止血帯
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.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}CAT。応急処置用として、アメリカ軍で各兵士が携行している止血帯。空気圧式の止血帯。緊縛圧の微調整が可能である。使用例。銃撃の場合は骨折している場合があり、骨が健在の場所でないと効果が薄いとされる。ネジ巻き式のもの

止血帯(しけつたい、: tourniquet、ターニケット)とは、止血(緊縛法)のために使用するバンドである。

四肢に行き渡る血を止めてしまうため、止血した箇所から先が壊死してしまい切断に至る弊害があり悪魔の器具(Instrument of the devil)とも呼ばれた[1]。単純に止血するという目的としては優れており、テロ活動による銃撃等で重要な血管が傷つき即座に止血しないと生死にかかわる緊急時等に推奨されるが、そういった場合以外は推奨されない。

手術など医療関係の現場で短時間の使用という制限で行われる場合があり、整形外科の下肢の手術などにおいて出血量を減らす目的で使用される[2]。日本の手術室では、ターニケットと呼ばれる[2]。採血時に静脈を怒張させるために用いられる場合もあり、これは駆血帯と呼ばれる[3]。ターニケットも駆血帯も英語名は止血帯と同じくTourniquetであるが、用いられている製品はそれぞれの用途に特化した専用のものである[2][4][3]
概要

本項では、外傷に伴う多量出血に対する応急処置として用いる場合について説明する。止血帯としては、もっとも初期に提唱されたエスマルヒ駆血法(Esmarch bandage)以来、ゴム製のものが多く使われていた[5]。代用として三角巾風呂敷を畳んで使うことがあるが、この際、止血部位の組織損傷を避けるため、針金や紐のように細いものを用いないよう注意が必要である[6]。また後述のとおり、診療ガイドラインではこのような粗製止血帯の使用は推奨されていない[7]

手足の切断等の重傷により動脈性出血が生じ、直接圧迫止血法では止血することが困難な患者に対して、傷口より2?3インチ (5.1?7.6 cm)中枢側で強く縛り血液を止める。もし最初の止血帯で出血をコントロールしきれない場合は、第2の止血帯を並べて止血する。出血が持続する場合、あるいは末梢の脈拍を触知する場合には、出血および脈拍が消失するまで緊縛する[8]。このように、止血帯の使用にあたっては、その遠位の血流を完全に遮断すること、またそれに伴って止血帯を施した部位を強く緊縛することから、コンパートメント症候群血管神経断裂などの重篤な合併症のリスクが高く、救命できた場合にも肢切断が必要となることもありうる[7]

このように危険を伴うことから、アメリカ心臓協会(AHA)の国際ガイドラインでは、2005年版で使用非推奨となり、対テロ戦争での使用経験を踏まえて2010年版では復活したものの、専門の訓練を受けた要員が専用の製品を用いる場合に限定するとともに、上記のような合併症について厳重に注意を促している[7]アメリカ軍の戦術的戦傷救護ガイドライン(Tactical Combat Casualty Care: TCCC)(英語版)でも、切断四肢からの出血のコントロールに使うのでなければ、負傷者がショック状態でない場合や出血の有無を監視できる場合は、止血帯ではなく止血ガーゼや圧迫包帯による直接圧迫止血に変更するよう推奨している。他の手段で出血がコントロールできる場合には、2時間以内に止血帯を除去するべきとされているが、逆に6時間以上緊縛していた場合には、血液検査などで状態を確認しないかぎりは除去すべきではないとされている。このため、止血帯使用時には止血時間および適用部位を明確に記載する必要がある[8]

ただし戦場において有用性が確認されたほか、銃犯罪やテロリズムに対抗する必要が増大するとともに、民間分野でも採用が広がっている。日本の消防でも、ラグビーワールドカップ2019(W杯)や2020年東京オリンピックを控えた2017年3月、総務省消防庁の検討会が「救急隊員がターニケットの知識および技術を習得していくことが期待される」と指摘、同年8月時点では約730の消防本部のうち4.4%しか配備していなかったが、2020年8月時点では87.1%が導入するに至った[9]
歴史

紀元前4世紀のアレクサンドロス3世の頃には使用されていた[10]。ローマ人は切断の出血を制御するのに、革と青銅のストラップから作られたものを使用した[11]

1718年、フランス人外科医ジャン・ルイ・プティ(英語版、フランス語版)が、手術中の出血を抑えるためにネジ巻き式の止血帯を作成した。それ以前のものはロッドで包帯を巻くもの(Turnするものを由来とするTourniquet)であった。

1785年、ギルバート・ブレイン卿は、戦闘時には英国海軍の水兵一人一人が止血帯を携行すべきであると提唱した。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}助けてもらう前に出血多量で死亡したり、出血多量で手術ができなくなったりすることはよくある。これを防ぐために、大量出血の際に手足を縛るためのガーターやロープを各人に携帯させることが提案され、実践されたこともある。その厳粛さが一般人を威圧しかねないという異論があるとしても、少なくとも将校は何らかの予防策を講じるべきである。特に、将校の多く、しかも最高階級の者は、最も危険な状況のひとつであるクォーターデッキに配置されており、外科医とその助手が配置されているコックピットから遠く離れている。私の友人であるアルフレッド号のベイン大尉の死因はこれであった。彼は丸い銃弾で膝をひどく打ち砕かれ、四肢を切断する必要があった。このような機会に提督は私に側にいることを許してくれたので、私はポケットに簡単な構造の止血帯をいくつか入れておいた。[12][13][14][15][16][17][18][19][20]

1864年、ジョゼフ・リスターが止血器具を使用した無輸血術野を考案した[21][22]。1873年、フリードリヒ・フォン・エスマルヒ(英語版、ドイツ語版)が、止血と失血を同時に行うゴム包帯を発表した[23][24]。この器具はエスマルヒ駆血帯として知られている[24]。1881年、リヒャルト・フォン・ヴォルクマン(英語版、ドイツ語版)は、エスマルヒ駆血帯をきつく巻きすぎると麻痺が起こる可能性があることを指摘した[21]。エスマルヒ駆血帯の非空気的な使用により、重篤で永続的な四肢麻痺の症例が多数報告されている[25][24][21][13][14][15][16][17][18][19][20]。非空気圧式の弾性止血帯でかなりの数の圧迫麻痺を観察した後、ハーヴェイ・クッシングは1904年に空気圧式止血帯を開発した[21][26]


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