正文
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この項目では、外交文書について説明しています。権利文書については「正文 (権利文書)」をご覧ください。

正文(せいぶん、英:authentic text)は、国際条約を確定する正式な条約文である。いずれかの言語からなり、複数の言語により作成されることもある。
概要

条約法に関する一般条約である条約法に関するウィーン条約では、条約の正文について次の通り定めている。

第三十三条 二以上の言語により確定がされた条約の解釈

1 条約について二以上の言語により確定がされた場合には、それぞれの言語による条約文がひとしく権威を有する。ただし、相違があるときは特定の言語による条約文によることを条約が定めている場合又はこのことについて当事国が合意する場合は、この限りでない。

2 条約文の確定に係る言語以外の言語による条約文は、条約に定めがある場合又は当事国が合意する場合にのみ、正文とみなされる。

3 条約の用語は、各正文において同一の意味を有すると推定される。4 1の規定に従い特定の言語による条約文による場合を除くほか、各正文の比較により、第三十一条及び前条の規定を適用しても解消されない意味の相違があることが明らかとなつた場合には、条約の趣旨及び目的を考慮した上、すべての正文について最大の調和が図られる意味を採用する。

近代的な条約は、条文中で正文について規定しているものが多い。例えば、上記の条約法に関するウィーン条約も、以下のように、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語を条約の正文として定めている。

第八十五条 正文

中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。

今日ではほとんどの多国間条約が@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}英語を正文に含むのが通例[独自研究?]であるが、作成された時期や経緯によっては、英語の正文が存在しないものもある。例えば、1883年に作成された(1967年改正)工業所有権の保護に関するパリ条約は、フランス語を唯一の正文とし、英語等の公定訳文を作成することを定めている。

第二十九条 署名、寄託等

(1)(a) この改正条約は、フランス語による本書1通について署名するものとし、スウェーデン政府に寄託する。

(b) 事務局長は、関係政府と協議の上、ドイツ語、英語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語及び総会が指定する他の言語による公定訳文を作成する。

(c) これらの条約文の解釈に相違がある場合には、フランス文による。

二国間条約においては、各締約国の公用語が正文とされることが多く、さらに締約国の公用語以外の言語を正文に加えることもある。例えば、日本・メキシコ経済連携協定(177条)は、日本語、スペイン語及び英語を正文とし、解釈に相違がある時は英文によるとされている。

過去には例えば、1875年の樺太・千島交換条約のように日本とロシア帝国の間で結ばれた条約であるにもかかわらず、フランス語を正文とした例がある。
関連項目

条約の解釈

公定訳文


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