正教会暦
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祭・斎(ものいみ)・聖人などといった、正教会暦において記憶される内容の一部が一枚にまとめられたイコン18世紀 - 19世紀頃?ロシア)。中心に復活大祭、その周囲に復活大祭(パスハ)に連動する動暦に属する祭日・斎日。それを囲んで12ヶ月分の代表的な聖人達(全てではない)が配され、さらに外周部に生神女の各種イコン・祭日が配されている。

正教会暦(せいきょうかいれき、ギリシア語: Ορθ?δοξο εορτολ?γιο[1], ロシア語: Православный календарь[2], 英語: Eastern Orthodox liturgical calendar)とは、正教会で用いられる暦。正教徒の送る信仰生活における一定の生活様式の習得と保持といった役割や[3]、正教会の生活における「時の成聖」の役割を担うほか[4]、常に起きるかつて起きた出来事の今日的現実化をもたらす[5]

正教会暦に従い奉神礼が構成される。聖書の読む箇所、聖人や出来事の記憶日、主要な年間の祭日に関連する祭日・斎日(ものいみび)のルールにも関わっている[注釈 1]。正教会暦は9月1日に始まる[6][注釈 2]

正教会暦は、復活大祭(パスハ)を中心とする周期を構成する動暦と、日にちで固定されている不動暦とで構成される[7]。そのうち、祭日については、動暦に属するものは移動祭日(英語: Moveable Feasts[6])、不動暦に属するものは固定祭日(英語: Fixed Feasts[6])と呼ぶ。移動祭日は全て復活大祭に関わるものであり[7]、復活大祭に応じて年毎に祝われる月日が変わる。他方、固定祭日は毎年同じ月日に祝われるものである[8]

聖人を記憶する祭などは、絶えず増補がなされている。正教会において正教会暦は固定化したものではなく、生きた聖伝を構成している。
意義

正教会暦には様々な意義があるが、主なものとして以下が挙げられる。

時の礼儀(
時課など)に拠る祈りのパターンと並んで、正教徒の送る信仰生活における一定の生活様式の習得と保持といった役割を果たす[3]

暦に沿って信仰生活を送ることで、神から分離し無意味に空虚に向かって過ぎていく「時」を、神と結びつけ意味あるものとして充実に向かって進むものにする「時の成聖」が行われる[4]

教会暦において記憶されるのは、単に遠い古代に起きた出来事の追憶とは位置づけられない。ハリストス(キリスト)教徒ひとりひとりがハリストスを自分の為にこの世に身を取って現れた救い主として捉えていることから、ハリストスの生涯の全ての出来事が自分自身の体験として捉えられる。従って教会暦における設定された記憶日は、時間を超えた精神性の現実に正教徒を引き入れ、常に起きるかつて起きた出来事の今日的現実化をもたらす[5]

このことは奉神礼における祈祷文に現れている。降誕祭には「今日ハリストスがウィフレエムに生まる」、復活大祭には「今日ハリストス死を滅ぼし、棺より復活す」と歌われる。過去に思いを馳せ、未来に期待を寄せて生活するのではなく、神と実際に「今日」そして「毎日」交わって生きるよう教会で教えられる[5]


構造
基本構造

正教会の教会暦は動暦と、不動暦とで構成される[7]。動暦は正教会の最大の祭りである復活大祭(パスハ)に連動するものであり、不動暦は動暦から奉神礼的枠組みと霊感において影響を受けている[9]

また、正教会暦には祭(まつり)と斎(ものいみ)が設定されている。
祭と斎
概要

正教会暦において祭(まつり)と斎(ものいみ)とが設定されている。祭と斎は、成就と準備の関係にある。全ての祭に斎が設定され、祭が大きいものである場合、斎も大きなものとなる。その方法は一日断食するものとある特定の食品(肉、乳製品、鶏卵、魚など)を制限するものとがあり、後者がほとんどである。形式的な準備と形式的な成就とを通し、精神的に充実した斎、精神的に充実した祭を迎えることが信者に求められる[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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