット銃が登場した後も、射程・命中率・攻撃力の集中・発射速度の点で優れていたことから並行して数百年の間使用されつづけた。しかし長弓は効果的に使うためには非常な熟練を要する武器であり、実戦で戦えるまで訓練するのには長い時間がかかった。このような欠点とは反対に、テルシオ隊形や三兵戦術の研究が進み、また数週間から数か月訓練した多数の人員と豊富な資金と銃や火薬の製造所さえあれば、編制可能なマスケット銃兵の部隊が用いられるようになった。また近世より産業化が進行し、田園的な貴族制は廃れて、都市に人と富が集中したことが、訓練は十分ではないものの大規模な歩兵部隊の迅速な招集を可能にした。 騎兵の機動性の向上、強い打撃力に対応して、歩兵にとっては槍が身を守る為の重要な武器となった。当初はマスケット銃兵に槍兵(パイク兵)が混成され、発砲の合間銃兵を護衛していたが、銃剣が普及するようになり銃兵に刀剣戦闘力が付加されるに至り、槍兵は姿を消し、近代の歩兵の姿が確立され始めた。 歩兵の輸送手段は、それまでは徒歩や船、馬であったが、19世紀より鉄道が使われ始め、1890年代以降いくつかの国では自転車が採用された(馬もしばらく併用されている)。第二次世界大戦では日本陸軍の歩兵が自転車で移動し、大成功を収めた(銀輪部隊)。機動性における大きな革新は、1920年代以降より始まり、自動車を使った自動車化歩兵の部隊が生まれた。この頃から、移動中の兵士の安全を確保することの重要性が認識されるようになり、移動時に装甲車を使用する機械化歩兵が編成されるようになった。 現代の歩兵は、装甲車や火砲、ヘリコプター等航空機に支援されて行動するが、依然として地上の特定の地域を占領、確保することができる唯一の兵種である。このため戦争遂行にとって必要不可欠な存在であり続けている。また個人が携帯出来る武器の火力が高くなり、ゲリラ戦や市街戦などの非対称戦争が増加する傾向から歩兵に高度に専門的な訓練を施した特殊部隊が各国で配備されつつある。
概説
歩兵の歴史
古代
中世から近世
近代 機械化へ
現代 新たな歩兵
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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