歌集_滑走路
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歌集 滑走路
編集者石川一郎
住谷はる
著者
萩原慎一郎
イラスト南一夫(単行本装丁)
大原由衣(文庫本装丁)
Nils Bracht/Eyeem(文庫本写真)
和田三造(文庫本表紙)
発行日2017年12月25日(単行本)
2020年9月24日(文庫本)
発行元角川文化振興財団(単行本)
KADOKAWA(角川文庫)
ジャンル短歌
個人歌集
日本
言語日本語
形態四六判上製本
電子書籍
文庫判
ページ数160ページ(単行本)
176ページ(文庫本)
公式サイト歌集 滑走路 KADOKAWA
コードISBN 978-4-04-876477-3
ISBN 978-4-04-109612-3文庫本

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『歌集 滑走路』(かしゅう かっそうろ)は、萩原慎一郎の第1歌集。短歌集。2017年12月26日に角川書店(発行:角川文化振興財団、発売:KADOKAWA)から発売された。平成時代に個人歌集としてベストセラーとなり、2019年には紀伊國屋書店の書店員が選ぶ「キノベス!」第8位に選出された。

2020年9月24日に角川文庫より又吉直樹が解説に加わった文庫版が発行[1][2]

2020年3月25日に映画化が発表され、同年11月20日に『滑走路』の題で公開された。2022年1月より高校国語の副教材に採用された[3]
刊行背景

一般的に短歌の業界では、歌人が歌集を出版する場合、受賞歴や著名度問わず企画出版は行われず、短歌専門の出版社や財団法人による流通や印刷面での制作援助の元、著者の自費によって書籍が発行される。2017年頃、数多くの短歌賞の受賞経験があった著者の萩原慎一郎も同様に、短歌の自費出版専門の公益財団法人である角川文化振興財団から出版を決意し、自身によって短歌の構成から本の装幀まで決め、5月にあとがきを書き記し『歌集 滑走路』を完成させた[4]

しかし、萩原は同時に学生時代のいじめによる後遺症を抱えており、2017年6月8日に自死した。萩原の死後、歌集は弟である萩原健也や両親ら遺族に引き継がれ、角川書店短歌編集部の石川一郎や住谷はるによる支援の元、出版に向けての準備が行われ、2017年12月26日に発売となった[5]

初版には俵万智による推薦文と、萩原が知人に送った電子メールの文章から引用されたキャッチフレーズ「僕は歌う。誰からも否定できない生き様を提示するために。」が掲載されている。また、帯の裏面には収録短歌から5首が掲載された。
収録作品

全3部構成で、第1部が22節、第2部が15節、第3部が3節となり295首の短歌が収録されている。

第1回近藤芳美賞岡井隆選者賞の「滑走路」や第4回近藤芳美賞岡井隆選者賞「プラトンの書」、朝日歌壇賞、角川短歌全国大会、NHK全国短歌大会などの受賞作品が多く収録されており、また『朝日新聞』の「あるきだす言葉たち」掲載作品の「模索の果て」なども収録されている。

巻末には三枝昂之による解説と萩原本人によるあとがき、遺族によるコメントが書き記されている。文庫版には、本作を激賞する又吉直樹による解説が収録される[1]

I

メモ帳 (第8回角川全国短歌大賞題詠準賞受賞作品)[6]

プラトンの書(第4回近藤芳美賞選者賞(岡井隆選)受賞作品)

滑走路(第1回近藤芳美賞選者賞(岡井隆選)受賞作品)

風景画

光源

僕たちのソファー

新緑

太陽のような光

きらきら

居場所

停留所

おにぎりと緑茶

群衆

伝書鳩

ソプラノ

言葉と言葉

雲のベンチ

こころの枝(第5回角川全国短歌大賞準賞受賞作品収録)

非正規(第31回朝日歌壇賞馬場あき子選受賞作品)

箱詰め社会(第17回NHK全国短歌大会 特選(馬場あき子選)受賞作品、第36回全日本短歌大会毎日新聞社賞作品収録)[7]

テロリズム(第37回全日本短歌大会 日本歌人クラブ賞受賞作品収録)

タルタルソース


II

靴ひも

平凡を嘆きたる夜に

蒼き旗

君と踏み出す明日あれ

未来模索

歌という鳥

光る蛇

口語の馬

あこがれのひと

理解者

傷心旅行

自転車の空気

だだだだ、だだだ

カレーうどん

食べる


III

こころの扉(『短歌生活』6号掲載作品)

歌詠む理由

模索の果て(『朝日新聞』「あるきだす言葉たち」掲載作品)


解説 三枝昂之

あとがき

きっとどこかで

解説 又吉直樹(角川文庫版のみ)

評価 

萩原慎一郎が所属していた
りとむ短歌会主宰の三枝昂之は、原稿を読ませて貰ったときにはすでに完成度の高い修正不要なものであったと語っている。また、かつて石川啄木が社会の動乱の中、口語短歌に挑戦し後世に多大な影響を与えたように、萩原は今後の短歌に大きな影響を与えてゆくと語っている[4]

NHK『100分de名著』の論者としても知られる文芸評論家の若松英輔は『婦人之友』での書評やTwitterで、彼が作り出してきた言葉にはかつて触れたことがないような凄まじい炎があると評価している[8]

歌人の俵万智又吉直樹などから高い評価を受け、2018年10月16日に放送されたNHKクローズアップ現代+では発行部数が通常の歌集の200倍に達している異例のヒット作として特集された[9]

WEBメディア『ほんのひきだし』では「いじめ非正規雇用といった逆境に負けず生きる希望を歌い続け、32歳の若さで命を絶った「非正規歌人」の作品を収めた短歌集。」と評価されている[1]

2019年に短歌の書籍としては初めて、紀伊國屋書店によるお勧め書籍ベスト30の「キノベス!2019」の8位に選出された[10]

NHKクローズアップ現代+で特集された2018年10月16日に単行本がAmazon本ランキング2位にランクインし[11]、2020年11月23日には朝日新聞の夕刊一面や「天声人語」で取り上げられ文庫本がAmazon本ランキングで11位[12]、単行本が楽天ブックスの文学部門で第1位を獲得した[13]

2021年に開催された角川文庫の『カドフェス2021』では、感動する本として選ばれている。

文英堂が発行する高校国語の副教材『リテラ 速読レッスン 文学 Vol.3』に採用されている。

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