正歯音
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この項目では、中国語の声母の分類について説明しています。音階を構成する五音については「五音音階」を、中国の伝統的な音階での五音については「五声」をご覧ください。

音韻学
字音構造
声母 + 韻母 / 声調
韻母 (介音+韻腹+韻尾)
韻 (韻腹+韻尾/声調)
韻摂 (韻腹+韻尾)
声母: 五音 清濁 三十六字母
介音: 等呼 四呼
韻腹: 内外転 十六摂
韻尾: 陰声韻・陽声韻入声韻
声調: 四声八調 平仄 舒促
上古音
- 詩経音系 -
古無軽唇 古無舌上 古無正歯
中古音
- 切韻音系 -
広韻 平水韻 韻鏡
日本漢字音: 呉音 漢音
朝鮮漢字音
近古音
- 中原音韻音系 -
日本漢字音: 唐音
表音法
直音 反切 韻書 韻図
注音符号 ピンイン

五音(ごいん)とは、伝統的な中国音韻学において声母頭子音)のこと、またはその分類を示す。声母の発音を調音の位置調音方法によって分類したもので、唇音・舌音・歯音・牙音・喉音がある。また半舌音と半歯音を分けて七音とも称する。五音は朝鮮や日本においても頭子音の分類に利用された。
目次

1 概要

2 音声との対応

3 仮名における五音

4 ハングルにおける五音

5 脚注

6 関連項目

概要

本来「五音」という言葉は音楽用語で、階名の「宮(きゅう)・商(しょう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)」のことをいった。

おそらくインド音韻学の影響によって[1]音節頭子音の分類が知られるようになると、これを音楽の五音と結びつけて考えるようになった。通常は「宮=唇音、商=歯音、角=牙音、徴=舌音、羽=喉音」とし、これに「半徴(l)・半商(r)」を加える。ただし『通志』七音略では宮と羽が逆になっている。

現代から見ると、五音の分類には調音位置によるものと調音方法によるものがまじっているが、これはインドの子音分類が阻害音鼻音とそれ以外を別に扱っていることに起因する。

伝統的な三十六字母のそれぞれは五音のいずれかに属し、清濁によって区別される。

なお、古い時代には「五音」が四声のことを指すことがあった[2]
音声との対応

現代の音声学の術語と以下のように対応すると考えられる。字母の詳細な音価は三十六字母を参照。

五音調音の位置調音方法三十六字母
唇音重唇音両唇破裂音鼻音?[p]・滂[p?]・並[b]・明[m]
軽唇音唇歯音摩擦音非[f]・敷[f?]・奉[v]・微[?]
舌音舌頭音歯茎破裂音鼻音端[t]・透[t?]・定[d]・泥[n]
舌上音歯茎硬口蓋知[?]・徹[??]・澄[?]・娘[?]
歯音歯頭音歯茎摩擦音破擦音精[ts]・清[ts?]・従[dz]心[s]・邪[z]
正歯音歯茎硬口蓋・硬口蓋照[?]・穿[??]・牀[?]審[?]・禅[?]
牙音軟口蓋破裂音鼻音見[k]・渓[k?]・群[g]・疑[?]
喉音軟口蓋摩擦音破擦音暁[x]・匣[?]
ゼロ声母-影[?]・喩[j]
半舌音歯茎側面接近音来[l]
半歯音歯茎硬口蓋鼻音+摩擦音日[??]

仮名における五音

五音は五十音図と関係があり、平安時代の成立当時、五十音図は五音図と呼ばれた。ヤ行は喉音、ラ行は舌音、ワ行は唇音とされた。江戸時代歌舞伎十八番外郎売には「アワヤ喉、サタラナ舌に、カ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ…」とあり、アワヤ行が喉音、サタラナ行が舌音、カ行が牙音、サ行が歯音、ハマ行が唇音(ハ行は軽唇音、マ行が重唇音)とされている。なおハ行が唇音とされたのは江戸時代まで現在のファ行にあたる音で発音されていたからである。
ハングルにおける五音

五音は朝鮮語を表記するためのハングル字母の分類にも利用されている。訓民正音初声体系(『訓民正音』(1446年)と『東国正韻』(1448年)で扱われて23字母の頭子音としての音韻体系)では以下のようである。中国語の声母とは微妙に異なっている。また朝鮮語には清濁の別(有声音無声音の対立構造)がなく、また別にテンスラックスによる対立構造があることにより、「全濁」は濁音ではなく硬音声帯緊張を伴う音)を表している。国際音声字母IPAで示す音は当時の推定音であり、現在の音とは若干異なっている。また硬音を示すための記号はIPAにないため、便宜的に「'」を用いている。

調音部位五音 全清  次清  全濁 不清不濁
軟口蓋牙音?
[k]?
[k?]?
[k']?
[?]
歯茎舌音?
[t]?
[t?]?
[t']?
[n]
両唇唇音? ?
[p]?
[p?]? ?
[p']?
[m]
歯茎齒音? ?
[?]?
[??]?
[?'] 
?
[s] ?
[s'] 
声門喉音? ?
[?]? ?
[h]?
[h']?
ø, [?]
歯茎半舌音   ?
[?]
半齒音   ?
[z]

脚注^ 鄭樵『通志』七音略「七音之韻起自西域、流入諸夏。」
^ 頼惟勤(水谷誠 編)『中国古典を読むために』大修館書店、1996年。

関連項目

五音音階

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更新日時:2016年10月6日(木)19:39
取得日時:2019/10/21 07:40


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